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横校労ニュース
トピックス
(3) 主幹制(グループリーダー)導入問題
「新たな職」 = 中間管理職の導入を許すな
  朝 倉 賢 司

背景とこの間の流れ
 二〇〇六年の 「公務員制度改革」 に向け、 人事院は成果主義と複線型人事を内容とする 「給与構造の基本的見直し」 (素案) を〇四年十一月に提示した。 骨子は次のものである。

一、 民間賃金の低い地域に合わせて俸給水準を切り下げ、 民間賃金の高いところは 「地域手当」 を支給する。
二、 職務・職責を反映し得るよう、 級間水準差の是正、 旧構成の再編、 昇給カーブのフラット化等俸給表構造の見直しを行なう。
三、 普通昇給と特別昇給を廃止し、 実績評価に基づく昇給制度 (査定昇給) を導入するなど、 勤務実績の給与への反映を行なう。
四、 複線型の人事制度の導入に向け、 三級構成程度の専門スタッフ職俸給表を新設する。

 同年十二月には、 中教審教育行財政部会の作業班が 「教員キャリアの複線化」 や 「主幹職」 の新設を検討することを求める部会案をまとめている。
 神奈川県段階では、 〇三年から既に 「人事評価制度」 を発足させるとともに主任制度における神奈川方式の再現を図るかのように、 「神奈川らしさ」 を追求するとして、 「教員給与制度」 について以下の三点を中心として動き始めた。 一、 全体の給与水準の見直しに関わって、 小中と高の給料表を一本化する。 二、 主任制度を見直し、 「新たな職・新たな学校運営組織」 を検討する。 三、 「新たな職」 を現行の二級 (教諭) と三級 (教諭) の間に新二級として位置づける、 というものであった。 「神奈川方式」 を作り出した往時とは違い、 現行の力関係の中では神教協は、 給与水準の論議と合わせてというものの、 実質的には教育論・職場論・ 「教師の専門職論」 の立場からの批判しかなしえず、 結局は受け皿づくりの動きをとってきたといえるだろう。
 〇五年一月には神教委は 「新たな学校運営組織・教員のための新たな職の検討状況」 を神教組などの組合に示した。 その中で、 検討の趣旨として個々の子どもや保護者からのニーズに対応するため 「管理職を補佐し、 学校全体の運営を調整していく新たな役割、 組織体制が必要」 とし、 「求められている機能に対応できる学校運営体制 (学校運営組織・教員の新たな職、 学校運営のあり方)」 を具体的に出してきたのである。

中間管理職の創設による新たな管理運営
 神教委による新たな学校運営組織は、 三つのカテゴリー (@カリキュラム・地域連携 A児童・生徒の指導・支援 B学校管理・運営) の設定による新たなグループ編制によるものとしている。 例示されたグループ数は、 小学校では四グループ、 中学校では五グループ、 高校と盲ろう養護学校では六グループとなっている。 これまでの校内の分掌・委員会の解体・再編にとどまらず、 実質的に運営を中心的に担ってきた学年の存在を無視するものでもある。 新しい組織が業務の単位となり、 学年の位置づけは従属的なものにならざるをえない。
 各グループには 「グループリーダー」 として 「新たな職」 をグループ数と同一で設置するとしている。 グループリーダーは管理職の学校運営を 「補佐」 し、 組織を 「統括」、 「進行管理」 し、 人材育成までの役割を担う。 神教委は、 一定の働きかけ、 職務の分担、 「指示」 ができるポストであって、 行政職の主幹のイメージであり中間管理職ではないと強調するが、 このような内容の職務を行なうポストがまさに 「中間管理職」 なのである。 職場内の 「教諭」 であっても、 指示する者とされるものの立場の違いが根拠づけられるのだ。
 現行の主任制度との関係では、 主任制度は国の法令上必置とされているので、 形式的には手を付けられないが、 主任手当ては〇六年には廃止の方向で動いている。 (今年度は 「凍結」 )。

主幹への新給料表の適用
 グループリーダーとなる主幹職には、 現行の二級と三級の間に新二級を設け、 適用するとしている。
 小中高の給料表一本化の動きとあわせ、 新二級の設置を全体の給与水準の問題として、 あたかも新二級がかつての主任手当の拠出闘争のように扱うことが可能であるかの言動がある。 しかし、 新二級適用者は単年度ではなく任用後継続して対象になるのであり (降格が無い限り)、 異動も新二級適用者としての異動になる。 「誰でも」 「いつかはいける」 というものではないことを肝に銘じるべきであり、 給与水準の維持・向上のための昇給メリットとして利用可能であるかの見解は、 闘争の矛先を鈍らせるものである。 このような発言は差別賃金導入のねらいをごまかすものでしかない。
 任用については、 十五年経験者、 校長推薦に加え 「人事評価」 を条件にあげている。 〇三年に始まった人事評価制度は、 人材育成の観点から導入されたものだったのが、 早くもその建前を投げ打ち隠されたねらいを現し始めたというべきだろう。 また、 教頭 (副校長) への昇任 (昇給) は、 新二級適用者ということも説明されていて、 管理職へのステップとしての位置づけがはっきりとしている。

企画会議の設置
 新しい組織の設置に合わせ、 管理職とグループリーダーによる企画会議を、 管理運営規則にも明文化した組織として位置づけている。 これを日常の常態化した超勤実態を解消するための会議の精選、 組織運営の簡素化であるとの解釈する向きもあるが、 新しい会議が一つ増えることであり、 同時に全体の意思決定機関としての職員会議の位置づけを変えることになるのだ。 企画会議で重要な事項は決定され、 職員会議は上意下達の伝達機関に変わり果てることは明白である。 学校現場がそのような形、 流れで十分に機能すると考えていることそのものに基本的な認識の誤りがある。

「新しい職」 導入に対して
  「新しい職」 を経験に基づき、 責任を持って学校の教育活動を調整していける教育専門職として位置づけることにより、 神教委の案を回避しようとする動きも見られるが、 これは 「教師聖職論」 に道をひらくものであり、 内容的に対抗できるものにならず、 むしろ神教委案の土台を基本的に受け容れた上での 「新たな職」 の自分達なりの解釈といったものになってしまうのである。
 また、 事務職や栄養職との関係では、 グループリーダーの指示を受ける立場になり、 実際上職務として機能しないことを承知の上で形式的に位置づけていることが分かる。 それとも、 実務上本当に可能と考えているのだろうか。

教職員の分断
 学校運営組織・新たな職の設置とあわせ、 校長の権限強化・裁量権の拡大 (学期や長期休業日について) が示されている。
 一方での権限強化と反対に、 新しい組織では学年が従属的なものに押しやられている。 現実の小中学校、 特に中学校では、 学年運営の意味の大きさがどれほど子ども達の実態に合わせたものになっているかに認識が全く欠けていると言わざるを得ない。 新しい組織と職の導入によって、 職務の協同性は剥奪され個々に分断された教職員が校長、 企画会議、 グループリーダーという縦の系列の末端として指示どおりに動くだけの学校職場になる危険性を持ったものである。

横浜での導入
 県費職員への新給料表の適用の問題でもあるために、 神奈川県の動き・情報に基づき分析、 対応をしているが、 横浜市も各校種から検討委員を出し〇六年からの導入の準備に入っている。 管理規則改正、 人事委員会承認、 各校での組織再編の準備作業を考えれば、 夏休み明けからの動きは急に活発化するはずである。 管理運営事項であるとして、 直接交渉になかなか応じようとしない横浜市教委に対し、 現場での重要な勤務条件の変更であることは明白であることから、 横校労は様々な闘い方を駆使し、 職場に差別と分断を持ち込む主幹制度=グループリーダーの導入に対し闘っていく。
 主任制度以上の危険性を実質はらんだ主幹制度導入反対にむけて、 共に闘おう。

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