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「優秀教員表彰制度」 っていい制度ですか?
Q
 先日は、 久しぶりにお会いでき、 楽しい時間を過ごすことができました。 ありがとうございました。 やはり職場の中だけのつきあいですと、 発想にも新鮮さがなくなってしまいます。 少し呑みすぎたかも知れませんが、 また機会がありましたら、 おつきあいください。 (略) 今日、 新聞に 「優秀教員表彰制度」 についての記事を見つけました。 またまた、 新聞で新しい制度を知らされることになったのですが、 私はこれは今までの教員締め付け策とちがって、 いい制度のような気がするのですが、 赤田さんはどう思いますか。 もしお時間のあるとき 「Q&A」 欄で答えていただけるとうれしいのですが。
    (緑区・41歳)
A
 いつものことですが、 すこし呑みすぎたようです。 年々歳々酒も弱くなるばかりですが、 しかし一方、 酒でも呑まなければやってらんねぇなぁという状況でもあります。 また、 ぜひ一献やりましょう。
 さてご質問に答える前に、 ここ数年の教員に対する 「評価」 について考えてみましょう。 まず、 03年度から実施されている人事評価制度、 設定した目標に対して自己評価を行い、 それを元に管理職が5段階で評価しています。 まだ給与と連動していない分、 問題が表面化しませんが、 給与に連動した場合、 さまざまな問題が吹き出すでしょう。
 それから、 指導力不足教員問題。 校長が書類を提出し、 市教委に設置されている有識者や保護者代表による委員会によって指導力不足と認定されると、 その状況に応じた研修が課せられます。 現場で研修する人もいますが、 研修センターでさほど意味があるとは思えない研修を命じられる人もいます。
 また、 新人に対しては 「条件付き採用」 の取り消し、 という方法がとられます。 本紙で何度も報じているように、 きわめて恣意的な基準と方法で闇から闇へと葬られた新人教員が毎年いただろうことは、 この間の取り組みでほぼ間違いないと私は考えています。
 さらに人事異動におけるFA・TA制度。 これもやはり教員に対する評価制度の一環です。 FA・TAどちらにしても、 校長の 「評価」 がなければ 「宣言」 も 「応募」 もできません。
 もうひとつ付け足せば、 06年度から実施されると言われている 「総括教諭」 もまた同じ轍の上にあると言っていいでしょう。 現在の主任が、 管理職へのひとつの階段であることは否定しませんが、 職場によってはしっかり 「校務分掌」 と認識されていますし、 中間管理職とまでいえるほどのものではありません。 しかし 「新2級」 と給料表で位置づけられる 「総括教諭」 は、 東京の 「主幹」 同様明らかに 「3番目の管理職」 となる可能性が強いものです。
 02年以降の 「教育改革」 のなかで行われてきた、 こうした教員に対する評価問題の共通点とは何でしょうか。 それは 「教員を集団でみるのではなく、 一人ひとりに解体した上で、 個人の能力を何らかのものさしによって測る」 ものと、 私は考えています。 こうした流れは、 「新2級」 に見られるように、 必然的に一人ひとりに対する処遇の差を背景にしています。 「能力がちがうんだから処遇がちがって当然」 という発想は、 同時に仕事がきつければきついほど出やすい 「同じ仕事をして (あるいはオレの方が仕事をしているのに) どうしてあの人のほうが給料が高いんだ」 という鬱積した 「情念」 を刺激します。 制度の方だけではなく、 労働者の側もそうした処遇の違いを望んでいるところもあります。
 しかし、 学校の仕事は、 子どもと関わってナンボ、 の世界です。 その意味でたくさんの子どもたちのさまざまな個性表出の場面を複数の教員でみることが大切ですし、 その 「複眼」 の豊かさが子どもたちの学校における最大の 「教育環境」 ではないでしょうか。 長いことこの仕事をしていると、 現場に必要なのは、 一人の傑出した教員ではなく、 伸縮自在で奥行きのあるチームであることは間違いありません。 そして 「チーム」 への評価は、 子どもたちや保護者など自ずとたくさんの厳しい眼によって日常的に行われているのです。 教育改革や表彰制度が奪おうとしているのは、 そうしたチームの 「豊かさ」 ではないでしょうか。
 優秀教員表彰制度は、 プラス?を評価する分、 何か少し良さそうに見えますが、 実際は 「指導力不足教員制度」 の裏返しであり、 総括教諭や人事評価制度と連動して学校労働者を 「個人に解体し管理する」 ものでしかありません。 だいだい、 12000人のうちの30人の優秀教員、 5人の最優秀教員って想像できますか? 「優秀な教員がいる」 ということと 「優秀教員を表彰する」 ということの間には大きな懸隔があります。 当たり前のことですが、 現場を支えているのは、 私たちの周りにいる踏まれてもしぶとく起きあがる名もない雑草のような人たちです。 学校に観賞用の 「胡蝶蘭」 は必要ないのではないでしょうか。
    (赤田 圭亮)
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