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●主幹制導入問題  

「主幹教諭」 導入による教職員の階層化・分断・再編を許すな

                                                           執行委員長  朝倉 賢司
はじめに  
 昨年末一二月の横浜市教育委員会議において、 横浜市の主幹教諭導入が学校管理規則の改正という形で正式に決まった。  東京での主幹導入に続き、 神奈川県が先行して検討していた総括教諭 (グループリーダー) の四月導入に急遽追いつく形で、 横浜市でも文書上では体制ができたことになる。  横校労は年末の二六日に市教委人事課と折衝をもち説明を受けたが、 その中で疑問点や詰めるべき内容を指摘し、 今後のさらなる説明を求めた。  まず、 本紙三八七号 (〇五年七月号) に示したように、政府は公務員制度改革の一環として、 成果主義と複線型人事を内容とする給与構造の見直しを計っており、 主幹制度導入もその一部をなしている ことを改めておさえる必要がある。 横浜市は県費職員である市の教職員に対して、 県の主幹制度導入、 新給与表の適用に合わせて一定の独自性を示しつつも県と同調せざるを得なかったといえる。  これをあたかも全教職員の給与体系の改善に転化することが可能であるかのような神教組・浜教組の解釈は、 本質を隠蔽するだけでなく欺瞞していると言うべきである。 また、 東京のような主幹ではなく、 主幹 「教諭」 として組合に同じように加入できることをもって、 中間管理職とさせなかった 「成果」 とする主張も的外れと言わざるをえない。  主幹教諭を新たに給与表の三級に位置づけ、現行の三級 (副校長) を四級に、 四級 (校長) を五級に移行させることや、 後段で説明する主幹教諭の実質的機能を考えれば 「中間管理職」 としての処遇、 位置以外にないものである。

現場実態からかい離した階層化のゆくえ   
 神奈川県の総括教諭制度に基づいた横浜市の素案の段階では、 本紙前月号 (三九一号) でも批判的に分析したが、 今回正式に提示された内容について論評したい。  今回市教委は校長への参考資料として 「新たな学校運営組織・教員の新たな職の導入に伴うQ&A」 を添付している。 これには三三の質問・回答が列挙されているが、 そのトップに挙げられているのが制度改正の趣旨・目的についてである。 制度改正の理由について、子どもや保護者のニーズに応える新たな組織的・機動的な対応のできる学校運営組織の必要性について一応謳われているものの、 その根拠につ いては、 神奈川県での学校運営組織の再編構想に沿っているとしているだけで、 むしろ横浜教育改革会議での評価を拠り所に、 現行組織に一定の肯定的評価を与えていることは注目すべきことである。  このことは現行の学校運営組織の問題点を強く表現している神奈川県との相違といえる。 少し長くなるが引用すると 「現状組織、 つまり学校管理職以外の教職員が、横並びの 『なべぶた型組織』 の利点として、 全教職員が同じ土俵に立って論議し、 問題解決に当たったり、 共通理解を図ったりするうえでは非常に有効な組織で、 有機的な連携によってチームワーク機能をもつ学校の良さが発揮される特質をもつ」 としている。 これに続いて現行組織の不備な点についても触れているが例示に過ぎず、 根本的な問題として指摘できていないのだ。  学校管理規則改正通知の冒頭にも記述があり、 ことあるご とに枕詞のように出されてくる 「校長のリーダーシップのもとに」 という文言がある。 現場で校長からの縦系列の動きで解決できるものよりも、 共通の基盤に立った協同性による動きが有効である。 ここに校長からの縦系列の主幹教諭を介在させることは、 学校という場での現場実態からどれほどかけ離れていくか。 学校現場の実態に多少なりとも真剣に沿ってみようとすれば、 徒らな組織改変が混乱を引き起こすだけであり、 そのことが直接子どもたちの不安や混乱に繋がって行くことが分かろうというものである。決して主任制を擁護するものではないが、 現行の主任制については、 通知文では直接言われていないものの市教委の立場からは評価に値するだけ機能していると看做しているのだ。

校務分掌における部の設置   
 標準的な運営組織として指導部、 研究部、 総務部の三部が示されている。 学校事情に応じて柔軟な編制は可能としているが、 管理職が無理やりこの形に合わせようとすることを警戒しなければならない。 主幹教諭はこれらの部を専任又は兼任で統括することになり、 特に初年度、 二年度は配置が完了しないので兼任の形になるという。

主幹教諭の職務  
  職務は、 校長・副校長の補佐としての役割、 各部の進行管理と内部での (つまり一般教員への) 指示、 指導・助言をすること、 さらに教職員の人材育成として 「様々な課題や悩みを抱えている教職員からの相談に応じて、アドバイスを行う」 としている。 個人的にも是非いろいろな悩みの相談にのってほしいものである。  主任制度との関係では、 原則として各種主任を兼ねる (つまり主幹教諭が主任になる) ことになる。 また主任手当てが支給されてこなかった研究主任等になることもできるとする。 さらに無任所的な立場あるいは重要な特定分野を担当する主幹教諭も置くことができるものとしているが、 単に部の数より主幹教諭が多いという数字合わせの問題だけなのか。 実は具体的なイメージを市教委はもっておらず現場任せである。 むしろこのように配置できることこそが、 運営組織上の必要性から作りだされたという建前ではなく、 はじめに給与の三級適用者を任命することが目的となっていたことを示すものではないか。

定数内配置で勤務軽減も  
  各学校への標準配置数は、 小学校四名、 中学校五名、 盲・ろう・養護学校は四〜八名とし、 初年度は小中で一〜二名、 盲・ろう・養護学校で二〜四名の配置が予定され、 三年間で配置を終えるということである。 また主幹教諭導入による教職員加配はないので、 職務に伴う授業時数の軽減等は各学校 (校長) 判断となる。 このことは、 主幹教諭本人だけでなく周りの同僚との仕事量の按配をどうするかで大きな問題となり、 現実的な軋轢になることが予想される。 

主幹教諭同士の異動が始まる 
 主幹教諭は在職五年以上で校長の推薦調書による推薦で、 市教委が任命することになる。 推薦に当たっては、 本人への確認は必ずしも必要としない。 推薦調書をみると 「校長意見・評価」 として、 能力、 上司の補佐、情意、 服務その他の四分野があり、 それぞれがS・A・B○ ・B・B・C・D の七段階になっており文章表記と総合判定特記事項欄が設けられている。推薦に当たってCやDの評価を記入するかは疑問だが、 評価の体裁を整えるためでしかない。 降格は管理職と同様ありえるとのこと。 三年間で各校への配置が終わった時点で主幹教諭間の異動が行なわれることになる。

企画会議はすでに実態化している   
 神奈川県から出されたものでは企画会議がはっきりと位置づけられている が、 横浜市から例示として出された組織図には、 企画会議が図示されていない。 Q&Aでも 「企画会議の設置の要否を校長に委ねることとしました」 としていることは、 県と大きな違いである。 神奈川県では、 「学校運営上の重要事項の検討や企画立案、 職員会議の効率的な運営、 グループをまたがる事項の検討や調整」 機関として企画会議が設けられたわけであるが、 横浜市の場合は要否の判断とはいうものの 「実質的に同様の趣旨の会議が設置されている例が見受けられ」 ているので、 実態と校長の裁量を尊重して運用上の扱いを決めたとしている。 しかし翻って考えれば、名称は違っていても企画会議の実質化がすでになされていることの証左ではないのか。  また内容は変わるが、 学校二学期制論議時も学校裁量としながらも二年目にして市内のほぼ全校が二学期制に移行したことを振り返ってみると、 文書上の縛りをしなくても実態を変更できるという横浜の実状にあった方式を取っただけなのではないか。 各校で企画会、 調整会、 運営委員会等の名称で設けられている組織に、 各部を代表する主幹教諭が加わるのは自然である。 企画会議が 「各グループで作成した企画原案や職員会議における協議事項の調整等を行う」 だけでなく、 「学校運営上の重要事項について企画立案を行う」 ことが明記されていることを考えれば、 敢えて改めて企画会議を位置づけなくても十分機能は果たすとしたのではないか。  企画会議の設置により 「職員会議の位置づけが変わるものではない」 としているが、 すでに職員会議の形骸化が進んでいる学校では一層単なる伝達機関の面が強まるだろうし、 位置づけは相対的な関係で決まるものであることから、 職員会議を活性化したものとしていくためには各学校での組織の機能を意識的に点検し、 歯止めを掛ける必要がいっそうでてくるだろう。

おわりに
 かつての主任制反対闘争では闘った神教組・浜教組も、 参加・提言路 線のもと主幹教諭導入に当たっては容認を前提としてしか闘えていない。我々はけっして容認したわけではない。 東京での主幹の導入が職員一人ひとりをセグメント化させ現場をいかに混乱させたか。 そして一部の恵まれた条件を享受できる層だけが利益を得ているか。 その無言の抵抗とも思われるが、 主幹職希望者はやっと募集枠を超える位の数になっているのだ。 管理職が尻を叩いて受験させようとしてもだ。  教育改革に名を借りた現場実態を無視した机上のプランが次々に降ろされてくるが、 それらに飛びつく一部の教職員はいたとしても、 多くの教職員は良しとは考えていない。  横浜でも始まった優秀教員の表彰制度は、 一一の自治体では既に給与等に反映させているという。 このようなものが次々に出されている。主幹制度も飴とムチによる労務政策の一つとしての給与三級者としてあるということを肝に銘じておく必要があるだろう。

 

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