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横浜車通勤裁判報告 ネバー・ギブ・アップ

七月五日判決報告
 ネバー・ギブ・アップ!
   横浜車通勤裁判 原告  山 本  理

 判決の直前の休みに、 所用があって、 サクランボの 「タネ飛ばし」 大会で有名な山形の東根へ行った。 もちろん、 お土産はサクランボである、 しかも極上の。 七月五日の裁判の日、 いつも傍聴にきてくださるみなさんに、 感謝の気持ちを込めて、 サクランボを法廷の入り口で数粒ずつ配ることを思いついた。 しかし、 裁判所に着いて考えを変えた。 不当判決が出たりしたら、 みな一斉に口中のタネを裁判長に向けて飛ばしかねないと、 傍聴者の面々を思い浮かべて恐れたのである。 なわけで、 サクランボは閉廷後の集会で配った。

通知は行政の内部問題
 判決は、 敗訴である。 市教委の主張する、 通知は 「車通勤の経路と方法を指導確認する際の基準として校長宛に示したものであり、 車通勤を禁止したものではない」 という笑える理屈は退けられた。 しかし裁判官は、 通知は 「行政の内部問題であり取消を求めることは予定されていない」 として却下、 すなわち門前払いとしたのである。 裁判が通知文の検討に入ることなく第六回で結審したことで、 予想通りではあった。 行政訴訟の扉を開けるのは難しい。
 閉廷後の廊下で、 集会場の開港記念会館へ向かう路上で、 集会の中で、 あるいは集会後に開いた交流会で、 わたしは多くの方から 「これまでご苦労様」 との言葉を頂いた。 気恥ずかしい。 たいしたことはしていない。 意見陳述書と陳述書の二回の書面を書いたこと、 最初の法廷で意見を述べたこと。 それに、 車通勤に関わる文書を探したこと。 それくらいだ。 そうそう、 市教委側の代理人へ、 野次やブーイングや失笑を次々に浴びせる傍聴者を、 「ちょっとぉ!」 と注意したことも加えよう。 これが一番大変だったかな。
 そんな、 素晴らしい (?) 支援のみなさんがいればこその裁判であった。 そして、 この裁判を伴走してくれた横校労という存在があればこその裁判であった。 何より、 提訴を考えてはいたが根拠を探しあぐねていたわたしたちに、 憲法一三条を示してくれた代理人弁護士の助力があってこその裁判であった。 改めてお礼申し上げます。
 交流会で、 いつも駆けつけてくれる方が、 この裁判は明るく楽しかったと話した。 それは、 たとえ負けたにしても、 環境がすごく悪化するという性質の裁判ではないからだ。 原告も含めて悲壮感がないところを、 そう評されたのだ。 見渡せば、 不当な行政に、 各地で多くの人が、 どれだけ悔しい思いを噛みしめながら闘っていることか。 横校労のもう一本の裁判である 「退職強要裁判」 はそういうものであるし、 大阪でも同種の裁判が進行している。 当該のみなさんの心中の苦しさははかり知れない。 しかし、 この明るい裁判も、 みなさんのその苦しさにつながる活動であるとわたしは考える。 「自分の言葉で語る」 ということによって。

自分の言葉で語りたい
 改めて、 二〇〇四年一一月一日付けの通知を思い返す。 通知は、 その冒頭で、 今後自動車通勤を禁止する旨を告げ、 そしてすぐその後ろに理由を載せている。 一行三七文字、 一〇行で。 わたしも含め大勢の教職員が何十年と車通勤をしてきた。 それを禁止する理由はたったこの一〇行なのである。 通知は膨大な文書量であるが、 ほとんどが手順や基準に関した内容で、 最もていねいな説明が必要なところにはこれしか割かなかったこと、 そこに、 今回の通知のすべて表されている。 しかもその内容たるや、 横浜市教委がぜひともしなければならない施策であることなど、 どこからも感じられない。 当事者でない人間による言葉の羅列。 単なるお役所の作文に過ぎないことは明白なのだ。
 同じことを、 わたしは二学期制導入に感じた。 誰が考えたって、 学期の区切りを変えることで、 授業時間が増えたり、 学力が向上するなどありえない。 しかし、 そうであるかのような言葉に満ちみちた文書が、 市教委発でバラまかれたのだ。 車通勤禁止と同じである。 結論があり、 それに合わせた資料を集め、 作文としてまとめたのである。
 だからこそ、 わたしは、 自分の言葉で語りたいと思う。 自分が当事者として考えたことを、 自分なりの表現で伝えたい。 そのことで、 各地の、 不当な扱いと闘っている人たち、 自分の言葉で異議を発している人々とつながっていけると、 そう思っているのだ。
 最後に今後の話。 翌日の執行委員会で、 控訴を決定した。 だから、 今回は負けたけれど、 まだまだギブアップじゃない。 しかもその決定が、 前日の交流会の喧噪の中でほとんど決まったも同然、 を受けたものであったことが、 何ともわたしたちらしい。

写真エトキ
集会で判決を解説する代理人弁護士

「判決文」 要旨及び抜粋
@ 判決文は、 最初に 「主文」 で 「本件訴えを却下する」 とした後に、 事実経過や原告被告双方の主張が整理されて書かれている。
A 次に 「当裁判所の判断」 として、 まず市教委の主張を取り上げ、 これを検討し、 退ける結論を示した。
B その後、 取消訴訟の対象になるかを検討している。 以下がその全文。

2 次に、 上記前提に立って、 市教育委員会が本件通知によって原告に対し自家用車通勤を禁止したことが、 抗告訴訟としての取消訴訟の対象になり得るかどうかを検討する。
(1) まず、 上記の市教育委員会がした自家用車通勤禁止の法的性質についてみると、 もともと教育委員会が一般私人の自動車利用を制限できる権限のないことは明らかであるし、 本件の場合でも、 任用関係等にある教職員等に対して、 勤務場所への往復のための自家用車の利用を制限しているにすぎず、 また、 その違反に対する不利益も当該教職員等の服務、 任用上のものに限られることは明らかである。
   そうだとすれば、 市教育委員会がした自家用車による通勤の禁止は、 市教育委員会から県費負担教職員たる原告に対する職務命令と解するほかはなく、 原告は地教行法43条2項に基づき、 原則として忠実にこれに従うべき筋合いのものである。
   このような、 職務の遂行あるいはこれに関連して発せられる職務命令については、 いわば行政の内部問題というべきであり、 私人としての権利義務に影響を与えるものとはいい難いから、 抗告訴訟によって職務命今についてその取消しを求めることは本来的に予定されていないものと解される。
(2) この点、 原告は、 本件通知によって、 自家用車通勤が禁止され、 重大な権利、 利益が奪われたのであり、 その重大性に照らして取消訴訟の対象となりうると解すべき旨を主張する。
   しかしながら、 職務の遂行ないしこれに関連して発せられる職務命令によって、 被命者に一定の制約が生じることは当然に予定されていることであるから、 その権利、 利益が侵害されているということから直ちにこれを取消訴訟の対象になり得るということはできない。 もとより、 職務命令について常に取消訴訟の対象とはなり得ないかは検討の余地もあると思われるが、 本件の場合には、 原告において自家用車通勤の許可申請もしていないし、 自家用車通勤をしなければならない特別の事情があるとも認められないのであり、 また、 他に上記職務命令に従うべき義務の存否等を争うことも考えられないではないことからすれば、 あえて上記職務命令に対する取消訴訟を肯認するまでの必要性は認められない。
3 したがって、 本件通知による自家用車通勤の禁止は、 抗告訴訟の対象となる 「行政庁の処分その他公権力の行使」 には該当しないものと解されるから本件訴えは不適法である。

傍聴席から
  「お母ちゃん、 車で通勤できなくなっちゃうよ。」 幼児を抱っこした若いお母さんの声を聞きながら地裁を出て、 総括集会の開かれる開港記念会館へ向かう。 横浜車通勤裁判の提訴は、 却下という不当な判決が下された。 私は普通 (かな?) の主婦で、 それ程、 理解力の強い人間ではないけれど、 多くの人々が車によって忙しい日々を助けられ、 生活をしていることを思うとき、 今回の通達は意地の悪いいじめのように思えてならない。 権力をかさに着たような通達に寒気を感じるのは、 戦争を体験した人間だからだろうか。
 私の娘も五歳の子どもを保育園に送り、 そのまま車で通勤している。 車でなければ、 朝一番か二番に保育園に入るという娘や孫の朝はもっと早くなり、 冬など大変だろうと思う。 百年を生きることはまれな人間どうし、 一人一人の生活を尊重し、 思いやることが行政の本当の姿ではないのか。
 提訴は却下されたけれど、 原告となられた山本理さんと横浜学校労働者組合の皆様の、 頑張りを越えた当たり前の生き方に心から拍手を送らせて戴きます。 普通 (以下かな?) の主婦が貴重な経験をさせて戴き、 眠った脳に刺激を与える機会に恵まれたことを有難く思います。
    (横浜市民 奈良静子)

 私たちが手紙を書くとき、 相手の住所をあて先といい、 相手の名前をあて名といいます。 ところが 「車裁判」 では名あて人という言葉が出てきました。 初めて聞く言葉です。 市教委側は 「校長が名あて人で、 原告に向けてのものではないから、 原告が訴えることはできない」 というわけです。 そんなら、 日の丸・君が代のことも 「校長に向けている文書だから、 オレたちには関係ない」 と言い返せるのですね。
 二学期制だ・キラキラタイムだ・民間校長だ・ヤンキー先生が教育委員だ。 市教委が手柄を立てたくていろいろな通知を出してきます。 車通勤禁止もその一つでしょう。 今や権力にタテつく奴はいないだろうと、 私たちをナメ切っているのです。 確かに現場は疲れていて正面から文句をいう人は少ないけど、 ニャロメ、 ナメるなよ。
  「車裁判」 はそんな権力に一矢報いたと思います。 高裁も楽しみましょう。
    (藤沢市立小学校教員 名取弘文)

二〇〇六年度 横校労執行委員会

執行委員長    朝倉 賢司 (本郷養護)
執行副委員長   赤田 圭亮 (東鴨居中)
         溝口紀美子 (港南台ひの養護)
書記長      針谷 秀雄 (品濃小)
書記次長     山本  理 (青葉台小)
財務部長     石垣 郁子 (菅田中)
調査編集部長   田中 敏治 (中和田中)
法制理論部長   茂呂 秀宏 (専従)
女性部長     田中 恵子 (上菅田養護)
小学校部長    岡  健朗 (西寺尾第二小)
中学校部長    松下 康雄 (東鴨居中)
盲聾養護学校部長 巻山美知子 (高等養護)

 

 

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