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読者Q&Aコーナー ―― ザ・交渉術 〜 まずは入門編 〜 ――
Q
(略) おかしいな、 と思ったんです。 どうしてわざわざそんなことを言うのかな、 と隣の先生とも話していました。 でも学年主任は 「管理職から云われたことだから」 と頑として譲りません。 そこで思いきって云ってみました。 「センセー、 フツー人間は一日八時間まで働くように法律に定められているんですよ。 なのに、 一日一八時間以上働いて、 あとは何にもなし、 これじゃ奴隷の労働だと思います」。 そしたら学年主任、 さすがに色をなして 「先生はそういう言い方をなさるんですか!わかりました。 そのまま校長先生にお伝えします!」 とエライ剣幕に。 (略) 呼ばれました、 もちろん。 でも、 校長はとても優しくて 「いいですか、 センセ。 みなさんそれぞれご事情を抱えながらも、 子どもたちのために懸命にがんばってくれています。 センセもそうですよね。 あらためてお礼を言わせてもらいます。 ありがとうございます。 で、 これは私からのちょっとしたアドバイスなんですが、 聞いてくれますか。 いやセンセがどうのというお話ではありませんよ。 私が申し上げたいのは、 労働時間とか勤務時間とか、 そういう考え方をしていると、 一番大切な子どもたちのためになにができるか、 ということがおろそかになってしまいます。 センセのような将来を嘱望されている若い先生がこれからの横浜の学校を支えていくのですから、 ぜひとも考え違いをされないように、 私、 こんなおばあちゃんですから、 ホントに老婆心からのお願いなのよ。 がんばってね、 センセ」 (略) 私、 恥ずかしいんですけど、 つい涙が出てしまったんです。 ずるい言い方だなってわかるんですが、 30歳近くも離れた親のような歳の校長に優しく云われるとダメなんですよね。 そこで考えました。 (略) そうですよね。 校長と教員という関係だから、 ついほだされてしまうんだって。 これが組合員と校長だったら違うのにな、 って思いました。 (略) 交渉について教えてください。
    (某区 小学校教員 29歳)
A
  「こどもたちのために」 ですか。 相変わらずこういう文脈で使われるんですね、 この言葉は。 私は昔からこの言葉は危険信号!これを使う人は、 100%人をまるめこもうとしているぞ、 と思うことにしています。 こういう言葉は、 口に出さないからそれなりの意味があるんですね。 口に出したとたん偽善的なものに変わってしまう。 世の中にはこうした言葉がたくさんありです。
 さて、 いい点に気がつきましたね。 確かに校長とヒラ教員では、 泣かされるかすくみ上がるかですね。 そこで考えてみてください。 人間はいつも何らかの役割を生きています。 自然的な役割だけでなく、 社会的な役割もあって、 校長−ヒラ教員は、 そのまま社会的に当局−組合員というふうに変換することも可能です。 でも、 これがなかなか一方の関係が強すぎると新しい関係にもっていこうとしても、 引きずられてしまうことが多いんです。 「センセー、 ま、 そんな堅いことをおっしゃらずに」 なんて云われると 「はぁ、 そうですね」 なんてことになりかねない。
 あなたは、 まだ (失礼) 浜教組の組合員なんですね。 ならば分会に校長交渉ができる機能があるのを知っていますか。 お願いじゃなくて交渉。 これは、 地方公務員法に定められた法的な裏付けのあるものなんです。
 実際にやろうとすると、 事務折衝、 予備交渉、 本交渉といろいろと手続きはありますが、 要は、 当局は勤務条件という枠の中で職員団体 (組合) と話し合わなければならない、 ということです。 一般的には、 市教委と組合本部が交渉をしているわけですが、 すべての分会の問題を本部がやるわけにはいかないので、 現場での労使関係、 つまり校長と分会が、 具体的な職場の問題について交渉を設定できることになっているのです。 職場にある 「職免規定」 をみてください。 職免でできることになっていますから。
 まずは、 分会としての意思統一、 具体的な獲得目標の設定、 申入書の作成、 交渉人員の選出、 などを行って本番に向かいます。 記録係も含めて出席人数は多ければ多いほどいいと思います。 ただ、 人数が多いとてんでに話してしまって収拾がつかなくなることがあります。 内部での指揮を決めておくことも大切です。
 さて、 交渉で一番大切なことは、 これは私も大変苦手なのですが 「しゃべりすぎないこと」 です。 大きな声で相手の発言を遮ってまで自分の意見を主張する人もいますが、 あまり意味のあることではありません。 どちらが、 どれだけ情報をもっているのか、 を考えたとき、 組合側は決定的に劣勢です。 管理職は 「労務」 も仕事であるのに、 私たちの仕事は 「教育」 に限られます。 情報を保持する量の違いを超えるために、 管理職にたくさんの質問を浴びせ、 議論の共通の土俵をつくることが先決です。 そのためには、 あらかじめ議論のもととなる文書や通知の確認を忘れてはいけません。
 今回の問題ですと、 泊を伴う行事についての変形八時間の運用 (03年3月25日通知) が重要です。 この通知に従ってきっちり運用している学校はとても少ないのです。 古い文書ですが、 平成元年通知も必要です。 これは二つあって、 一つは教職員課 (当時) もう一つは指導課 (当時) から出ていますが、 前者については、 3・25通知の時に廃止になっています。 児童・生徒の健康観察について定めた後者はまだいきています。
 学年主任が云ったという 「そんなこと言ったって、 みんなが替わりばんこに休んだら、 学校が成り立たない」 という発言、 おおもとは校長でしょうから、 そのあたりから交渉に入っていくといいでしょう。 この発言は、 校長のものなのかどうか、 もしそうだとしたらその真意はどういうことか、 労働者保護を無視した発言ではないのかなど追及し、 そんなつもりはなかった、 今後誠実に対応する、 ぐらいの言質はとっておきましょう。
 通知に沿った形での運用を約束したら、 確認を忘れずに。 できれば文書にして両者が押印しておけばあとで 「いった、 いわない」 でもめることも避けられます。
 大事なことは、 勤務条件は職員会議なんかで決めるものではないということ。 これから、 祭礼のパトロールなど、 休日、 夜間の勤務がありますね。 休日や夜間の勤務については、 緊急やむを得ない場合ではありませんから、 原則としてなし。 しかしどうしてもという場合、 管理職がまず教職員の状況から、 超過勤務命令が可能であるかどうかを判断し、 個別の職員に対して打診、 引き受けてもらったものについてのみ勤務とするのが当然ですし、 その際、 代替え措置について明示することもあたりまえのことです。 そうしたことを全くせずに、 児童指導や生徒指導の教員が 「例年やっていることなのでよろしくお願いします」 などと打ち合わせで云ったりしますが、 彼らにそんなことをいう権限はありませんし、 まっとうな管理職ならば、 すぐに制止して 「その件については、 私の方から」 というのが常識的な対応と言えます。 そのあたりでも、 管理職の意識のレベルをはかることができます。
 とりあえず、 せっかく組合員、 分会員なのですから、 もっている武器?を正しい使用方法に従って使ってみることをお勧めします。 もしまだ使い方がわからなかったら遠慮なく云ってください。 私もけっして上手ではありませんが、 30年近くあちこちの行政、 校長と交渉をしてきましたから、 たいていのことはお答えできると思います。
    (赤田圭亮)
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