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授業時数確保の策動を許すな!

授業時数を増やそうとする策動を許すな!
 〜横浜教育ビジョン推進プログラムを読んで〜
   針 谷 秀 雄
 横浜市教育委員会は、 昨年十月に 「横浜市教育改革会議 最終答申」 (十八年三月) の 「十三の重点プラン、 二六の提案と百六十の具体的方策」 を受けて、 「横浜教育ビジョン」 なるものを策定した。 同ビジョンは、 世界に通用する 「市民力・想像力」 を兼ね備えた 「市民」 に向けて育つ“横浜の子ども”像として、 三つの基本 〔知・徳・体〕 と二つの横浜らしさ 〔公 (公共心と社会参画意識)・開 (国際社会に寄与する開かれた心)〕 を育んでいくとしている。 そのために、 重点プランを重点政策として取り組むとして十五項目に拡大している。 追加されたのは、 □七豊かな心を育む指導の推進と□九新たな高等学校教育の推進である。 

  「横浜教育ビジョン」 は、 「教育のまち・横浜」 の実現を図るために横浜の教育の役割を述べたものであり、 十五の重点政策については十八年度からの五ヵ年で実施しようという計画である。 重点政策では、 「横浜らしさ」 を示すために、 □一横浜版学習指導要領の策定、 □二横浜の時間の創設、 □八横浜から創る新たな特別支援教育を掲げている。 
 今年度既に、 □六子どもの実態把握と確固たるデータに基づく教育の推進として学習状況調査・新体力テストが実施された。 いずれも同ビジョンが策定される前の実施だったために、 昨年の十月以降に処理活用について新たなデータ処理を求められることになったのである。 子どもたちの学力低下への懸念と体力低下の実態を裏付けるために、 全市の児童生徒を対象に実施する必要があったのである。 それ故に、 今年度から全額市費負担での実施を強行し、 データのパソコン処理を指示して来たのである。 当然、 データは次年度からの□一と□二の政策の実施過程において活用されることになる。 

 □一横浜版学習指導要領の策定と推進においては、 国の学習指導要領に横浜らしい教育課程を上乗せする方向が示されている。 しかも、 国の同要領は最低基準という大綱的性格のものであると位置づけられており、 各学校は横浜版学習指導要領を基準に教育課程を編成するよう求められている。 上乗せすると、 年間総授業時数は上表の通りとしている。 

学年★小学校★中学校
1年★2年★3年★4年・5年・6年★1年・2年・3年
週授業時数★25★27★28★29★29
年間総授業時数★875★945★980★1015★1015
国:年間授業時数★未定★未定★未定★未定★未定
現行学習指導要領★782★840★910★945★980

 横浜版学習指導要領の完全実施は平成二二年度となっているが、 授業時数の確保については前倒しで実施するようになっている。 ゆとり教育の中で削除された教育内容と授業時数を 「横浜らしい」 教育課程と銘打って、 再生しようというものである。 このような授業時数の大幅アップは児童生徒はもとより、 教員にとっても大変な負担である。 授業時数は、 教育課程編成の課程において算出されるものであり、 授業時数確保が先行するのは本末転倒である。 一方的に授業時数を増やそうとする市教委・管理職の策動を許してはならない。 
 伯井前教育長の退任後の発言を思い出す。 「学習指導要領の次期改訂では、 国は最低の総授業時数を示し、 プラスアルファーは自治体に任せるのではないか」、 「来年度、 文科省が実施する全国学力調査での国語や算数が政令指定都市で最下位になんてことになったらクーラーをいれる、 なんてことになるのではないか」 との話。 
 となると、 やっと押尾教育委員長の出番が来たようだ。 教室環境を整備して授業時間を増やしたり、 サマースクールを開催したりしたことを自らの実績として掲げ、 横浜でもこれを実施しようと乗り込んできたが、 自らが教職員へ送ったメッセージが不評であり、 全市五四五校を対象に実施しようとするのは到底無理であると分かって以来、 鳴りを潜めた状況が続いていたからである。 

 ところで、 来年度は、 九千万円の予算をつけて横浜市学習状況調査が対象学年を一年生にまで拡大して二月に実施される予定である。 全市児童生徒の学力の把握と合わせて教員の指導評価につなげて行く考えである。 勤務評価を賃金に反映させようとする動きも始まっている。 同ビジョンにはそのような政策もまた見え隠れしているのである。 

 

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