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校長の決定権だけが拡大した  07年度人事異動の実態と課題


 新人事制度も三年目を迎えて、 市教委の人事異動方針がより強く反映してきた。 今年度は、 @人事異動における校長判断を一層重視するとともに、 管理職を補佐する主幹教諭の拡充、 B異校種間の人事交流 (ジョブローテーション) を推進、 DTA、 FA制度による異動は一校への配当人数の適正化を図り多くの希望校に配置をする等の八項目を重要課題に設定した。

主幹の残留四〇〇人以上
 主幹教諭については現在、 配置の途中であり、 人員確保が図られている。 今年度新たに主幹教諭としての辞令が交付された者は六二八人である。 昇任して副校長になった者もいるが、 大半は主幹教諭として残留措置がとられており、 各校には二〜四名が配置されたことになる。 結果今年度主幹教諭同士の異動による入替はわずかに一七ケースしかない。 主幹教諭の配置が完了すれば当然、 主幹同士の入替人事異動が最優先することになる。 ちなみに今年度の残留審査の対象者として四五〇名が報告され、 市教委が残留を認めた者は四〇〇名以上に及んでいる。 市教委は、 校長の主幹推薦を原則認める方向だが、 一割弱の推薦者には辞令が発令されなかったことになる。

 異動人事の中でもっとも優先されたのは新人事異動制度の目玉として導入されたTA、 FA制度である。 既に、 「意向調書」 に 『特別な異動方法を希望する者』 欄を設定し、 FA宣言する者を区別して取り扱うことができるようにし、 第一次配当までにはTA、 FA絡みの対象者には異動の内示ができるよう周到に準備されて行なわれたのである。 その結果は以下の通りである。

     【△増 ▼減】
TA制度 ★校種・総数★小学校★中学校★盲聾養護学校★総数
TA募集■した学校数★今年度■ 〔前年度比 %〕 ★166校■ 〔△138〕 ★ 95校■ 〔△190〕 ★  5校■ 〔▼若干校〕 ★266校■ 〔△150〕
★昨年度 120校 50校★  7校★177校
TA募集 ■成立学校数★今年度■ 〔前年度比 %〕 ★ 50校■ 〔▼71〕 ★ 40校■ 〔△133〕 ★  3校 ■〔△若干校〕 ★ 94校■ 〔▼92〕
★昨年度★ 70校★ 30校★  2校★102校

FA制度★校種・総数★小学校★中学校★盲聾養護学校★総数
FA宣言 ■した教員数★今年度■ 〔前年度比 %〕 ★ 30名弱■ 〔▼88 〕 ★ 50名強■ 〔△126〕 ★  2名■ 〔▼若干名〕 ★ 80名■ 〔▼98〕
★昨年度★ 30余名★ 40余名★  数名★ 82名
FA異動 ■成立者数 ★今年度■ 〔前年度比 %〕 ★ 20名弱■ 〔▼58〕 ★ 45名■ 〔△118〕 ★  1名■ 〔▼若干名〕 ★ 70名■ 〔△104〕
★昨年度★ 30名程★ 40名弱★  数名★ 67名

FAの成立増―― 校長に決定権
 TA公募については小中学校とも一三八%、 一九〇%とそれぞれアップしており、 全校種では昨年度の一五〇%に増加している。 これは、 市教委が昨年からTA公募をするよう校長指導を強化した結果である。 ところが、 異動成立率となると、 小学校が三〇%、 中学校は四二%、 全校種では三五%にしか達していない。 昨年度の成立率は五八%に達し、 一昨年よりプラス一八%であったにもかかわらず、 今年度はマイナス二三%の大幅ダウンである。 不成立の主な理由は「希望が一致しない」だそうだが、 あくまでも公募校校長に決定権があり、 応募者側の意向が反映されることは全くない。

 他方、 FA制度については、 宣言した者は昨年度とほぼ同数であるが、 異動成立した割合は八二%から六%増えて八八%になっている。 中学校は異動成立率が高く、 九〇%に達している。 反対に小学校ではFA宣言者数も異動成立率も下がっている。 不成立の主な理由はこれも「希望が一致しない」だそうだが、 どうやら、 市教委は面談の内容を何ら把握はしておらず、 FA宣言者当該校長からの 「意見具申書」 によって初めて様子を知ることになるのである。 ここでも、 FA宣言者を指名する学校長の権限に全て委ねられており、 「意見具申書」 に宣言者の意見を記述する欄もない。

TA制度で校長主導の人事
 今後も市教委はTA、 FA制度をセットにして校長の人事権を拡大し、 校長を中心とする組織体制の構築を図ろうとしている。 どちらかと言えば、 TA公募を強化する方針である。 TA制度の方が、 校長主導型で異動人事が進められるからである。
 となると、 まず、 同制度によって校長の恣意的人事が強化されないように、 TAに公募した者の意見表明が対外的に明らかにするようにしなければならない。 実施された面談の内容を報告・公開させる必要がある。 TA公募による異動成立率が、 全体で三五%にしか達していないことは、 制度自体に問題があることは歴然としている。 異動希望者側の意向が反映するよう改善を迫っていく。
 と同時に、 特色ある学校づくりをTA、 FA制度を軸に推進しようとする校長の姿勢を許してはならない。 特色ある学校づくりをするならば、 現任校に勤務している教職員を中心に進めるべきであり、 外部から人材をてこ入れして取り組むべき性格のものではない。

★第一次配当■2/28★第二次配当 3/22
今年度★77.2%★22.7%
昨年度★81%★19%
前年度比★−3.8★+3.7

★★小学校★中学校盲聾養校★総数
意見具申件数★今年度★★★40件 
★昨年度★20件弱★20余件★40件 
認められた件数★今年度★★★20件弱
★昨年度★10件弱★10件弱★20件弱

 次に人事異動の手続きをみると、 今年度は第一次配当で全体の七七・二%、 第二次配当で二二・七%となっている。 学期末の配当が増え、 意見具申などできる状況ではない。 意見具申の主な内容は、 保育と介護に伴う通勤時間を理由としたものであるが、 意見具申の数値に関しては初めからこの程度に抑える操作が行われているようである。 意見具申はもはや形式的なものになってしまっているようである。 第一次・第二次の配当時期をもっと前に設定させ、 第三次配当も復活させて、 意見具申がしやすい条件を作っていかなければならないであろう。

教育活動の活性化につながらない人事
 最後に今回の異動人事に関しては管理職も含めて不満の声が多数上がっている。 異校種間の人事交流が促進された (過去最大の人数規模となった) ために異動希望者のキャリアが活かされない職場への配属あるいは居住区から離れた職場への転勤が広範囲に及んでいるからである。 また、 災害対策に向けて進められていた勤務校の居住区接近も行われず、 通勤時間が大幅に伸びていること等、 様々なケースに教員はやる気を喪失している。 これでは異動人事による教育活動の活性化など図られようもない。
    (針谷 秀雄)

 

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