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〜傷害容疑で書類送検? 3年前の市教委の判断の根拠は?〜


 メールですいません。 今朝 (7月3日)、 新聞を見て 「なんだかへんだなぁ」 と思ったものですから。 (略) 市教委が処分を出していないのに、 どうして書類送検なんてことになるんでしょうか。 (略) 弁護士費用はどうなるのでしょうか。 (略) 有罪になると市教委は懲戒処分を出すのでしょうか。 なんだか順序があべこべのような気がして (略)。 先生はこの問題どんなふうに考えますか。 Q&Aで答えてもらえるとうれしいのですが。 (略)

 つい先日、 東京では三分の一教員が、 訴訟保険に入っているという報道がありました。 記事によると、 いわゆるモンスターペアレントによる無理難題要求に対して、 教育委員会も校長も自分を守ってくれないから、 というのが理由だとか。 月700円の掛け金で8000万円までの訴訟費用を払ってくれるというのは、 かなり効率のいい保険と言えますが、 もしかしてセクハラはダメなどの免責条項がたくさんあったりするかもしれません。 横浜でも、 かなりの数の管理職が訴訟保険に加入しているという話があります。 これも、 結局は市教委は管理職を守ってくれない、 ということかもしれません。 でも、 教員が仕事上のことで訴えられるのを見越して保険に入るって、 どこかストレートすぎてにわかには納得できません。
 さて、 お申し越しの件ですが、 私も7月2日の夕刊、 3日の朝刊で知りました。 県警捜査一課と青葉署は2日、 青葉区の柔道部顧問教諭 (28) を、 傷害容疑で送検したとのこと。 発端は04年12月、 部活動の指導中 「男子生徒に投げ技を一方的に続けた後、 絞め技で意識をもうろうとさせ、 意識が戻った後も技を何度も続けて全治不能の脳機能障害を負わせた疑い」 (神奈川新聞)。 これに対して横浜市教委は、 「調査したが、 行きすぎた指導は確認できなかった。 (今でも) 異様な練習だったとも、 とらえていない」 ので 「体罰への謝罪については司法の判断を待ちたい」 (同) としています。
 あなた同様、 長いこと教員をしているとこうした報道に接したとき 「あれ、 なんか変だな」 と直感的に考えてしまいます。 報道だけをみると、 問題は柔道部顧問と被害生徒、 保護者の問題のように見えますが、 実はもうひとりというかひとつの主役は、 市教委ですね。 そのあたりを見逃すわけにはいきません。
 新聞報道の事実の内容は警察発表ですから、 かんたんに鵜呑みにはできませんが、 これを体罰と考えないためには、 指導法そのものが合理的で、 障害を引き起こす蓋然性がかなり低いことが明らかであった、 と市教委が判断したということになります。 そうでなければ市教委が 「沙汰なし」 とするわけがありません。 わずかな飲酒でさえも、 ほとんど問答無用に懲戒処分にしてきた市教委としては、 よほど確信があってのお構いなしだったということになります。 決め手は、 障害の発症原因が、 その 「指導」 にあったのかどうか、 医療関係者の判断を仰いでも特定はできなかった、 というのが市教委の主張のようですが、 発症原因となったかどうかで体罰かどうかを判断するという見解には、 私は首を傾げざるをえません。 今まで、 市教委はそんなことを言ってはきませんでした。 肩をつかんだだけでも相手が体罰だというなら体罰だ、 というのが正式な見解でした。 なにしろホーキの柄でコツン、 でも重い処分がでているのですから。
 一方警察は今回、 容疑を業務上過失傷害ではなく、 傷害で送検しています。 これは、 事件を教員による 「教育的指導」 の枠で捉えておらず、 街中での傷害事件と同じ扱いをしているということです。 この点で警察と市教委の見解はまったく正反対です。
 さて、 送検され、 起訴されればそれが正しかろうと間違っていようと 「司法判断」 を待つしかないのは事実です。 しかし、 教諭の立場からすれば、 どうでしょうか。 もし04年時点で彼のやったことを市教委が 「行き過ぎた指導」 という判断をしていたとしたら、 どうだったでしょうか。 被害生徒や親の受け止め方はどうだったでしょうか。 教諭自身はどうだったでしょうか。 3年後に突然、 刑事事件の被疑者となり、 新聞報道。 「沙汰なし」 とした市教委は、 自分を守ってくれるどころか 「司法判断を待つ」 として頬かむり状態、 もちろん弁護士費用は自弁、 市教委は刑事事件の被疑者だから、 教諭を現場に出すわけにはいかない、 と自宅待機、 研修を命じます。 何もなく3年間も勤務してきたのに・・・という思いは残るでしょう。 教諭は、 孤立無援の中で裁判を受けなければならない状況に追いやられたわけです。 どうしてここまで来てしまったのでしょうか。 この国では、 起訴されれば99%以上が有罪になります。 初犯で執行猶予がついたとしても、 民事訴訟は避けらません。 いや、 もしかしたらそちらこそ主戦場なのかも知れません。
 外部からは、 実際にその場でどんなことが起こったのか伺い知ることは難しいのですが、 市教委の事実に対する 「踏み方」 が、 こうした事態を招いたことは間違いないと思います。 とすれば、 市教委には市教委なりの責任の取り方があると、 私は思います。 少なくとも警察と正反対の評価を 「事件」 に下した以上、 教諭が事実関係を争うとしたら、 教諭を 「守る」 体制をとるべきではないでしょうか。 当然証人申請がなされるでしょうから、 明快に主張を披瀝すべきでしょう。
 さてさて、 大組合浜教組は、 分会長会議などで訴訟保険加入を勧めているそうですが、 それでは保険料の二重取りでしょう。 誰が守ってくれなくても組合だけは、 と思ってみな安くない組合費を払っているのではないですか。
 教育委員会も管理職も、 組合までもが守ってくれないとしたら・・・そんなときは横校労に入るしかありませんね (笑)。

    (赤田 圭亮)

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