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〜 処分が変わることもあるんですね〜

 久しぶりのメールです。 (略) 3月の末に飲酒の先生の処分が覆ったという記事を見たように思うんですが、 これは先生が関わっている大澤先生のことなのでしょうか。 (略) 処分がこんなふうに変わることもあるんですね。 (略) どんな仕組みになっているんですか。 よくわからないので教えてもらえませんか。 私もいつそんな事態に陥るかわかりませんから。 (略)    
                 (青葉区・中学校・46歳)

 その記事、 私も切り抜いておいたのでここに挟んでおきます。 ごらんになればおわかりのように、 これは楽天の副社長が校長をやっていたときにおきた、 いわゆる東山田中修学旅行飲酒処分事件についての記事ではありませんが、 同じお酒に関わる処分としては関連がないわけではありません。 まずは3年越しで職場復帰を勝ち取ったこの先生に 「おめでとう!」 と言いたいし、 処分不当と闘い続けてこられたことに敬意を表したいと思います。
 事件の概略を簡単にまとめてみましょう。 横浜市教委は、 03年と04年に職員の処分についての通知を出し、 いわゆる 「処分量定一覧」 (ネットでも見られます) を提示します。 これは、 非違行為の事例についてどういう処分がふさわしいかを表にしたものです。 それぞれについて、 「戒告・減給・停職・免職」 の4段階を示したものです。 この中に 「飲酒運転は原則的に懲戒免職、 特段の事情のある場合には停職とすることができる」 と定められています。
 05年10月、 酒気帯び運転で中学の先生が罰金刑を受けます。 これに対して市教委は特段の事情があると判断し、 懲戒免職とはせずに 「停職三ヶ月」 としました。 ここがまず第一のポイントですね。 その2ヶ月後の05年12月、 この記事の戸塚中学の先生が同様に酒気帯び運転で検挙され、 罰金20万円の略式命令を受けます。 市教委は10月以降、 二度にわたって飲酒運転を注意する通知を出していたことから、 「懲戒免職」 処分を出すわけです。 「あれだけ言ったじゃないか」 ということですね。 これが二つめのポイント。
 そして今回、 横浜市人事委員会は、 この処分に対して10月の事件とのバランスを考え、 懲戒免職を覆し、 停職6ヶ月と修正したわけです。 懲戒免職はあまりにアンバランスな処分であるとして取り消し、 「あれだけ言ったじゃないか」 の分を3ヶ月と見て 「停職6ヶ月」 としたようです. これが三つめのポイントです。
 人事委員会の仕組みについては、 のちほどに。 ここでまず触れておかなければならないことは、 こんなかたちで人事委員会によって処分が覆ることは、 この国の実態としては1000回に1回もないということです。 わずかにある覆った例は、 処分の内容の問題ではなく、 処分手続きに誤りがあったというものが大半です。 これはどういうことかというと、 今回の横浜市教委の処分はそれほどに稚拙で不均衡なものであったということなのです。
 10月の事例は、 初めての適用ゆえ、 またずいぶんと信頼に足る職員であったため、 市教委としてはややビビってしまった、 処分量定一覧を高々と掲げながら、 結果として最初から例外規定を使ってしまった。 そのまま何もなければよかったのですが、 2ヶ月後に同様の事例が起きてしまう。 これまた例外事項にあたる 「熱心な指導や良好な勤務状況」 の教員、 しかしここで同じ轍を踏んでしまっては 「処分量定一覧」 の威光に傷がつく。 そこで 「エ〜イ!原則適用だぁい!」 とばかりに懲戒免職にしてしまった、 ということでしょう。 これが稚拙かつアンバランスとして今回人事委員会に是正されたわけです。
 問題は、 @処分量定一覧の初めての適用から例外規定が使われたこと。 A特別の事情がある場合、 の中身が曖昧であること。 B第一のポイントと第二のポイントでの判断が短絡していたこと。 Cこれほどに処分がぐらつく〜特別の事情の引きずられる〜ということは、 処分量定一覧そのものが十分な合理性を有していないこと、 などが挙げられます。
 つまり、 事故を起こしていない酒気帯び運転を一度で懲戒免職にすることに無理があったということですね。 校長による女性教員に対するパワハラ、 セクハラが減給で (セクハラ、 パワハラも親告によっては、 犯罪であることは東京福祉大理事長の事件でも明らか) 東山田中事件のように勤務時間終了後の寝酒程度の飲酒に対しても同様に 「減給」 にするなど、 処分量定一覧は明らかにバランスを欠いています。
 次に 「特別の事情」 の曖昧さです。 「熱心な先生、 勤務状況が良好な先生」 と 「フツーの先生」 の間の線は誰が引くのでしょうか。 減刑?嘆願署名の多さでしょうか。 さしずめ私などは、 「フツー以下」 ということで特別の事情は適用されないのでしょうが、 所詮 「熱心な先生」 などいわば恣意的な判断に過ぎないということです。 そんなものを持ち込んで 「特別の事情」 とするぐらいなら、 処分量定そのものをしっかりと吟味するここです。
 三つめは、 その場その場の判断があとあとのことを考えたものとなっていないことですね。 行政が出した処分が人事委員会の判断で覆るというのは、 それはそれで制度が正常に動いたとも言えるのですが、 行政からすれば仕事の精度を否定されたわけで、 とっても恥ずかしいことだと思います。
 さて、 人事委員会の仕組みですが、 処分 (戒告以上のものをさします。 訓告や厳重注意は処分には含まれません) が出されてから60日以内に被処分者は、 人事委員会、 あるいは公平委員会に対して 「不服申し立て」 をすることができます。 審理が必要と人事委員会 (審査長含めて3名で構成。 弁護士などが委嘱されている) が判断すると、 公開口頭審理が関かれます。 これは一般の裁判とほぼ同じかたちで進められます。 それぞれ代理人 (弁護士) を立てての証拠調べ、 証人尋問などが行われます (もちろん本人だけで闘うことも何ら問題ありません)。 現在東山田中事件もこの公開口頭審理の最中です。 審理が尽きたと人事委員会が判断すると、 裁判の判決にあたる 「裁決」 が出されます。 これに不服の場合は、 地方裁判所に 「裁決取り消し」 の訴訟を起こすことになります。 初めから裁判所に訴えてもいいのですが、 裁判所は 「まず人事委員会で審理をしてきなさい」 といわゆる前置主義をとるようです。
    (赤田 圭亮)
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