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〜小浜逸郎さんと横校労の関係は? 是々非々で〜

 (略) 先日、 アレンジャーの中に 「きょうよこ」 No.51 (市教委教育政策課発行) が入っていました。 またまた 「横浜版学習指導要領」 なるもののコマーシャルでしたので、 いつもどおり 「色もの」 の箱に捨てようと思って印刷室に足を運ぶ途中、 ペラッとめくったところ、 新教育委員と教育長の紹介が載っていました。 (略) 小浜逸郎さんって赤田さんの出版記念パーティーで話をしていたひとですよね。 (略) 職場で配られた某政党系の人たちの 「ほんりゅう横浜」 にはずいぶんと批判的な書かれ方をしていますが・・・ (略) どうも赤田さんたち横校労と小浜さんとの関係がよくわからないのですが、 もしよければ今度Q&Aで説明してもらえませんか。 (略) 笑わないでください、 私の今年の校務分掌は生徒指導部の部長です。 困ったときには電話させてもらいます。 (略)
    (鶴見区・中学校・41才)

 私も両方とも目を通しました。 とくに 「ほんりゅう横浜」 は、 私の職場では全員配布という気合いの入りようでした。 しかし中身は、 ウラも表も 「教育委員会を傍聴する会代表」 の土志田栄子さん名の要請文と抗議文で、 教職員の会や現職の教員の方からの小浜さんへの論及がないのが、 少し残念な気がしました。 土志田さんは、 二学期制問題の頃にも熱心に教育委員会を傍聴されていて、 お話を伺ったことがあります。 退職されてもこうした活動を続けておられることには頭が下がるのですが、 正直言って今回の 「小浜批判」 に限っては、 教条的で浅薄、 偏頗ではないかという印象でした。
 小浜さんは、 おっしゃるとおり拙著 『サバイバル教師術』 の帯の文章を書いて下さった方で、 あなたが出席してくれた98年9月の出版パーティーで、 発起人代表としてあいさつされた方です。 小浜さんとの出会いは、 85年の 「並木第三小・杉本治君自殺事件」 に関わって現地調査などをして 「私たちの調査報告書」 をつくった頃、 私たちとは全く違った視点からこの事件を読み解いた論考を当時の 『図書新聞』 に寄稿されていたのを読んだのが最初だったのではないか、 と思います。 そして同じ85年に 『学校の現象学のために』 (大和書房) が出版されました。 校内暴力や不登校といった教育の現象を、 イデオロギーや思いこみからそれぞれの 「物語」 として語るのではなく、 掛け値なしの 「社会現象」 としてしっかりとらえようとする姿勢は、 当時多くの人たちに大きな驚きをもって迎えられました。 私自身、 まだ 「教育=善」 という思いこみにとらわれていた時期でしたので、 違和感と共感がない交ぜになったまま、 一気に読み終えたことを覚えています。 振り返ってみれば、 滝川一廣さんの 『家庭の中の子ども 学校の中の子ども』 (岩波書店・94年) 同様、 この本は自分が教員としてものを考えたり書いたりする上で、 大きなエポックとなった著作だったと思っています。
 小浜さんには 『方法としての子ども』 (大和書房) 『症状としての学校言説』 (JICC出版) 『先生の現象学』 (世織書房) 『子どもは親が教育しろ』 (草思社) 『14歳 日本の子どもの謎』 (イーストプレス) などの教育や学校に関わるもののほかに、 40冊ほどの著作がありますが、 これらについて 「ほんりゅう横浜」 グループは、 批判にあたって、 しっかりあたったのでしょうか。 「憲法とは相容れない右派の論客」 というふうに整理をしているようですが、 はたしてそうでしょうか。 インターネットのフリー百科事典 『ウィキペディア (wikipedia)』 では、 彼はこんなふうに紹介されています。
  「大学卒業後、 学習塾を経営するかたわら、 同人誌 『ておりあ』 を主宰、 評論活動を続ける。 1981年、 処女評論集 『太宰治の場所』 を出版。 1985年に出版された 『学校の現象学のために』 では、 校内暴力等の所謂学校問題に従来の教育論にない斬新な切り口で迫った。 以後家族論、 学校論、 ジェンダー論などを世に問う。 /また、 男尊女卑的な思考をはっきりと退けながらも、 性差の存在自体は文化を豊かにするものであるとして、 『男が裁くアグネス論争』 『男はどこにいるのか』 等の著作でフェミニズム批判の論陣を張った。 /保守、 革新といった旧来のイデオロギーとは一線を画した、 生活人の実感を尊重した議論で支持を得る一方で、 小市民主義といった批判を浴びることもある。」
 どこまで正確かはわかりませんが、 これだけでも 「ほんりゅう横浜」 の見解が、 いかに半知半解かわかると思います。 確かに教科書問題では、 扶桑社版を評価する旨の文章も書いていますが、 政治的な文厭とは言えません。 彼の知の文脈からの発言であると思いますし、 スタンスとして小浜さんは 「つくる会」 とも 「教育再生会議」 とも大きく一線を画しています。 いつもひとりで論陣を張るのが、 彼の流儀だと私は考えています。
 ですから今回、 小浜さんが教育委員になったことに対して、 私自身驚きもありました。 しかし、 書斎からこの世界にあえて足を踏み入れるには、 小浜さんなりに何らかの成算もあるのだろうと想像しています。 私が知っている小浜さんの誠実な人となりからすれば、 少なくとも義家某のように、 中身のないイエスマンということにはけっしてならないと思っていますし、 すでに数回の教育委員会議で 「学校評価の導入によって、 先生たちはのびのび仕事ができにくくなるのでは」 など、 いくつもの鋭い指摘をしています。
 小浜さんと私とでは、 立場も歩んできた道も全く違いますが、 彼が 「きょうよこ」 のインタビューに応じて 「・・・教職員の皆さんが、 無理に頑張らなければならない状況があるとしたら、 改善すべきしくみの問題があると思います」 「子どもたちが学校に通う意味をしっかりしたものにしていくためには、 先生たちが、 授業はじめ本務となる教育活動に邁進できる環境整備が必要だと思います」 としている点については、 彼のこれまでの主張そのものでありますし、 私自身や横校労が取り組んできたことと、 何ら矛盾するものではありません。 今後、 さまざまな場面で教育委員としての小浜さんの言説が、 教育委員会を通して流布されていくと思います。 私たちも、 退職者を中心に教育委員会議傍聴を今後組織的に行っていくつもりですし、 そこで出されてくる一つひとつの問題について、 私たちなりにきちんと受け止め、 是は是、 否は否として、 今までどおり少数組合としての意義を保っていきたいと考えています。
    (赤田 圭亮)

 ※教育委員会議の議事録は横浜市教委のホームページから閲覧できます。

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