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●都田小学校退職強要問題

声 明

   == 横浜・条件附採用者退職強要裁判 終結にあたって ==
 〇八年五月一五日、 横浜地方裁判所は被告横浜市に対して、 原告本多真味組合員に慰謝料および弁護士費用の支払いを命ずる旨の判決を言い渡した。 これを受け横浜市は、 控訴期限の五月二九日までに全額支払いの意志を明らかにし、 控訴を断念、 判決が確定した。 二〇〇五年二月に端を発した横浜・条件附採用者退職強要裁判は、 これをもって三年余の闘いの幕を閉じたことになる。
 まず私たちは、 横浜市教委教職員人事課と都田小学校校長木村光義によりもくろまれた悪辣な共謀〜条件附採用者に対する恣意的な退職強要〜に対して、 怯むことなく抗し続けた原告本多組合員に心から敬意を表するものである。 「なぜ私が退職しなければならないのか、 教えてほしい」 と問い続け、 迷わず横校労の戦列に加わり、 二年余にわたる法廷闘争を闘い抜いた原告、 原告が勝訴判決を勝ち取った裏には、 三つの大きな下支えがあった。 一つは、 たゆむことなく現場にこだわり続け、 日々の労働に真摯に向き合おうとする原告自身の姿勢であり、 もう一つは、 長年にわたる市教委との緊張関係を軸に、 原告とともに妥協なき戦略を確立し、 多様で豊かな戦術を駆使し闘い続けた横校労の組織としての力である。 そして三つめは、 横浜のみならず京都、 大阪など全国で進められている条件附採用者への攻撃に果敢に立ち向かっている人々と、 その支援の輪の広がりである。 私たちは、 これら三つのどれが欠けても、 このきわめてまれな勝利はなかったと考える。
 さて判決は、 私たちが退職強要の実態を克明に立証したにも拘わらず、 その事実を認めてはいない。 市教委の行為を裁判所は 「・・・被告木村に対して、 原告の勤務状況等について詳しく事実の確認をし、 聴取して新たに知り得た情報について更に報告書の提出を求めたり、 依願退職という選択肢があることを提示して、 依願退職の意志がある場合の退職願提出期限を告知したとしても、 これらは教育委員会事務局員としての正当な職務行為であり、 違法不当と認められるような行為ではない。」 として擁護するのである。
 事実は全く違う。 教職員人事課指導主事内藤は、 人事課内某部署の黒い意図を受け、 あたかも分限免職処分が既定の事実であるかのように被告木村に伝え、 原告から依願退職願を引きだそうとしたのである。 そのために木村に対し 「勤務は軽減しない方がいい」、 報告書については病状が 「完全に回復していないという記述が大切」 などとして、 被告木村や原告に対し、 あたかも市教委内の分限懲戒審査委員会が今すぐにも開かれ、 処分過程に入っていくような状況をイメージさせたのである。
 これが退職強要でなくて何であろうか。 裁判所には元来、 行政の職務行為に大きな逸脱などあるはずがないという安直な思いこみがある。 官への根拠のない寄りかかりである。
 その一方、 被告木村に対しては容赦がない。 「・・・校長として、 教育委員会から伝達された事項につき、 伝えるべき義務を有しているというべきところ、 審査委員会の手続き等に不案内であったことや内藤指導主事が 「進捗状況にのる」 「最終通告」 等と誤解を招きやすい表現を使ったことも相まって・・・人事課が未だ審査委員会に発議するか否かを検討している段階であったにもかかわらず、 ・・・その作業過程に入ったものと受け止め、 ・・・分限免職になる可能性があるため、 経歴に傷がつかないように依願退職した方がよいのではないかと勧め・・・同月四日には同月一月五日の件については、 懲戒処分となる旨を説明したことが認められ・・・」 「退職を強要したとは認められないものの、 ・・・職責に違反し、 過失により、 ・・・誤った説明をしたと認められるのであり・・・原告はこの説明により・・・分限免職処分を受けることがほぼ確定していると誤信させられ、 精神的損害を被ったものと認められる。」 とするのである。
 校長職にあって、 行政用語に詳しい者など指導主事経験者以外にいるはずもない。 内藤は、 木村の無知を知りながらあえて誤解するよう仕向けているにも拘わらず、 裁判所は木村のみが誤った行為を行ったとするのである。
 懲戒処分云々についても、 内藤は木村との電話の中で一月五日の居所不明 (これもつくられたものであるが) に対して木村が 「連絡が取れなかっただけ」 と言うのに対し 「それを居所不明というのだ。 居所不明は懲戒の対象であり、 それがネックになっている」 と明確に言っているのである。
 ことほどさように、 被告木村の原告に対する発言の多くは、 内藤がきっかけをつくっているのであり、 被告木村が内藤の意を忖度することによって、 そのまま原告に対する退職強要となっているのである。 もちろん木村自身の味付けも巧妙なのだが。 それを私たちは共謀と言ってきたのである。
 以上、 判決のわずかな一部をとってさえ、 私たちは退職強要の事実を明らかにすることができる。 しかし、 裁判所の判断は市教委に甘く、 木村に厳しく、 結局のところ市教委の 「しっぽ切り」 を追認しているのである。 市教委には退職強要の事実を認めないが損害賠償を認め、 被告木村には責任はあるとしながら賠償金を支払わせず、 原告には退職強要はなかったが、 精神的な損害はあったと、 落語の 「三方一両損」 のごとく、 あたかも大岡裁きのように結構をつけてはいるが、 その分だけ 「原因なき結果」 とも言うべき不安定且つ合理性の欠けた判決となっている。
とは言え私たちは、 法廷を主戦場とは考えてはいない。 闘いは現場でこそ闘われるものである。 本判決は内容に不十分性はあるとは言え、 明らかな勝利判決である。 横浜市が控訴しない以上、 私たちはこの判決を確定させ、 横浜市教委が条件附採用者に対して行った退職強要に対して慰謝料を支払ったという事実を確定させたい。 よしんば市教委が真に自らに瑕疵はなく、 責任はただ一人被告木村にあるとするならば、 市教委は即刻、 木村に対して損害賠償を請求すべきである。 そうでなければ、 原告に対して支払われる慰謝料および弁護士費用は、 税金の不当な支出であるとして監査請求の対象ともなりうるし、 誤った行為によって横浜市に対して実質的損害を与えたのだから、 市教委はさかのぼって校長に対する処分をすべきではないのか。 そうしない、 あるいはできないのは、 この程度のことのどこがいけないんだという開き直りと、 すねの傷を隠しながら、 雀の涙で事件をうやむやにしようという魂胆があるとしか考えられない。 さてどうする、 横浜市教委よ。
私たちは、 ここに横浜・条件附採用者退職強要事件の取り組みをいったん収束することを宣言する。 しかし、 再び同様の事件が起きた時、 私たちは迷うことなく労働組合としてあらたに闘いを臨んでいく所存である。
 末筆ではあるが、 遠隔地からの傍聴支援等長い間のご支援に衷心から感謝するものである。
   二〇〇八年六月一日

 

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