●ホーム●ニュース●学校・教育問題●09.01

横校労ニュース
トピックス
●学校・教育問題

全国学力調査は無意味であり、膨大な無駄と時間の浪費である
横浜市教委は第三回全国学力調査への参加を中止しろ!

全国学力調査の結果公表をめぐって揺れる教育委員会
 「市町村別、学校別の結果を条件付で開示を可決(鳥取県議会情報公開条例改正)」「学力調査不参加の犬山市・教育委員長を解任」「不開示県教委に情報公開委員会『開示を』との答申(埼玉県情報公開審査会)」「文科省・学力調査の開示認めない(来年度実施要領を各県教委へ送付)「秋田県・学力調査結果を市町村も公表(知事判断)」「秋田県藤里町・学力調査不参加へ」「公開が続くと不参加自治体が出ることを懸念(塩谷文科相)」
 全国学力調査の結果公開を巡り、文科省と知事との対立、公開派知事への県市町村教育委員会の反発、そして市町村教委による学力調査不参加表明へと大きく揺れ動いている。
 しかし、当の子どもたちの置かれている状況などはまったく触れられていない。主役そっちのけで、脇役連中のパフォーマンス合戦だけが繰り広げられている。

なぜ、結果公表をめぐる混乱が生じたのか
 文科省は当初から「調査結果の取り扱いについて、都道府県教委は市町村別や学校別の成績を、市町村教委は学校別の成績を明らかにした公表は行なわないこと」とした上で、『学校が自校の結果を公表することについてはそれぞれの判断にゆだねること』とする文科省事務次官通知を調査実施要綱に明記してきた。もし、都道府県教育委員会が、市町村別や学校別の調査結果を公表すれば、序列化と過度な競争を招くことになるのは必然だからであり、それ故に学力調査に参加しない市町村教育委員会が出てくることにもつながって行くことを、文科省は最も恐れたのである。
 ところが、既に一部の地方行政首長や住民による情報公開請求などがあり、それら地域では、自主的でない公表が行われているのである。鳥取県の場合は、市町村別と学校別の調査結果を情報公開の開示対象としたのである。(情報の使用については学校の序列化、過度の競争が生じないようにとの条件付けではあるが。)
 しかし、今回の秋田県の公表は、県内全域の市町村の科目別平均正答率を自治体名と合わせて全面公開したものである。同県内には小中学校がともに一校という自治体が六つあり、学校を特定することが可能となった。市町村教育委員会は一斉に反発し、藤里町のような「不参加表明」につながった。
 これに対して、文化省は「データを教育改善に役立たせることが目的であり、情報開示は必要ない」として、実施要綱にそって第三回の全国学力調査を行うよう通知している。文科省は個別の成績を公表しないことを約束して都道府県教育委員会に参加を求めてきた経緯があり、その約束が情報公開によって覆される結果となることは想定してこなかった。五八億円もの公金をかけて、全国の小学六年生と中学三年生に全員一律の問題を与えて悉皆調査することに躍起となっていたのである。もし、全国学力調査に参加しない市町村教育委員会がいくつか出てくれば、全国調査の意味を成さないとまで考えているのである。

横浜でも全国調査の結果公表を行った学校があるのだ
 横浜市教委は、前年度の実施の全国学力調査の結果を学校便り等で公表するよう求めた件についての質問に、「公表とは数値の公表であり、個々の学校名を明らかにした公表は行っていない。市教委として各学校に数値の公表は求めてはいない」として、数値公表はしないとの立場を明言した。その上で、もし保護者から数値を開示するよう学校宛に請求があった場合はどうするのかとの質問に「学校名を明らかにした数値の公表は行なわない。開示請求があった場合は非開示として対応する」と回答している。
 ところが今年度は、各学校に対しては「一〇月末までに自校の児童生徒の傾向を分析・考察し、昨年度の成果と課題を踏まえて今後の改善策について、数値を用いるなどして保護者等に具体的に分かりやすく説明する」よう通知した。昨年度は、数値公表はしないと明言したにもかかわらず、今回は一変して、「数値を用いる」方針に転換した。
 これを受けて、学校のホームページ上に数値公表をした小学校が数校あった。都筑区の二校は、正答率を全国平均及び横浜市平均と比較し、何ポイント高いか低いかを示したものを掲載した。
 他方、青葉区の三校についてはいずれも具体的に数値を公表した。その内の一校は、正答率を全国平均及び横浜市平均と比較し、他の二校については、神奈川平均も併せて比較公表していた。おそらく、他区の小学校や全市の中学校にも同様なケースが見られるのであろう。数値公表する学校は、いずれも全国平均及び横浜市平均よりも成績が高い学校に限られている。
 一一月の教育委員会でも、この問題が取り上げられ委員からの「全国学力・学習状況調査について、学校別に序列をつけて発表すると誤解している方が一部にいるようです。確認ですが、そのようなことはありませんね」との質問に、田村教育長は「何度も申し上げておりますが、教育委員会が一括してすべての学校の結果がこうでありましたという形の発表は考えておりません。各校長にもお話しています」と答弁している。市内では数値公表をしている学校が既にあるにもかかわらず、片方では、これを「自主的に発表している」として容認しているのである。矛盾もはなはだしい。

全国学力調査の結果は現場では活用できない、これ以上の無駄と浪費は許されない。
 そもそも全国学力調査を実施した背景には、国際的な学力調査において日本が従来のような高い位置を確保できなかったことがあり、子どもたちの学力が低下しているのではないかとの批判が噴出したことがある。
 文科省は、全国規模での子どもたちの学力実態の把握が必要であるとの認識から、学習指導要領の改訂の資料としての活用も盛り込んで実施に踏み切った。実態を把握するだけの目的ならば、あえて悉皆調査にする必要はない。各都道府県ごとに児童生徒をサンプル抽出し、国語・算数の学習領域を多方面から分析すれば十分であった。
 今回の学力調査の結果を見ても、第一回の結果と比較して顕著な変化はない。二科目いずれも「主として知識」が「主として活用」を一五〜二〇%正答率で上回っている傾向や都道府県の上位校や下位校に大きな変動はない。文科省の求める全国状況を把握する中で、各教育委員会、学校が教育改善を図るなどとは到底無理なことである。
 無意味な全国学力調査は膨大な公金と調査・処理時間の浪費である。横浜市教委は第三回全国学力調査への参加を即中止し、削減された教育予算の補填に当てるよう文科省に要望すべきである。
 横校労は、既に「全国学力調査の公表に関する申し入れ書」を提出し、市教委の矛盾した対応を是正させると共に、調査に参加しないよう要求していく。
   (針谷 秀雄)

 〔申し入れ書〕
 横浜市教育委員会
 教育長 田村幸久様
   2008年11月25日
   横浜学校労働者組合
   執行委員長 朝倉賢司

全国学力調査結果の公表に関する申し入れ書

 全国学力調査については、これまで二度にわたる話し合いを行ってきました。その中で貴委員会は『「数値の公表」については、「学校名を明らかにした公表は行っていない」し、「各学校に公表を求めてはいない」』と回答しました。さらに、保護者からの数値に関する開示請求があった場合は、『学校名を明らかにした数値の公表は行いません。開示請求があった場合は非開示として対応する』として、いずれも数値の公表については行わないとの立場を明らかにしました。
 にもかかわらず、08年度に実施した全国学力調査については、学校だよりや学校ホームページに、数値結果を公表した学校が数校ありました。
 こうした数値の公表はこれまでの貴委員会の立場とは相容れないものです。つきましては、早急に改善するよう現場への指導を徹底するよう要求すると共に、こうした状況に対する貴委員会の見解を明らかにするよう申し入れます。

@ 昨年度貴委員会は、全国学力調査については各学校に結果を分析し、公表するよう求めてサンプルを提示しました。各学校では昨年度及び今年度、どのような公表が行われているか、についての状況把握が為されているのか。また、把握した内容についてどのように評価しているのか。
A 今年度上記のように学校だよりやホームページを使って全国学力調査の数値結果を公表している学校について、どの程度把握しているのか。
B 上記のように数値結果を公表することは貴委員会の立場とは相容れないものである。この点に関する貴委員会の見解を求める。
C 先の教育委員会臨時会の場において、S委員からの質問「全国学力・学習状況調査について、学校別に序列をつけて発表すると誤解している方が一部にいるようです。―――そのようなことはありませんね。」に対して、教育長は、「―――教育委員会が、一括して全ての学校の結果がこうでありました。という形の発表は考えていません。」と答えています。相当数の学校が数値結果を公表したら、結果として序列化につながるのではないか、と思われるが如何か。
D 上記のような事例は、貴委員会が配布した「平成20年度全国学力・学習状況調査横浜市結果<活用と授業改善の指針>」の文書の中で、「昨年度の成果と課題を踏まえ、今後の改善策について数値を用いるなどして保護者に分かりやすく説明」として、『数値』という言葉を使用したことに端を発していると思われる。ついては、『数値』とは何を意味しているのか明らかにし、誤解がある場合は補足訂正するよう要求する。
E 今後も「学校マニフェスト」等で、全国学力調査の結果については様々に引用されることが予想されるが、その取り扱いについてはどのような指導を図るのか明らかにしてほしい。
   以上

 

© 1999-2005 横浜学校労働者組合
本サイトの内容を無断で他に転載,複写する事を禁じます。