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横校労ニュース
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●職員の働き方問題

変形労働時間制を徹底し、 時間外勤務の削減を図れ
 〜勤務時間7時間45分への移行と勤務時間の割り振り規定の改正の問題点について〜

  国の人事院勧告 「労働時間の削減に努める」 に基づいて、 神奈川県でも学校職員の勤務時間、 休暇等に関する条例を改正し、 勤務時間の改定が行われた。 これに伴って、 市教委は 「県費負担学校職員の勤務時間の割振り等に関するの規程」 を改正し、 勤務時間をこれまでの八時間から七時間四五分に変更し、 今年の四月一日より施行するとした。
 前回〇六年の 「勤務時間の割り振り等に関する規程」 の改正に際して横校労は、 変形八時間労働制によって超過勤務体制を改善できるものと評価し、 変形労働時間制の導入に道筋をつけるべきと精力的に交渉を重ねてきた。 その過程で、 宿泊行事の 「12時間・12時間・12時間」 の割振りを認めさせ、 一二時間以上の勤務は超過勤務として適切な配慮の扱いとするよう例示させた。 他方、 時間外勤務の記録簿には超過勤務を命じることのできる限定四項目に命じる対象でない五項目を追加することも前進につながるものと確信し、 時間外勤務の記録簿への記入を積極的に推し進め、 適切な配慮の扱いをするよう働きかけていくことにしたのである。
 従って、 今回の 「同規程」 改正が勤務時間を一日七時間四五分、 週三八時間四五分とする記述変更だけならば、 特段の問題はないのだが、 内容には大幅な変更を伴っており、 変形労働時間制を使用者側の都合の良いように解釈運用している代物であり、 到底容認できるものではない。

 割振り変更は、 校長の裁量権としてだけあるのではなく、 労使の合意の下に成立するものだ。
 市教委は、 「学校行事等における勤務時間の弾力的運用について」 (教教労第一〇五〇号) において、 勤務時間の割振り変更のできる対象業務を縮小限定した上で、 対象業務全てに対して学校長が一ヶ月単位 (従来は四週間の期間が指定されていた) の変形労働時間制を採用できるとした。 しかも、 「採用は校長の任意とします」 として義務付けを外してしまったのである。 これでは、 勤務時間の割振り変更が校長の裁量権に一方的に委ねられることになってしまい、 変形労働時間制本来の機能が果たせなくなってしまう。 変形労働時間制に基づく割振りの変更は、 職員と事前に調整し、 行事実施日に直近する日時を選んで確実に行うことを原則にしなければならない。 つまり、 勤務時間の割振りは労使の合意の下に実施されなければならないものであるとの前提が必要なのである。 でなければ、 変形労働時間制が労働者側に不利なものになってしまう。
 市教委の解釈は、 「労働基準法では 『一箇月以内で、 週当たり平均三八時間四五分の労働時間になれば、 特定の日に七時間四五分を超えて、 労働させることができる』 との規定になっており、 変形労働時間制を採用することは義務付けられていない」 というものである。 これは全くのご都合主義である。 労基法では 「週三八時間四五分労働時間制に労使双方が合意した時に、 特定の日に使用者は七時間四五分を超えて労働させることができる」 としたのであり、 変形労働時間制を用いることで超過勤務を命じることができるとしたのである。 従って、 変形労働時間制を採用しなければ、 勤務時間の割振り変更もできないのである。 変形労働時間制を労基法に則って機能させるためには、 校長に事前の段階で勤務時間の割振り変更の手続きをきちんと取り組ませることが絶対に必要な条件である。

 割振り変更できる対象業務は縮小されたが、 時間外勤務として扱われる業務は増大している。 変形労働時間制としては後退だ。
 前回の改定では、 泊を伴う学校行事として修学旅行及び宿泊体験学習等があり、 九時間・一〇時間勤務としては九項目の業務があった。 さらに時差勤務の対象として前記九項目から三項目を削除し、 登下校指導を加えた七項目の業務について勤務時間の割振り変更ができるとなっていた。
 ところが今回、 上記の勤務時間の割振りとその対象業務を明記した通知文書をすべて廃止した。 そして、 泊を伴う集団宿泊的行事の引率の全てを対象業務とし、 新たに部活動合宿の引率 (長期休業期間中に行われるものに限る。) 及び泊を伴う対外運動競技等生徒引率の業務を追加したのである。
 逆に、 九時間・一〇時間勤務としての扱いをしてきた部分については、 上記 「同文書」 の第五項に 「対象業務等 (2) 泊を伴なわない学校行事等」 として、 @文化祭等学芸的行事の指導 A運動会及び体育祭等の健康安全・体育的行事の指導 B遠足及び体験学習等の学校行事の引率 C現場実習等の指導 (特別支援学校に限る。) の四業務に縮小整理した。 また、 時差勤務については従来は 「勤務時間の弾力的運用」 の扱いとしてきたが、 今回は 「学校行事等の時差勤務について」 (教教労第一〇五八号) 通知文の第三項に 「対象業務等」 として上記@・A・Bだけを弾力的運用とは別枠とし、 割振り変更を対象職員に一週間前までに明示すればよいとした。
 結局、 勤務時間の割振り変更ができる対象業務は、 新通知によって限定され減っているが、 新通知に盛り込まれなかった業務の全てが時間外勤務として残ってしまった。 今後は、 適切な配慮の対象として処理せざるを得ない。 その点についての記載は一切ない。 意図的に触れていないのである。 今回の規程改正は変形労働時間制を適用させる業務の範囲を狭め、 結果的に時間外勤務として残す業務を増やしてしまったことになる。 これは明らかに、 変形労働時間制を後退させるものである。

 適切な配慮の活用に努めるとしながら、 二二条二項の研修も校長の裁量権とし、 運用には慎重になるようにとした。 制限されたと勘違いする校長もいて困る。
 現状では、 超過勤務に対しては教育公務員特例法二二条第二項の研修権を運用した適切な配慮によってしか対応できない。 従って、 時間外勤務記録簿と職務専念義務免除等承認簿による手続きが唯一の拠り所となる。
 ところが、 今回適切な配慮については校長の裁量権であるとし、 その付与については留意点を明記した。 「(1) 勤務時間の短縮に伴い、 保護者・市民から誤解を招かないよう、 出退勤管理に一層留意すること」 とある。 これだけで管理職は、 適切な配慮の付与に慎重になってしまう。 また、 「研修は、 校長が公務に支障がないと判断して承認した場合に認められる」 との表現にも、 付与に制限が加えられたのだなと勘違いする管理職が出てくるから困る。

 以上のように、 今回の規程改正は、 変形労働時間制本来の趣旨に反するものであり、 導入の流れに逆行するものである。 勤務時間七時間四五分への移行に合わせて勤務の軽減を図り、 変形労働時間制による勤務時間の割振りを徹底して時間外勤務を減らすことができるようにしなければならない。 適切な配慮の付与は最低限の措置に他ならない。
                                                      (針谷 秀雄)

 

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