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 ごぶさたしています。 (略) 実は、 先生、 ちょっと疲れてきました。 (略) 文化祭が終わってから、 クラスの雰囲気があんまりよくなく、 授業抜けをする生徒も増えています。 保護者ともあまりうまくいっていません。 結果として、 同じ生徒の親に何度も連絡するので、 向こうもいやになってきちゃっているみたいで。 生徒も 「あいつは何でも親にチクる」 と言っているようで、 前期のような関係が崩れてきています。 学年の先生たちも、 はじめはいろいろと教えてくれたのですが、 私のところばかりいろいろ起きるので、 なんだかひき気味です。 (略) 初任者指導の先生も、 最近は私の前でため息ばかりついています。 (略) 向いていないのかなあ、 と思うことが一日に何度もあります。 (略) そういえば生徒だったときから、 いつもこんな愚痴を先生に言っていましたね。 (略) もし、 今からでも出来ることがあれば教えていただきたいのですが (略)。 (市内中学校教員・24 歳) 


 久しぶりですね。 あなたにしては、 ちょっとマイナスのスパイラルに陥っているようですね。 でも、 あなたの家の事情を知っている立場としては軽々しく 「やめちゃえば?」 とも言えませんね。 
 年末のこの時期、 初任者の状況が厳しいのはよくわかります。 クラスをもっていれば、 この時期これからが正念場。 行事を積み重ねてきて、 クラスの芯が出来てきて、 それなりのクラスカラーがつくられていくのか、 小さな行き違いが重なって子どもたちが拡散していくのか、 初めて経験する人にはまさに未知の境地。 うまくいっていたらそれは僥倖、 子どもと保護者に感謝!といったところ。 どうにもうまくいかないのは普通のことだし、 ある意味、 私はしかたがないことだと思います。 それに、 もともとあまり落ち着いているとはいいがたい学校ですから、 家庭内の問題がそのまま学校に持ち込まれて来ることも再三だと思うし、 そういうものを正面から受けとめる器量みたいなものは、 誰でもがもっているわけではありません。 ましてあなたは初任者なのですから、 そんな力がなくても気にすることはありません。 そういうものは、 学年の同僚や仲間でカバーしていく質のものです。 その意味で大事なことは、 あなたが周囲の人たちに自分を開いているのかどうか、 ということが気になります。 自分で何でもやろうとして空回りしていないか、 逆に周りにお任せになっていないか、 そのへんをアドバイスしていくれる先生はいませんか。 
 それから保護者の話もありましたが、 親だって初めての人はたくさんいます。 子どもが中学生になって、 小さい頃と勝手が違ってしまい、 いっぱいいっぱいになっているところに学校から、 それも若い教員からああだこうだ、 と言われても、 素直に受けとめることができないのも分かります。 普通に話していても、 教員は上からモノを言っているように思われることもあるしね。 
 生徒にしても、 一年間の枠組みや、 学校全体の動きがみえない、 若くて迷い気味の先生に対して思い切り不安定な気持ちをぶつけることにためらいがあるのもわかります。 倒れそうになっている人にはだれも寄りかかろうとしないのはわかるでしょう。 だからといって明日からはなんとしても、 ・・・なんて思う必要はありません。 はっきり言って無理ですから。 いいじゃないですか。 あなたのまわりには、 小手先でわかったふうにやっていく初任の人もいるでしょうし、 世慣れていていろんな対応の上手な人もいるでしょう。 でも私は手を抜かずに、 あちこちごつんごつんと頭や体をぶつけながらやっていく方が魅力的だな、 と思っています。 だからね、 今の状況は、 だれでもが通る、 いわば通過儀式のようなものだと思えばいいのです。 はじめから心地よく出来る仕事なんてありません。 
 ただ、 以前と違うのは、 初任者研修は結構きついし、 指導教員の中には加減がわからず高い要求水準を設定する人もいます。 あなたにはわからないと思いますが、 指導教員が全て非常に能力の高い先生であるとは限りませんし、 市教委の初任者研修がそれほど充実しているとは、 私には思えません。 実は私もたいした能力のない初任者指導教員の一人で、 教文センターでの大学の先生の講演や各学校の発表などを見聞しますが、 「・・・」 という感じです。 そうしたものは7掛けぐらいに考えておけばいいのです。 私はそれよりも、 現場での子どもや親や教員の息づかいから感じ取るものの方が大事だと思っています。 
私が、 初任の時〜もう34年も前のことで、 あのインベーダーゲームが喫茶店ではやっていた頃ですが (笑) 〜はほとんど研修はありませんでしたし、 条件附き採用の期間は、 現在の一般公務員同様、 教員も半年でした。 9月の末日をもって正規採用となったわけです。 どうということはありませんでした。 夏休みが終わって1ヶ月で OK だったわけです。 そんな感じで教員になった人たちが、 おおざっぱに言って今の45歳ぐらいまでの先生たちです。 どうですか、 どっか困った感じありますか。 そうでもないでしょう?
 ところが1988年に教育公務員特例法が改正され、 初任者研修制度が導入されたのに合わせて、 教員だけが1年間の条件附き採用となったのです。 これは、 1984年に設置された臨時教育審議会での議論が発端となりました。 これ以降、 教員の資質向上の名の下にいろいろな政策が導入されてきました。 その最たるものが教員の免許更新制でしょう (今般、 民主党政権となって廃止となるようですが、 それ以上に1年間の教育実習とか教員免許取得は大学院修了が条件といった、 自民党案よりもっとすさまじい資質向上案が出されています。 発想自体は自民党とさほども変わりません)。 
 この法改正によって初任者は、 一年間のうち、 厳しい後半戦を経てはじめて正規採用されるシステムになりました。 そこで条件附き採用問題がクローズアップされます。 昔なら軽くスルーだったものが、 今ではああだこうだと文句が付きます。 そして、 継続が難しい教員には、 分限免職をちらつかせながら依願退職を迫るといったことも、 この横浜に限らず全国でやられてきたわけです。 
 こんな説明、 あなたには何の慰めにもならないかもしれませんが、 あなたはそういう歴史のなかで今、 初任者として働いているわけです。 確かにあなたの現在のマイナスのスパイラルは苦しいことですが、 少し息をゆっくり吐いてまわりをみてみてみてください。 子どもというのは不思議なもので、 大人のミニチュアではありません。 時に信じられないほど残酷にもなりますが、 また時には驚くほどやさしい視線ももっているものです。 彼らの息づかいに耳を傾けてください。 同僚の中にもあなたのことを遠くから心配そうに見ていてくれる人もいるはずです。 明日、 すぐに何かが変わることはありませんが、 時間は誰にでも平等だし、 学校にはそれなりにいい具合に仕切り直しがあるものです。 あせらなくてもいいのです。 ゆっくりゆっくり教員になっていって下さい。 またそのうち呑みましょう。 
それから、 何か私に出来ること、 組合に出来ることがありましたら遠慮なく言ってください。 どこにでも出て行きますよ。 
( 赤田 圭亮 )
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