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●職員の働き方問題

慌しい国会周辺に全国の学校労働者の声は届いたのか
― 交渉も請願も去年より手ごたえあり ――

  今年も昨年に引き続き全学労組と全学労連の中央闘争が十二月四日に共同開催された。 午前中に全学労組が文部科学省との交渉を設定し、 全学労連は各省庁に陳情・請願を行った。 午後は両団体が参議院議員会館に結集し、 「教育の完全無料化!教員免許更新制廃止!学校事務の共同実施反対!全国総決起集会」 を開催した後、 参加者全員が国会議事堂周辺から東京駅までデモ行進した。 途中衆参両議員面会所前にて社民党重野幹事長・山内参議院議員に請願書を提出、 両議員と共にシュプレヒコールを上げた。 政権交代で慌ただしい国会周辺であったが、 文部官僚も議員も何となく、 われわれ労働者の声に耳を傾けているようであった。 

第一部 文科省交渉    
 文科省交渉には全国から一三組合・二二名が参加した。 文科省からは初等・中等教育局の教職員課係長、 企画課専門職、 財務課の専門職及び窓口担当の四名が出席した。 
 初めに交渉設定を取りもった国会議員秘書から 「現場の声を聞いて政策に反映して欲しい」 との議員からの要望を紹介する挨拶があった。 続いて、 増田全学労組代表から正式の申し入れ書を文科省側に手渡し、 趣旨説明を行った。 交渉の設定は文部省時代の一九九七年に始まり今日に至っており、 要求項目の中には継続した内容もいくつかあり、 かなり詰められたものもあるので、 実りあるものにしていきたい、 とまとめた。 
 事前に十三項目の要求と質問が全学労組事務局から提出されている。 主な項目は、 @ 「給特法」 を廃止し、 「労基法」 を適用し、 時間外勤務手当てを支給することA教員の超過勤務実態を把握し、 法的措置を講ずることB 「労安法」 に基づく必要な手立てを指導助言することC休憩時間の取れない違法状態を解消することD人事評価制度による勤勉手当支給、 新昇給制度を廃止することE泊を伴う学校行事での違法な勤務状態を法的に解決することF各市町村教委による懲戒処分の基準を調査し、 過重な処分を止めさせることG儀式的行事における 「日の丸・君が代」 の強制は行わないよう指導することH教員免許制度を早急に廃止することI特別支援学校への就学を強制しないことである。 今回は交渉時間の関係でAの超過勤務解消とHの教員免許更新制度の廃止の二点について回答を受け、 質疑が交わされた。 

 超過勤務時間を把握するために出退勤時刻の確認の必要性は認めたが、 教育委員会へは指導止まり、 校長への処分には言及せず
(以下 「 」 は全学労組の質問、 『 』 は文科省の回答) 
 教育ニーズが多様化する現在、 学校にスクールカウンセラーや民間からの人材を登用したり、 部活動への地域人材を活用したり、 親対策を支援したりして、 教員の多忙化を解消していく。 勤務実態調査を行い、 事務量の半減化を目指したい。 教員特別手当は来年度二・七六%の縮減を行うが、 (教職調整額等の) 新たな削減は求めていない、 と回答した。 
  「では多忙化解消は進んでいるのか」 『難しい、 教育内容も変わっているので』 「教育の充実だけが求められているではないか」 『事務の軽減と子どもと向き合う時間を確保したい』 「四項目以外の超過勤務命令は違法でしょう」 『違法です。 部活については自発的勤務です』 「自発的勤務は法的に認められているのか」 『法的にはない。 部活動は命令できない』 「今回の勤務実態調査から、 教育調整額 (給特法制定時に四、 五時間分の超勤から算出した額) では対応仕切れないことは明白でしょう」 『調整額は限定四項目に限っている。 越える部分は校長が把握できない。 県教委に指導しなくてはいけない』 「産業医はどれくらいいるのか」 『労基法違反状態にあるので指導していく』 「実態調査に基づいてきちんと対処して欲しい。 休憩時間も確保されていない」 『休憩時間がない。 教室に張り付いており、 給食指導もするので休憩が取れていない。 服務監督権のある教育委員会が実態を把握していなければならない』 「労安衛生法での超勤時間の問題でも同様、 出退勤時刻の確認は絶対必要でしょう」 『正確に把握していなくてはいけない。 あくまでも校長の責任において』 「校長責任で出退勤記録を付けさせろ」。 

 免許更新制を見直すが、 現行のままでは免許更新制度は廃止はしない
 教員の資質の向上に向けて現行の免許制度を抜本的に見直していく。 新たな免許更新制は考えていない、 と回答した。 
  「抜本的な見直しの中で免許更新制度の廃止について議論されるのか」 『教育免許更新制度は動いている。 前政策をどう引き継ぐのか。 六年制の新たな提案も含めて検討する』 「抜本的見直しはいつ執行されるのか」 『来年度の国会では無理だ。 来年一年かけて見直しする』 「その間の免許更新制度はどうなるのか」 『抜本的な改正の中で、 免許更新制も含まれる法の改定を行うことになる』 「それまでは現行の免許更新制度のままでいくのか」 『免許法に基づく免許更新制度は執行される。 更新の講習を受けなかった場合は免許は失効する。 任免の問題は各市町村教委の判断による』 「免許更新制度によって新たに免許を取得した者と取得しなかった者にそれぞれ効力が発せられるのか」 『更新制度導入の趣旨からすれば、 新たに取得した者と取得しなかった者の間には差異が生じる』 「免許取得時には免許更新制度なるものは存在しなかった。 にもかかわらず、 免許更新制度を義務付けるのは詐欺ではないか」 

 予定時間を過ぎても議論は続いた。 文科省は、 我々が期待した免許更新制度の廃止については最後まで確約することはなかった。 その一方で、 新たな研修制度を画策しているようであった。 また、 違法状態が改善されない超過勤務問題については市町村教委への指導はするが、 「労基法の問題は人事委員会でやることになっている」 として、 我々の超勤を放置している校長への刑事告発の要求については答えることはなかった。 
  (針谷 秀雄) 

第二部 全学労連・全学労組
    全国総決起集会  
 参議院議員会館は東京メトロ永田駅を出ると右手、 国会議事堂の裏手にあった。 通行証をもらって会議室を探し、 ドアを開けるとシンと静まった中で四、 五人が会談中だった。 慌てて入り口札を見ると 「議員第三会議室」 とあった。 陳情者との対応室のようだった。 乱入者とされかねなかったが、 無事、 ただの第三会議室にたどりつくと、 そこは八〇人を超える人々の熱気にあふれていた。 
 全学労連・全学労組全国総決起集会は北海道から沖縄まで、 まさに全国から集まった学校事務職と教員が 「教育の完全無料化」 「教員免許更新制度廃止」 「学校事務の共同実施反対」 を掲げての総決起集会である。 主催者である全学労連菅原議長と全学労組増田代表のあいさつの後、 全国からの闘争報告が行われた。 
 沖学労からの〈二万人集会でも本土では報道されない〉という声には沖縄のやりきれない現状に対する怒りがあった。 大阪教育合同の井沢さんはご自身の最高裁までいっている裁判に触れた後、 〈先生の顔がいらつくから担当を替えて〉と要求するまでになった塾のモンスターペアレントのすさまじさを紹介された。 学校でもまもなく起こるだろう。 また、 群学労からは〈事務長になったのだから肘付き椅子がほしい〉と言ったという笑うしかない現実の中で、 学校事務共同実施が進められていると報告された。 千葉学校合同の小川さんはご自身の体験に重ねて〈若い教員はものを言う先輩教師を探している〉とアピールされた。 全国各地の、 そこはグーグルのようには決してクローズアップされることのない諸所で 「おかしいよ!」 と声を上げている人々が今日の集会背後にいるんだなと思った。 
 最後は集会アピール。 「学校労働者の階層化、 分断支配の状況を打破し」、 「仲間とともに格差と貧困に抗する多様な社会運動と連帯した闘いを〈教育の完全無料化〉要求の取り組み等と結びつけながら、 学校と地域を貫いて共に推し進めていこう」 異議なし!

第三部 国会請願とデモ行進
 請願デモは国会図書館裏の社会文化会館からスタートした。 国会周辺では旗は広げるなという規制と余計なツキソイ人は気に障るが、 黄色に色づき散り始めている公孫樹を踏みながら車道をデモるのは気持ちがいい。 議事堂裏の参議院と衆議院の通用門前では、 門前で請願を受けてくれた議員や秘書の皆さんに、 要求を読み上げ連帯のシュプレヒコールを行った。 学校教育の共同性を破壊する人事評価制度を廃止せよ!教職員の定数の改善をはかれ!全国の仲間と連帯して闘おう! 体を動かし声を出すのは盛り上がる。 
 首相官邸前の坂を過ぎた所からは赤や青の旗を掲げ、 マイクでシュプレヒコールを響かせてのデモ行進。 日差しは暖かく、 ときおり風も吹いて旗がきれいになびく。 「連帯」 と白く染め抜かれたこの旗は、 故本多真味さんの裁判勝利を記念して横校労が全学労組に寄贈した旗だ。 財務省前と文科省前でも立ち止まってシュプレヒコールをした。 教員に超過勤務手当てを支給しろ!学校事務の共同実施をやめろ!新規採用者の不当解雇反対!文科省は思想・信条の自由を守れ!等々。 初めはかすれてた声がだんだんきちんと出てくるのが不思議だった。 デモは国会通りを新橋に向かって行く。 土橋のガードをくぐって西銀座に入ると急に人どおりが多くなった。 シュプレヒコールを止め、 マイクで話しかけるような呼びかけに替わる。 「ご通行中の皆さん、 私たちは学校に勤務する教員と事務員です。 違法な超過勤務や人事評価制度などが学校を荒廃させるものであると考えて国会請願デモをしています ・・・ 」 シュプレヒコールは通行中の人々やサラリーマンに語りかけるようなアピールに変わる。 時々歩道でフラッシュが光る。 はじめはカンケンかなと思ったのだが、 普通のおじさんおばさんなのだ。 若い人もいる。 デモも珍しいものになってしまったらしい。 数寄屋橋の交差点を突っ切って西銀座デパートに沿ってデモは進む。 シュプレヒコールも続く。 文科省の学校への日の丸・君が代強制反対!横校労は闘うぞ!闘うぞ!と叫ぶ頭の隅に四十余年前の日劇ミュージックホールや地下シアター、 並木座などが浮かんできたりして ・・・ 。 
 解散地点の鍛冶橋交差点はすぐだった。 旗を取り外し、 旗竿を結わえて駅に向かう。 文科省交渉・国会請願ということで一時間以上デモった高揚感が、 さて、 いつまで残ってるか。 
(田中 敏治) 

 

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