【日録】「弱さの思想」

7・8月は半鬱状態で、アルバイトの絵本直しをしている時だけしか正気でなかった。

9月に入って、連れ合いが藤沢市立中学の非常勤(個別支援級)で働きだして、再び夕飯作りがシゴトになって少し元気が戻ってきた感じで、本を読んだり映画を見たりできるようになった。

そうして読んだのが、『弱さの思想』(大月書店)。高橋源一郎と辻信一が〈「弱さ」と「強さ」の二元論から抜け出して、効率至上主義的でない社会の可能性を探って対話〉したもの。

自分たちの個人史をさらけ出して〈弱さ〉にたどり着くまでを語っている本気さに感動した。

もう一つ、フィールドワークとして語られる脱原発運動の祝島の老人たちのことやイギリスの子どもホスピスのこと、オランダの精神病院が真ん中にある町の話ひとつひとつの例に驚かされた。

堀信一郎が始めた「きのくに子どもの村学園」のこともかなり詳しく紹介されていて、『菜の花の沖縄日記』の坂本菜の花さんが通った無認可学校「珊瑚舎スコーレ」のことが浮かんだ。

再任用で個別支援学級に三年関わって感じたオレハドウシヨウモナイ教員ダッタナ感を痛感した、いい本だった。

流れで高橋源一郎著『一〇一年目の孤独―希望の場所を求めて』(岩波現代文庫)を読んだ。

重なる訪問先もあったが、ダウン症の子どもたちのための絵画教室や身体障害者の劇団などがルポタージュされていて、「弱さの思想」はいよいよ心の奥深くに浸みていく感じだ。

9月末。団地のシニア会のハイキングクラブで逗子の大楠山(241m)に登った。雲が垂れ込めて東京湾はおろか相模湾もおぼろにしか見えなかったが、ビールはうまかった。

月1回のハイキングの楽しみで頂上での一杯に勝るものはない(もちろん一杯では終わらないが・・)。帰り道の前田川沿い散歩道はよく整備されていて足の痛さが和らぐほど爽やかかだった。

10月の予定は秦野の弘法山だ。

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