【演劇】表現をチカラに!ある役者の挑戦

文化欄

あざみ野に、ギャラリーやカフェを運営しているNPO法人「スペースナナ」があります。4月、ここの名ばかり理事を引き受けている私に「面白い人が来るのでぜひ参加して」と連絡が入りました。

なんでも一人芝居で防犯演劇なるものをやるのだとか。この役者さん、通常の舞台公演をやりつつ、そのかたわら、社会貢献活動として防犯演劇を始めたのだそうです。

 その日は用があり拝見できなかったのですが、それは、詐欺に立ち向かう刑事が参加者に向け、詐欺被害に遭わない術を伝授するもので、評判は上々だったと後で聞きました。一度お会いしたく、丁度やっていた彼の芝居を中野に見に行きました。

終演後、一緒に写真を撮り、私も役者の端くれなので「防犯演劇で力になれることがあったら協力します」みたいな話をして別れました。

 数日後、その役者「はだ一朗」さんから、連絡が入りました。防犯演劇を横浜全区で実施するための資金作りとしてクラウドファンディング(※)を始める、HPに載せるために被害に遭う高齢者役として写真を撮らせてくれないか、できれば私の家で、可能なら家人も一緒に、という依頼でした。

協力しますと言った手前無碍にもできず、家人を説得しOKをもらいました。日を置かず我が家に来た彼は、てきぱきと指示を出し「電話で話す」「玄関で通帳を出す」など数場面の写真を撮って帰って行きました。

 翌週クラウドファンディング立ち上げの集会に出向きました。はださんが、防犯演劇が必要な背景を語りました。

オレオレ詐欺、振り込め詐欺、還付金詐欺といった幾つかある現代的詐欺を、今は特殊詐欺と総称するのですね。この特殊詐欺、昨年度の全国の被害は357億円で神奈川県は58億円。つまり全体の1/6は神奈川県での被害。しかもその半分が横浜ということを知りました。

 特殊詐欺は、説得力あるシナリオを用意し、仲間とともに役割を演じ、高齢者を巧妙に誘導して蓄えを奪っていく。これはまさに演劇そのものだ。長く演劇に打ち込んできた一人の表現者として、これを見過ごすことは断じてできない!はださんの熱いスピーチが会場に響きます。

 詐欺だけでなく、舞台表現が持つ発信力で社会問題を世間に広めたい、彼が今立ち上げようとしている団体「表現のチカラ」が目指すものです。

彼の挑戦に多くの共感が寄せられますように!クラウドファンディングにご興味持たれましたら、ネットで「LOCAL GOOD YOKOHAMA」にアクアセスしてみてください。

 と、はださんを応援している私がここで言うのも何ですが、このクラウドファンディング自体が特殊詐欺なんてオチはないよね、はださん?

(※)不特定多数の人が、インターネット経由で他の人々や組織に財源の提供などを行うこと。

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