【統一要求書】2019年度横浜学校労働者組合統一要求書

学校現場では、貴職が認識する「看過できない教職員の勤務実態」が、既に長期間、歴然として存在している。これまでの「教育政策」の帰結である現状を、「働き方改革」と称して「教育政策」のみで解決を図ることは不可能である。現状の劣悪な労働条件は、リゾート施設建設に巨額の資金をつぎ込むこと無く、職員団体との交渉を誠実に行い、実行していくことで改善、解消がなされるのである。当組合は以下の22項目を労務課のみならず、人事課、小中学校企画課などに要求する。ついては、各部署の担当者を回答者とする交渉のテーブルを早急に用意されたい。

Ⅰ勤務・雇用に関わる課題について

   〔 新規採用者の初年度退職数等の公表について 〕

昨年度、教員採用試験の合格者が、多数、採用を辞退し4月の教員配置に大きな支障があったことは新聞報道でも明らかである。また、本年度の受験者の倍率も昨年に比して下がっていると報道されている。数年の教員採用試験の倍率の変化と合格者の歩留まり率、中途退職者数の変化を明らかにされたい。また、それをどのように分析しているのか明らかにされたい。

   〔 勤務時間実態把握とその公表と対策の明示について 〕

勤務時間の割り振り通りに休憩時間を取得している職場が、どの程度あると   把握しているのか明らかにされたい。もし、把握していないのであれば直ちに調査し校種、性別、年齢、区、学校ごとにクロス集計を行い、その分析から休憩時間取得のための方策を明示されたい。

宿泊行事については、教職員の変形勤務時間11時間45分の勤務で行えていると認識しているのか。11時間45分の勤務で行えていないとすればどのような実態があると捉えているのか。更に、現実にある法外な宿泊行事における時間外勤務の解消方法を、それぞれ明らかにされたい。

平日の2泊3日の宿泊行事の振替については、児童生徒の在宅観察を1日設定する場合には「教職員については勤務時間の4時間の割り振り変更と適切な配慮による3時間45分をセットにすることもできる」とした当組合との確認を、引き続き全市に周知すること。それをもって、法外な時間外勤務の解消と教職員の健康保持の一助とすること。

研修については、「3時間30分未満の場合は、教庶務システムに自己啓発研修と入力し、研修場所を記載するだけでよい」とした当組合との確認を全市に周知し、教員の研修権の行使を促進させること。

〔 部活動顧問強制廃止について 〕

教員の多忙化の大きな原因の一つに部活動指導がある。部活動の顧問については、労基法との関連で勤務実態をどのように捉えているのか、教庶務システムのデータ等を用いて明らかにされたい。また、法的根拠の無い「全員顧問制」を直ちにやめ、部活動顧問に就くか就かないのかの自由を保障すること。

児童生徒の健康保持、教職員の過労防止に向け稼業日の週1回の部活動の完全休養日、週休日の1日の休養についての実態を明らかにされたい。また、その徹底の方策を明らかにされたい。

〔 教庶務システムについて〕

教庶務システムでは、休憩時間の時間外勤務を入力することが出来ない。直ちに休憩時間中に、やむを得ず行った時間外勤務の記録を入力できるようにシステムの改善を行うこと。

〔 育児短時間勤務について 〕

育児短時間勤務の申請の条件である「子の6歳に達するまで」を「9歳まで」に改めること。政策として「育児と仕事の両立」を提示する以上、高い離職率や採用試験の競争率低下を改める一環として、条件整備が必要であると考えるがどうか。

10育児短時間勤務者に対する後補充の非常勤職員については、職場での分掌業務の継続が可能になるように、後補充の非常勤職員が育児短時間勤務職員の分掌を担えるようにすること。

11 育児短時間勤務者並びに育児部分休業を行っている職員の車通勤について、敷地内駐車を認めること。両者の多くは、保育園等の送迎に車を使用しておりその適用除外は、育児短時間勤務並びに育児部分休業取得促進の主旨と反しているがどうのように考えるのか明らかにされたい。

12 育児短時間勤務者に対する評価基準がフルタイム勤務者と同等であるのは著しく育児短時間勤務者の評価を不利なものにしている。よって、育児短時間勤務者については、独自の評価基準を設けること。

〔 子の看護休暇について 〕

13子の看護休暇は、子ども1人につき5日、2人以上の場合にあっては10日の範囲内の期間とある。子が3人以上いる場合、2人のときと同じ条件では十分な看護ができない。これを子どもの数に比例して、休暇日数が増加するように改めること。

〔 特別支援学校教員の男女比について 〕

14特別支援学校での同性身辺介助を進めるために、介護員の確保、または職員の男女比の是正をすること。特別支援学校では、男子児童生徒数が女子を大きく上回る。反して、教員は男性が少ない。肢体不自由特別支援学校では、おむつの交換、尿瓶による介助、着替え等の身辺介助を同性で行うことが原則となる中、多くの男子児童生徒の身辺介助を少ない男性教員で行っており、男性教員の人手不足、体力の消耗は、児童、生徒の事故につながる危険がある。現状についての認識と、児童、生徒、職員の人権と安全を守るための対策を明らかにされたい。

〔 個別支援学級の人員配置について 〕

15教職員定数を見直し、生徒数7名に対し教員が1名配置とし、障害の種別だけでなく障害の程度に応じた人数配置をすること。現在の教職員定数である児童生徒8名に対し担任1名では、必要な支援を行うことができない。さらに常時1対1対応が必要な子どもが複数在籍している場合は安全性の確保も厳しくなる現状をどのように考えるのか明らかにされたい。

Ⅱ 教育政策に関わる課題について

     〔 小・中学校の35人学級の拡大について 〕

16政令市費化により教職員定数は横浜市独自に決定できることになった。現在の40人学級は正常な教育を進めていく限度を大きく超えており、様々な問題の解決の道を閉ざす原因になっている。文科省の進める「働き方改革」を進めるべく教職員定数を見直し、横浜市独自に小中全校の35人学級を進めていくことであると考えるが市当局の考えを明らかにされたい。また、実現に向けた道筋を明らかにすること。

   〔 放射線汚染土壌に関すること 〕

17放射線汚染土が埋設されていた市内の保育園児の白血病発症が明らかになるなど、福島原発事故による放射線被害は未だに多くの問題が未解決であり市民の不安は除去されていない。市の指導に基づき放射線汚染土を埋設した、4校の小中学校、300と言われる保育園については、汚染土を掘り起こし、その汚染土のBq測定を行った後に北部汚泥資源化センターの保管庫へ移すこと。

18放射線汚染土については、リサイクルなど行わず厳重に保管し定期的に放射線測定を行い、数値を公表すること。

19 放射線に対する認識を深めるべく、教員と児童・生徒が線量計を用いて、市内学校の敷地の放射線測定を実施できる環境を整備すること。

   〔 英語教育について 〕

20 中学校における英検の全校実施は、生徒達に競争を強い、受験する意思のない生徒、受けたくない生徒への強制は虐待にも繋がるものである。また、任意団体の試験の学校への持ち込みは、英語科教員を中心に現場に加重な負担を強いている。直ちに全校実施をやめ、その莫大な予算を正規職員増などその他の教育予算に振り向けること。

21小学校の外国語教育は、英語の専科教員が行うこと、それに伴う、専科教員を全校配置すること。新学習指導要領より、外国語活動が、年間70時間実施される。すでに1.2年生でも年間20時間実施している。更に5.6年生の授業時数を確保するため、週4日6時間授業という学校が増加し、児童の負担も増している。また、英語の教科化により、授業準備、評定業務など、英語教育に不慣れな教員、高学年を担当する教員の負担増は計り知れないと考えるが市当局の考えを明らかにされたい。

Ⅲ 交渉内容の記録について

22 市当局との交渉経過、確認内容の記録については、市当局が責任を持ってこれを行い、その内容については書面をもって当該組合と確認を行うこと。

                                                                      以上

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