【臨時休業申し入れ】休業中に対市交渉〜市独自の児童生徒教職員の感染防止対策はなし?〜

新型コロナ

PCR検査体制の充実、症状に応じた治療、隔離体制の早急な確立の必要性

横浜市では、5月10日時点で体調に不安を覚えて、相談センターに電話をしてもわずか8%弱の人しか新型コロナウイルスに感染したかどうかを判定するPCR検査を受けられていません。

実際に「相談センターに繋がらなかった」「電話をしても検査を受けさせてもらえなかった」という人の声が組合にも入って来ています。

この件を市議から議会で質問された林市長は「自分は知らなかったが、(電話は)一般的な質問が殆どでPCR検査相談は4%だけ」と答弁しています。

ところが後に市民団体が実際のPCR検査を求めた人数を担当課に聞くと「実数はつかんでいない」と答えたことから、市長の答弁はその場しのぎで、これまでの横浜市の対応では、残念ながら十分な安心を市民に与えられていないと言わざるを得ません。

アジア諸国で、対応が成功している国を見ると徹底的にPCR検査をして、感染者を隔離しています。北九州市はPCR検査拡大への方針転換によって陽性者をより正確に示したといえます。

陽性者数は増えていますが、そこが問題ではなく、そこから適切に隔離が行われれば、市中には感染者がいない状態に近づけることができ、経済を止めずにすみますし、市民も安心して過ごせるのではないでしょうか。

横浜市に対して、私たち一人一人がPCR検査体制の充実を求める要望を出していくことが大切ですし、市民の生活を大切にしてくれる人を市長に選ばなくてはならないのではないでしょうか。

公約を反故にしたり、カジノ誘致やみなとみらい地域の大企業の利益ばかりを守ろうとする市長についてはNOを突きつける必要があります。

子どものために、20人規模の少人数学級の早急な実現を

 これから長期間にわたり感染リスクが続くことは間違いありません。教室内で、適切な距離をとって授業をするとすると、1クラスの人数は20人程度になると思います。

また、長期休校による学習の遅れも少人数であればそれだけ目配りができ、指導もしやすくなります。文科省は、安心して学習ができる環境を児童生徒に与えることを第1に考えて、抜本的な改革に早急に取り組むべきです。

そのためのには日本全体として10万人程度の教員増が必要とされます。

日本教育学会の「提言」によると全国の小中高を20人規模の少人数学級にするための教員増に加え、ICT教育支援員、学習補助指導員の配置をするための経費はおよそ1兆円ということです。

話題によく登っていた9月入学の変更にかかるとされる経費約7兆円のわずか1/7で済むことになります。

更には、第2次補正予算の予備費10億円の1/10です。国や横浜市はこの「コロナ禍」を契機に、今現実に必要な感染予防や学習の遅れの不安に対する解決のためにこそ予算(税金)を投入するべきです。

横浜市は、明確な児童・生徒の感染予防、学習権の保障、教職員の安全確保の方針を示すことが急務

 私たち横校労はこの休業中に3回目となる申し入れを教育長宛に提出しました。その回答と交渉が5月27日に行われ、その中から、いつくかの論点に絞り紹介します。(→は市当局)

  • 要求③
 教育長から「夏季休業の短縮」や「土曜授業」等の実施が言及(4月29日報道)されているが、具体的考えを説明されたい。取り分け「土曜授業」については、労働基準法との関わりで説明されたい。

→土曜授業の実施を前向きに前提として考えているわけではない。あくまでも最終手段と考える。

  • 要求④
 極めて異常な状況下であるから、通常の授業時数の確保、教育課程の完全実施などが出来る状況では無い事は明らかである。子どもの命を守る、教職員の命を守る事を第一に考え教育課程の実施については柔軟な対応が必要であると考えるが、市当局の考えを説明されたい。

→教育課程について、文科省からの通知を受け、「令和2年度これからの横浜市における教育課程についての通知」等にて、学校状況に合わせて柔軟に対応。感染症防止対策のために標準授業時数を下回っても学校教育法施行規則に反するものではない。1単位30分、35分、40分としても良いこと、年間指導計画の見直しをはかり、本年度中に履修することが厳しい場合には特例として年度をまたいで指導してもよいことと周知をして いる。

 単位時間が短縮されたとはいえ7時間、8時間授業などが行われており極めて異常な状態の勤務が続きます。夏休みも短縮され、学校現場への新たな負荷は相当なものになっています。

文科省、横浜市当局ともに一定程度柔軟な方針を出していますので各現場では無理の無い実態に合わせた教育課程の編成をしていく必要があります。また、東京都はすでに発表しましたが、高校入試の出題範囲の削減を早急に決定すべきです。

小学校6年生の教育課程削減についても早急に具体的な指示を出すべきです。土曜授業については、児童・生徒の健康、学習への大幅な負担増を招き、教職員の無制限な時間外労働を強いるものであり強く反対します。

  • 要求⑤
 感染予防対策に必要な物資の支給や機械の設置を要求する。(充分なマスク、消毒液、次亜塩素酸水噴霧機の設置、感染防止フィルター付換気システムの設置、非接触型体温計の導入など)

→文科省から窓を開放する換気等が奨励されているため、次亜塩素酸水噴霧機の設置、  感染予防フィルター付換気システムの設置は行わない。マスク及び消毒用アルコールジ ェルについて、当面調達配布可能な数量を配付している。

  • 要求⑥
 指導上児童・生徒との濃厚接触がある養護教諭、特別支援学校教諭への防護物 資の早急な支給を要求する。

→特別支援学校へのフェイスシールド配付に向けて動いていると聞いている。

  • 要求⑦
 感染予防に必要な人員を確保すること。(学校トイレや手すり等の消毒、一斉清掃が出来ない場合等それらを実施するための人員の確保)

→学校内の消毒作業などの衛生管理業務については、会計年度任用職員に対しても本人の 同意を得て作業して頂くなど、各校の実情に応じて職員全体で行うようにする。

 新たな物的、人的補償の姿勢は見られませんでした。特別支援学校に勤務する教職員はこれまでの通常の勤務であっても様々な感染症に悩まされてきた実態があります。

感染防止の最前線に立つ養護教諭とともにフェイスシールド等の配付は早急に行うべきです。また、検温を全校生徒対象の健康管理の基本とするのであれば非接触型体温計も相当数の配付が必要です。

また、特に妊娠をされている養護教諭など現実的な感染の危険を強く感じ不安を持っている方もいます。養護教諭は、一人配置が殆どであり自宅勤務、職免等の権利を行使し辛い現状もあります。代替要員などの補償が必要です。

また、変則的な授業形態や消毒作業によって休憩時間はもとより食事時間もままならない状況が多くの職場で生じています。労働条件が悪化していることは明らかです。

それぞれの職場では、感染予防に必要な物資が不足している場合はその都度横浜市当局に要求し、個人負担が当たり前の状況にしてはいけません。

また、新たに様々な業務が発生した場合には、出来ないものは出来ないとはっきりと表明し人員増を要求していきましょう。

  • 要求⑩
 厚生労働省労働基準局通知に基づく教職員の新型コロナ感染症に関する労災補償について

→地方公務員災害保障基金、横浜市支部から、労災補償との均衡を失しない取扱いとする 旨示されている。事案の状況に応じ個々の判断によるがこれを踏まえた認定がされる。

  • 要求⑪
  教職員の健康管理・感染予防、安全な職務の執行に向けてPCR検査、抗体検査等を実施する考えはあるか明らかにされたい。

→いずれも教職員の健康管理等で実施する予定はありません。

 教職員の新型コロナウィルス感染については、労災が適用されるという回答ですのでもし罹患した場合には申請をしていきましょう。また、これから更に児童・生徒を通じてなどして教職員が罹患し重症化するリスクが高まります。

すでに北九州市の教育現場ではこのような事が起きています。横浜でもこれまで冬期などを中心に職職員が複数インフルエンザに罹患し職場の機能が麻痺することは珍しいことではありませんでした。

従って、冬期に予想されるとされる第2波、3波の流行拡大に備えて、教職員の健康を守り、罹患を防いでいく事が必要です。

そのために、PCR検査、抗体検査などを健康診断時に義務付けていくなど有効に活用していく事が必要だと考えますが横浜市当局にその姿勢はありませんでした。

いったいどのようにして教職員の感染予防を行い、現場を守っていくつもりなのでしょうか。

横浜市は政令指定都市ですので学級内定数など児童生徒のための施策を独自の判断でおこなっていく権限を持っています。(自治体の中には、国の施策を待たずにして先進的な独自の対応をしているところも多数あります。)

しかし、今回の交渉において、政府・文科省の対応から一歩踏み出し、横浜市独自に児童・生徒、教職員の感染防止を行い、生存権や教育を受ける権利を守り発展させようという姿勢は、残念ながら横浜市には見られませんでした。

 引き続き横浜学校労働者組合は横浜市当局に働きかけ、より良い職場作りに向けて運動を広げて行きたいと思います。

共有したい先進的な取り組みの情報、職場の労働環境で困っていて改善したいこと、一人では言い出せないが主張したいことなどありましたら、是非横浜学校労働者組合までお知らせください。

「横校労」ニュースでの共有、対応策のアドバイス、パワハラを繰り返す管理職に対しての具体的な交渉や人事委員会への提訴の起こし方などを共に考えて、行動に移していきましょう!

横浜学校労働者組合はこれからも働く教職員のみなさんと共に前進していきたいと思います。

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