【働き方いろは ま】”衛生委員会”を機能させて職員の健康を守ろう

働き方いろは

皆さんの職場では衛生委員会が機能していますか?

校務分掌には様々な〇〇委員会がありますが、学校教育法に基づく校務分掌組織とは異なり、労働安全衛生法(以下、安衛法)に基づいて一定の基準に該当する事業所に設置を義務付けられたものが衛生委員会です。

衛生委員会は、労使対等、毎月1回以上の開催、議事内容を職員に周知するなどのルールが定められています。

*衛生委員会とは?

法18条(衛生委員会)

事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

一 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。

二 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。

三 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。

四 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項*(「規程の作成」、「安全衛生に関する計画の作成、実施、評価及び改善」、「衛生教育」、「健康診断並びにその結果に対する対策」、「長時間にわたる労働による労働者の健康障害の防止を図るための対策」、「労働者の精神的健康の保持増進対策」など)

職場における安全衛生に関わる取り組みは労使が一体となって行う必要があります。

このため、安衛法では労働者の危険または健康障害を防止するための基本施策などの重要事項について十分に調査審議するため、衛生委員会を設置することを義務付けています。

*衛生委員会の構成は?

2 衛生委員会の委員は、次の者をもつて構成する。ただし、第一号の者である委員は、一人とする。

一 総括安全衛生管理者又は総括安全衛生管理者以外の者で当該事業場においてその事業の実施を統括管理するもの若しくはこれに準ずる者のうちから事業者が指名した者

二 衛生管理者のうちから事業者が指名した者

三 産業医のうちから事業者が指名した者

四 当該事業場の労働者で、衛生に関し経験を有するもののうちから事業者が指名した者

上記一以外の委員については、労働者の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは、労働者の過半数を代表する者の推薦に基づき指名しなければならないこととされています。

実務上は、職員団体の代表者を指名して了承を得て、使用者側と労働者側が釣り合うようにしている場合が多いようです。

*衛生委員会でどんなことを話し合う?

衛生委員会は安全衛生に関する措置について話し合いますが、それぞれの職場で職員の健康に関わる問題が議論される必要があります。

例えば、皆さんの職場には休憩室(休養室)がありますか?

労働安全衛生規則では次のように定められています。

労働安全衛生規則  613条(休憩設備)

事業者は、労働者が有効に利用することができる休憩の設備を設けるように努めなければならない。

618条 (休養室等)

事業者は、常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない。

生徒の相談等のために部屋が割り当てられ、いつの間にか職員が休める部屋がなくなっている・・。そんな職場では、職員の健康は守られません。

勤務中に少しでも休息が取れる環境がないというのは極めて異常です。疲労、持病、妊娠初期や生理痛など、職員が安心して休める環境に対応できる職場づくりを求めていきましょう。

また、現在の新型コロナウイルスの影響下で、生徒のみならず、教員自身の感染予防対策は職場で十分に配慮、徹底されているでしょうか。

例えば、職員が毎日使用するマスクなどの準備も、業務に不可欠なものです。非接触型体温計を複数設置したり、消毒用ジェルを配布したりするなどの対応を求めることも考えられます。

あるいは、職員室での密を避けるために、業務を分散するための部屋を複数確保したり、職員が使用する部屋の環境を整えたり(例えばエアコンを設置するなど)することも討議内容となり得るでしょう。

そもそも、職員室自体が居心地の良い環境と言えるかどうか、例えば同僚間や管理職からのパワハラ発言など、精神的に追い詰める場所になっていないか確認することも大切です。

長時間労働による健康障害も大きな議題となります。例えば時間外勤務の記録をみんなでしっかり行い、職場全体で過労働を未然に防ぐなどの討議も必要かもしれません。

皆さんの職場で健康管理に必要な環境整備を衛生委員会で是非話し合いましょう。

*衛生委員会の運営は?

衛生委員会は、

○毎月一回以上開催すること

○委員会における議事の概要を労働者に周知すること

○委員会における議事で重要なものに係る記録を作成し、これを3年間保存すること

とされています。

衛生委員会が機能している職場でも”忙しくて月1回などできない”というのが本音かもしれません。しかし、”忙しい”を解消することが衛生委員会の本来の役割であると言えます。

学校現場ではとりわけ、”子供のために”と言われます。しかし、良い仕事をするためには何より職員自身が心身ともに健康であり続けることが不可欠です。

労働安全衛生の目的や重要性を、同じ職場の仲間と共有し、その措置を管理職に求めていきましょう。

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