【校長交渉】異例の年度途中の休憩時間変更 一定の前進!?

校長交渉

去る7月21日、9月17日に横浜総合高校(以下:横総)校長室で勤務条件に関する交渉が行われた。

横総は3部制の単位制総合学科。生徒数約1000人、90人を超す教員が、前勤務(8:25から)と後勤務(12:40から)に分かれ業務についている。

今世紀初頭からの教育改革で誕生した横総も、特色づくり邁進し、労務管理は横浜版といったところか。交渉で注目された「休憩時間」「ようこそカフェ」での応答をレポートする。  

「休憩時間」

質問:横総の職員の休憩時間は、会議や授業時間に設定されている。これは労務管理上、重大な問題と当組合は認識するが貴職の見解を示されたい。

校長「・・・・」

横校労「見解は?」

校長「答えられない」

横校労「私が受け持つ9校時の授業は、休憩時間とかぶっている。これは時間外勤務か?」

校長「今ここでは答えなれない」

横校労「理由は?」

校長「労基法に、このように(懲役)と書いてあるのだから。いい加減なことは言えない。難しい問題で考える時間がなかった」

横校労「書面で10日前に質問しているでしょう。あなたは労務管理上、問題があると認識しているのか?」

代理「分割で取ることも可能だから」

横校労「違う。私はあなたが作成した12校時までの時間割、つまり勤務時間の割り振りに瑕疵があると認識している。校長の見解は?」

校長「生徒のことを中心に考えたらこうなったのだろう」

横校労「休憩時間に会議、授業、HRが恒常的に存在するが、会議は職務では?」

校長「会議は学校運営をスムーズにするもので90人の職員が働きやすくなっている。しかし、必ずしも強制するものではない」

横校労「では、休憩時間に設定されている授業も強制、職務命令によるものでないのか?」

校長「時間外勤務といえるかは、それは分からない。」

代理「時間外勤務とは何の時間外なのか?」

横校労「7時間45分と定められた勤務時間を超えた労働時間ということ」

横校労「校長は時間外勤務をさせている認識はないのか?」

校長「時間外勤務かは答えられないが、そうかもしれない」

横校労「教員の時間外勤務は給特法により4項目に限定されている。法が時間外勤務と想定しない授業が、時間外に設定されているが校長の見解は?」

横校労「校長として、この問題を解決する意思はあるのですか?」

校長「なくはないが、解決するとも思えない」

横校労「互いに考えていけばいいでしょう。容易でないのは分かっている」

校長「では、まあ、そういうことにする」

この学校、開校当初から休憩時間に会議、授業が組み込まれ18年が経過。もはや既成事実となり「何が問題なのか」という空気が充満している。

現代的というか、横浜版労働環境といったところ。

ところが、9月の交渉で休憩時間変更の提案があった。変更のタイミングを問うと「10月中には」という。年度途中の割り振り変更は、異例のこと。校長も真剣に考えてのことと思われる。

改正案でも、会議、ホームルームと休憩時間が重なっており今後の交渉事項となるが、一定の前進があった。

改正案では休憩時間の終了と9校時の開始が一致している

労基法第119条

休憩時間について労働基準法第三十四条は、「勤務時間内、一斉、自由利用」の三原則を定め、取得を義務づけている。休憩時間が付与されなかった場合には使用者は同第百十九条により、六ヶ月以下の懲役か30万円以内の罰金が課せられる。

【ようこそカフェ】

質問:「ようこそカフェ」では、教職員が調理に携わる企画がなされている。教職員が生徒に飲食物を継続的に提供することへの衛生管理上の貴職の見解を明らかにされたい。

横校労「4月の職会での提案では私自身、調理を担当する体制が示されている。」

校長「その案はなくなった。委員会がひっこめた」

横校労「新型コロナを勘案してか?」

校長「違う。」

横校労「校長の考えは?否決されたとはいえ、運営委員会は通っている」

校長「否決ではない。カフェ委員会がその後、提案しなかっただけ」

横校労「教職員が生徒に飲食物を提供できるのか?」

校長「それは構わない。文化祭でもやっている」

横校労「提供しうる設備は整っているのか?」

校長「ある。」

横校労「どこに?」

校長「保健センターが入ってチェックしているし、衛生管理者を置いている」

横校労「衛生管理者とは誰だ?」

校長「ユースの方だ。カフェは学校ではなく、横浜ユースが主催し高校生版の子ども食堂としてやっている。そこに自主的に手伝いたい教員が参加している」

横校労「自主的?学校で行われているのだから業務でしょう。」

校長「辞めろと言いたいのか?」

横校労「業務として生徒に調理したものを提供するには、一定の技能、知識が必要でしょう。私が調理したものを生徒に提供することはリスクと認識している。また、業務として校長が調理を命令できるのか疑問だ」

校長「強制はしていない。自主的にやっているのを認めているのみ。気持ちとしては強制してない。衛生に関しては保健センターが見ている。部活動関係の生徒は朝食を摂っていない者がおり、保健体育的によくない。これに支援を受けているので、お願いしていく。」

横校労「朝食は摂った方が良いだろうが、私が調理するとなれば話は別、リスクを感じる」

校長「とにかく強制するつもりはない」

 校長の言う自主的、これは給特法の「自発的」だろうか?「教員の仕事は自発的創造的なもの」とする給特法体制は、教員の「定額働かせ放題」を実現した。

働かせ放題は量的(超過勤務)のみならず、質的(仕事内容)にも広がりを見せる事例としてのカフェか?否、「教員の調理」は質の広がりではなく、転換とも言えそうで、これも今後交渉が必要だ。

給特法

公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法(1971年制定)。「教員の勤務は特殊なもの」「教員の仕事は自発的創造的なもの」とし、勤務時間の内外を問わず包括的に評価し、月額4%の調整額支給を規定している。一貫して「教員には超過勤務を命じない」としているが、実在する膨大な超勤を「自発的なもの」とすりかえる根拠となっている。

ようこそカフェ

毎週水曜日に校内でオープンする、生徒を対象とした「交流相談」の場。学校内外のスタッフにより運営されている。ジュースやお茶、お菓子や軽食が無料で提供される。毎回200人近い高校生が立ち寄る。

コメント