ニュース 2024年10・11月号 №549

2024年10・11月号 №549

学校の風景

 ~そのパソコンいつまで使うの?~

 新しい学校へ赴任し、新しい公務分掌で情報担当となった。以前の学校でも情報だったのである程度のことは、出来るつもりでいた。情報の仕事として、教職員に関係する校務システム、ミライム、スグール、グーグルクラスルームの管理・運営、その他情報機器の管理がある。生徒に関係するものとして、グーグルアカウントの管理、ロイロノートの運営・管理がある。その中でもここ最近、大きな負担を感じるのが、クロームブックの修理である。

 最近では、国や市教委が進めるICT機器の推進により多くの先生がクロームブックなどのICT機器を使って授業を行っている。もちろん教員だけでなく、生徒も一人一台クロームブックを使って学んでいる。これらの授業を当たり前に行うには、クロームブックが使えるという前提でなければならない。だが、このクロームブックの故障が目立ってきている。

 私の学校でもすでに四〇台近くを修理に出している。修理に出している間は代替機を貸し出すが、クロームブックの配当も一人一台が基本なので同時に複数人が故障すると貸し出すことが出来なくなる。端末がない生徒はどうすればいいのか…?

 前任校でもクロームブックの修理担当を行っていたが、年々故障が増えていった。GIGAスクール構想のもと、クロームブックが配布され四、五年が経とうとする。あるメーカーのHPでは「パソコンの寿命は三~五年ほどです」と書かれていた。ということは、クロームブックもそろそろ寿命が近づいてきていることになる。普通に使用していて故障が増えるのも当たり前だ。でも「新しい端末がそろそろ…」という話しも聞かない。結局、寿命が近い今のものを使い続けるしかない。修理が増えれば増えるほど、情報担当の負担は多くなる。教員はいつからパソコンの修理窓口になったのだろう。国や市教委は、新しいことをすぐ実行するが、本当に先の事まで考えているのだろうか?

教育現場の実態を把握していない回答に不満感が募った!!

2024年全国学校労働者組合連絡会(全学労組)文科省交渉 報告

   東支部 和田 透

 交渉内容の応答を含めて、文科省の回答は次のようであった。

① 教師の自発性に基づく勤務に期待する面が大きく、校長の明示の指示と、黙示の指示や自発的な仕事か切り分け難い。そのため、労基法の時間外勤務手当ではなく、給特法で勤務時間の内外を包括的に評価しており、現在も法律性を有している。黙示の指示とは、校長から口頭や文書での指示はないが、行わなかった際に不適切な取り扱いをされてしまう物を指す。これは、教諭の置かれる状況や環境等から総合的に勘案される。自発的な勤務とは授業準備が挙げられる。これは個人裁量の幅が大きい。休日に学習に繋がる展覧会を見た場合などは命令に拠らない。

② 教員は、超勤四項目以外は労基法上の労働時間に入らない。しかし、教師の一定の自発的な勤務による超勤、労基法上の労働時間ではない個人裁量での労働が行われている。これを諾否含めて強制することは労働法制的に難しく、労基法制における労働時間とは見做すことができない。そのため、自発性を保証するために在校等時間という概念と上限指針を定めて、時間を外形的に把握し対処している。従って、在校等時間は教師を守るための概念である。公立校は私立国公立のように労基法制のみではなく、給特法においても時間の整理管理把握しているため、違法状態に当たらない。給特法七条を根拠とする上限指針については、文科大臣告示がなされる。なお、職務命令以外にも、職務上の義務や公務員法制に妥当する義務等も勘案しながら教諭は勤務に従事するよう求められる。

  授業時間の五分短縮による年間八〇時間の確保に対し、総合的な学習の時間を八〇時間増やすことについては、担当者不在のため回答は差し控える。学校行事の精選重点化については文科省から通知している。非常災害時等の特殊な状況下では、一部自治体においては特勤手当で対応している。五時以降の勤務も職務命令に当たる。なお、平成一九年に施行通知の全面改定をしており、「非常災害の『他』児童生徒に」という変更されており、必ずしも「非常災害『かつ』児童生徒に」関わることを行う関係にはなっていない。

③ 教職調整額については、定数改善、処遇改善、支援スタッフの充実などに労働環境の改善を一体的に進める中で行われている一つであり、概算出に向けて検討をしている。人不足による超勤についても、人を増やすこと、定数改善が重要である。

④ インターバル制は、中教審審議において一一時間を目安に確保する必要が推された一日単位での目安であり、教員の意識を醸成が眼目。在校等時間と共に両輪として運用したい。

⑤ 新たな職を法律に位置付けることによって、若手教員のサポート、業務担当の明確化、学校内外の調整や連携が円滑に進む。具体的方法は検討中。定数改善については、加配定数改善、基礎定数の改善を引き続き行う。乗ずる数・義務標準法七条一項一号を避けているわけではない。

⑥ 夏季休暇等の長期休暇以外でも適切なタイミングで有給休暇が取れるように有効事例の展開と調査を継続する。

⑦ 人事配置は各教育委員会が権限と責任に基づいて適切に行えるよう周知徹底をする。

 以上、文科省の説明は納得のできる物は多くなく、特に次の二点についての返答、対応は大いに不満足なものであった。

 まず、勤務時間内に教材研究をする時間が殆ど取れないことについて、文科省は認識していないだろう。個人裁量によって授業準備の時間増減があっても、社会の労働強度や労働生産性の平均度をもって、平均的な時間は概算されよう。そもそも、これが定まらず、どうして個人裁量によって時間外勤務が延びているといえよう。年度末に教員のICT機器の使用熟練度を測る調査が毎年送られてくるが、これは生産性の平均度を測る調査の一面である。また仮に指導書を基準とするのならば、準備必要時間の調査は可能であり、また自分たちで計測することができよう。それが難しいのならば、過去に要求されていたように、一時間の授業のために一時間の授業準備時間をとるなどのような目安を提示することができようし、これは文科省が懸念する強制には当たらない。

 次に、非常災害時において、教員は家族の被災状況等を勘案して交渉することまでしかできず、法制的には月一〇〇時間の超勤を命じられてしまうことは否定できない。被災状況を知っても公務員としての活動に従事させるか、個人の時間を尊重するかは、校長の胸三寸に拠る。また、超勤時に教員ではない自治体職員は概算二~三万円が一日につき支払われるのに対して、教員は同じ時間超勤をしても給特法制上五、〇〇〇~八、〇〇〇円に留まる。しかも対応しているのは一部自治体である。

 今回の質問に正対していない回答も見られ、かつ交渉中に新たに出された質問もある。文科省には、現場に赴いて実際を知り、現場の意見を「音」ではなく、「声」として理解して、誠意ある対応をして欲しいと切に願う。

私学・万博に関する文科省交渉 報告

   中支部 猪狩 良和

 二〇二四年八月一九日、参議院議員会館にて文科省交渉を行いました。ここでは、私学関係・万博についての申し入れの一部と回答をお伝えします。

〈私学に関すること〉

 私立学校の授業料無償化は一部の都道府県だけで行うのではなく、教育の公平性の観点から国が行うこと。

〔文科省回答一部〕

・国における高校生等への修学支援は、限られた財源を有効活用する観点から、これまで(平成二六年)に所得制限を設けることで捻出した財源により低所得世帯への支援を拡充するなど、教育の機会均等に資するよう支援の充実を図ってきたところです。

・文部科学省としては、教育の機会均等を図るために基盤として行う国の支援と、それに上乗せして取り組まれる地方自治体の独自支援が一体となって、教育費負担の軽減が図られることが望ましいと考えています。

〈万博への参加について〉

 大阪・関西万博を修学旅行、校外学習先に考えている学校には、正確な情報収集ができるようにし、安全面の確保に責任を持つよう促すこと。情報収集、安全確保が十分出来ないときは、参加を見合わせることも促すこと。

〔文科省回答一部〕

・文部科学省においては、内閣官房国際博覧会推進本部事務局、経済産業省の依頼を受けて、修学旅行等における大阪・関西万博の活用について、都道府県教育委員会等に通知を発出し、情報提供を行ってまいりました。

・加えて、内閣官房国際博覧会推進本部事務局等において、大阪・関西万博の修学旅行等への活用を検討している学校等に向けて、多くの子供たちが安心して大阪・関西万博に訪れることができるよう、来場に当たっての基本情報や会場内の安全対策等についての説明会が実施されたと承知しております。

 交渉の中で、高校進学をする上で「公立高校がどうやって私立と競争していくのか?」、「公立高校の重要や維持の重要性を認識してほしい」という声や万博について「文科省として万博に行くことの安全は確保されているという見解か?」、「修学旅行等など…について(大阪)府が税金を使って小中高まで行事・遠足を無料招待することを知っているか?」など多くの意見が出ました。文科省の回答は、当然納得のいくものではありませんでした。今後も交渉により現場の声を積極的に届けていきたいと思います。

休憩時間に関する人事委員会への措置要求④

 勤務をどう割り振れば休憩時間を取得できるのか市教委は具体策を示せ!

   執行委員長 名児耶 理

措置要求とは??

 勤務条件に関する措置の要求とは、地方公務員法46条の規定により、職員が給与や勤務時間その他の勤務条件に関して当局が適当な措置を執るよう、人事委員会に要求できる制度。公務員には労働協約締結権を含む団体交渉権、争議権が認められないなどの代わりにある、とても重要な制度。

これまでのあらすじ

 昨年一〇月に休憩時間に関する措置要求書を提出しました。要求の趣旨は

 ①休憩時間が取得しづらい状態を改善する措置

 ②休憩時間内にやむを得ず行った時間外勤務の実績を記録できるように教庶務システムを改修する措置

です。

 要求書に対する当局からの意見書は労基法を軽視しており、改善する姿勢が全くありません。

 これに対してこちらからの反論書↓当局からの意見書その2↓反論書その2(ニュース№546を参照)↓意見書その3↓反論書その3↓意見書その4↓反論書その4と続きました。

 今回は、その3からその4までの報告です。

休憩時間の取得状況は把握していない!

 反論書その2で、休憩時間取得状況を把握しているのか、把握しているなら資料を示すよう要求したところ、なんと当局は意見書その3で、「休憩時間の実際の取得状況を確認できる資料は存在しない」と回答してきました。それにも関わらず、「労基法の趣旨を尊重した対応をしている」と平然と回答しています。現場の労務管理を指導する立場でありながら、その責務を放棄し、労基法違反を自ら露呈しています。

 そもそも「尊重」しているという答え方自体が認識の甘さを表しています。当局は労基法を「遵守」すべきです。

休憩時間は給与が支払われない時間ですよ?

 当局の意見書その3では、「空き時間の参考として」時間割と日課表を提出してきました。しかし、これがなぜ休憩時間取得に関する資料となり得るのでしょうか。その説明を反論書その3に記しましたが、意見書その4に回答はありませんでした。

 時間割と日課表は基本的に児童生徒のためのものであり、教員の労務管理とは直接的に関係がないものです。空き時間は明らかに勤務時間であり、一方で休憩時間は給与が支払われない時間ですから、これを「参考」とすること自体が問題です。

勤務時間の割り振り不能状態をどうするのか?

 労務管理に関わるのは校長が職員に示す「勤務時間の割り振り」です。これは各学校から当局に提出されていますから、当局は承知しています。現実の勤務時間の割り振りが課業中においてほとんど遵守されていないことも把握しているはずです。現場を指導する立場からすれば、なぜ年度当初に示された割り振りが原則的に実施されていないのか、その原因と解決策を明らかにするのが当局の任務です。

四五分授業でさえも休憩時間の確保はできない!

 当局は、意見書その4で、「資料の日課表にある四五分授業は、授業時間を短縮して業務量の適正化を図る取り組みのひとつ」と回答してきました。果たして四五分授業を業務の適正化として当局は校長に通知したのでしょうか。したのであれば具体的な資料を出すよう求めました。

 ちなみに、資料として出された期間のうち、四五分授業が行われたのは主に職員会議と学年会が実施される日です。いずれも六時間授業で、結局会議は休憩時間に入っても継続され、休憩時間の確保には至っていません。このような実態がある中で、どう勤務を割り振れば休憩時間が取得できるのか、具体的に示すよう要求しました。

システムへの入力を有効と認める!

 現在の教庶務システムでは、休憩時間に時間外勤務を行ったことを記録する入力画面がありません。これに対し、横校労組合員がいる職場では、時間外実績のコメント入力欄にその旨を記載し、記録してきました。当局は、意見書その3とその4で、その記録方法をさも自分たちが通知したかのように、校長が職員の休憩時間を取得できない状況の確認手段であると回答しています。

 であれば、なおのことシステムを改修し、休憩時間にやむを得ず業務を行った場合の時間外勤務実績をシステムに記録できるようにすべきです。そうすることで初めて、正確な時間外勤務の累計が取れることでしょう。

健康に安全に働くために・・・

 四度の意見書反論書のやり取りで、当局の休憩時間取得に対する労基法軽視の態度が、かなりはっきりしてきました。そろそろ人事委員会の何かしらの判断が出てくる頃かと思います。

 休憩時間が取得できない状況は多くの学校現場にある問題であり、放置されているのが現状です。休憩時間取得の義務は、働く人間の肉体的・精神的な疲れを癒し、労働災害を防ぐために必要不可欠な時間だからこそ労基法に規定されています。健康に安全に働くために、引き続き要求していきます。

働き方いろはの「し」

NHKの朝ドラ、おもしろかったね!

司法を通した「不断の努力」

 この夏、NHKの朝ドラを見ていました。朝ドラで、ヒロシマの原爆投下と被爆者、安保闘争と東大安田講堂の攻防、水俣公害訴訟の「怒」旗の林立する実写場面などが次から次へと放映されるのを驚きを持って見ました。特に「尊属殺人」の場面は、私自身が公民授業で扱ったこともあり、過去の授業での生徒たちの様子を思い出しながら印象深く視聴しました。授業でこのショッキングな事件のあらましを伝えると、教室は張り詰めた空気に包まれました。民法199条(一般殺人罪)と民法200条(尊属殺人罪)を示し、裁判所はどちらを適用するか意見を募りました。「規範意識」が強いのか第200条と答える生徒が多かったのですが、一審は199条、二審は200条を適用したことを告げ、さて最高裁はと投げかけました。最高裁は199条と告げ、後に200条の重罰規定は削除されることを告げると驚きの声。その根拠について考えていき、「憲法14条 法の下の平等」と違憲立法審査に行きつくという授業の組み立てでした。教室で生徒と向き合う高揚感を久しぶりに思い出しました。

 最近、東京高裁で注目すべき判決がありました。家事労働者に「過労死」が認定され、労災認定がされたのです。亡くなられた方は60歳を超えて介護福祉士の資格をとり、訪問介護・家事代行サービス会社の斡旋で寝たきりの高齢者の家庭で1週間24時間拘束で働いた直後、急性心筋梗塞で亡くなられました。家事労働者は労基法の対象から外され、保護も補償も受けられなかった事に対して、遺族がおこした裁判です。

 弁護士からは、勝てる可能性は3%くらいと告げられ一審では敗訴。その際「妻が労働者で無ければ何だったのか。奴隷だったのか」と遺族は述べています。その後の控訴審判決での勝訴でした。厚生労働省は上告を断念し判決は確定。更に労基法自体の改正も視野に入れているようです。朝ドラのテーマでもあった司法を通した「不断の努力」で労基法の大きな穴が埋められ様としています。

「休憩時間確保に向けた措置要求」

 横校労は「休憩時間確保に向けた措置要求」に取り組んでいます。公立学校教員は労基法の一部が適用除外(時間外勤務手当等)されていますが、労基法34条「使用者は、労働時間が6時間を超える場合おいては少なくとも45分、8時間を超える場合おいては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」、同119条「(反した者は)6箇月以下の懲役又は30万円以上の罰金に処する」は適用されます。

 措置要求の内容は

 ①課業中の休憩時間が取りづらい状態を改善すること

 ②休憩時間にやむを得ず行った勤務について実績を記録できるように教庶務システムを改修すること

と極めて単純明快です。

 措置要求とは、行政内組織である人事委員会に対して不服申し立てを行うことで地方公務員にとっては司法判断を迫る前段階となります。

 休憩時間は、日教組調査によれば、取得できた平均休憩時間は12分余り、小中学校で0分と回答したのは38.7%。全教の調査でも小学校4.1分、中学校5.9分、高校25.1分、特別支援学校11.5分で小学校の79.4%、中学校の72.6%が休憩時間0分、45分以上取得できたのは1.9%にすぎません。これらの調査からも教育現場の息つく暇もない実態が浮かびあがります。月80時間以上の「過労死ライン」を超える時間外勤務時間も常態化しているのですから、これらの解決に向けた取り組みは急務です。

教員に必要なのは時間的な余裕!

 教員が多様な価値観を認め、児童・生徒に余裕を持って接して行くためには、教員自ら様々な価値観に出会い、精神的にも肉体的にも余裕がある事が必須です。初任の頃、開港記念日は職場で船を仕立ててのキス釣りが恒例でした。夏はテニス合宿、冬は北海道へスキー、映画にも何人かで度々でかけました。社会科教員4.5人の旅行での史跡巡りや養鰻場見学などは大変勉強になりました。当時は、無理なく計画・実行し楽しむ時間的な余裕があった事は間違いありません。

 現在、初任でクラス担任は珍しくなくなりました。他都市の経験があるとして学年主任に任じられ体調不良を訴える初任の話しも聞いています。授業準備、学級作り、児童・生徒指導、保護者対応、成績処理、更に降ってわいたスタディ・ナビの事務作業、いじめ調査細分化などで多忙化は一層進んでいます。職場環境の悪化は、採用試験倍率にも響いているようで横浜市の今年度教員採用試験応募倍率は大学6年生特別選考を除き昨年度比0.5ポイント減の3.1倍。試験の前倒し、青田刈りをしても全国的な応募倍率の低下は続いています。

 横校労は、職場の管理職交渉、人事委員会への措置要求など「不断の努力」で労働条件の改善へ向け取り組んでいます。あなたも横校労に入ってご自身の労働条件と職場環境の改善に向けて一緒に活動していきませんか。

   (中支部 平川 正浩)

日録

一〇日間の旅行のために、一年間の仕事、棒に振りました

 四月一四日から一〇日間、コスタリカへ行ってきました。ずっと行きたかった国で、今回、元同僚が一緒に行くということで。

 仕事のオファーがあったのですが、断りました。一〇日間の旅行のために一年間の仕事、棒に振りました。

 今から思えば、年休取って行っても良かったかな?と思います。非常勤という立場を考え、常勤職員に迷惑かけないことを、優先して考えてしまったので。

 国立劇場、専門学校、国立歴史博物館、憲法法廷、電力公社、国会(写真参照)、選挙最高裁判所などを巡り、手塚治虫さんの「火の鳥」のモデルとなったケツァールも見ることができました。ケツァールは、思っていたよりは小さく、目視しづらく、望遠鏡越しに見ました。

 大学生のときに違憲訴訟に勝利したロベルト―サモラ弁護士の話も伺いました。彼は過去のコスタリカと比べて現在のコスタリカに批判的でした。現在の政治は、ポピュリズム的な大統領に担われているようで…。

 専門学校訪問では、生徒は、民族衣装での踊りで出迎えてくれました(写真参照)。生徒会など自治活動が活発な印象を受けました。ただ制服着用なのが少々意外に感じました。

 街の様子は至って〈平和〉でした。争いごとも見ませんでした。コスタリカは、南米からアメリカ合衆国への麻薬の通り道になっていて、治安が悪くなってきたと聞いていましたが…。

 ヒューストン経由だったので、ちょっぴり〈アメリカ合衆国〉も体験できました。

 コスタリカは、ずうっと行ってみたい国でしたので、十分満足しました。

 「この世にもう未練はありません」(笑)

読者の声

 前号の記事を読ませていただき、自殺隠蔽、傍聴妨害、横浜スタディナビ、どれも共感できる内容ばかりでした。とてつもなく馬鹿なことばかりしている市教委に、声をあげる勇気はないですが、同じ感覚や価値観の方がいると思うと救われます!

   (特別支援学校 30代 女性)

 今年五〇歳を迎える。体力が落ち、老眼も進んで画面スクロールやピンチアウトする回数が増えた。働き方改革が謳われているが、その恩恵はまだ感じない。調査では残業時間は減ったというが、まだ二〇分足らずである。年齢別で見ると若い人ほど減っているという。二〇代の人たちの方が効率よく働いているということなのか。実際は、四〇代が二〇代のフォローをしないとヒヤヒヤする毎日だ。責任の重さを感じる。

   (中学校教員)

飢餓と食品ロス…

   東支部 岡 健朗

 国連五機関が表した最新の「世界食糧安全保障と栄養の現状(SOFI)報告書によると、二〇二三年に飢餓に直面した人は最大七億五七〇〇万人で、世界では一一人に一人、アフリカでは五人に一人に相当するとのこと。

 一方、先進国では作り過ぎや食べ残しや賞味期限切れによる食品ロスが話題になっている。

 日本の場合、「食品廃棄物」は年間約一、五〇〇万㌧。その内、まだ食べられるのに捨てられてしまう食品ロスは「家庭系食品ロス」と「「事業系食品ロス」と合わせて約五二三万㌧で、この量は国連世界食糧計画(WFP)が二〇二一年に実施した食料支援量の約一・二倍になるとされていて、日本で廃棄されてしまう食品ロスで多くの子どもたちの命を救えるとの事だった。

 ※地産地消の観点から、三年前から花壇に埋めてきた、小学校の給食の野菜くずや生ゴミは総計で五トン超え。

 が、そもそも調理の作り過ぎや食べ残しの改善は必要だが、需要の縮小が、食料の減産につながる可能性もある。

 なお、発展途上国では、害虫やカビが発生するなどの食品ロスが課題とされているが、保存設備や衛生状態の改善とともに、そもそも、食料増産のための畑や用水路が必要と思う。

 ※アフガニスタンで潅漑用水路を拡張し、栽培活動を支援してきた中村哲医師の取り組みが現在も受け継がれてもいる。

 また食品ロスには、人手不足や、収穫設備などの経済基盤の貧しさから、収穫が間に合わないといった食品ロスもあるとのことだが、貧しい家庭では、地産地消に見合った収穫ができる作物の種の入手こそが必要。

 そこで、地産地消の観点から、世界で主食として用いられている穀物を調べると、サトウキビ、トウモロコシ、小麦、米などで、トウモロコシは国によっては主食であるにもかかわらず、ハニーバンタムが出回った時には、美味しいが、一代限りで、種を取っておいても、発芽しない品種を作り出したアメリカの食料戦略に、違和感を覚えたことを思い出した。

 ※給食の野菜くずから出てきたカボチャの種を保存して、播いてみたところ、やはり一代雑種法で育てられたカボチャだったようで、今年も本命のカボチャは未成熟で終わり、代わりに雑種相手と思われるトウガンが育っている。

 種なしスイカや種なしブドウが当たり前になって、最近では、種苗法の改悪も話題になった。

 そこで、思い出したのが、二〇二四年九月一六日東京新聞13面「文化娯楽面」。

 「庖人は調和すれども敢えて食らわず、故に以て庖と為すべし」(呂氏春秋)の紹介があった。

 [料理人は調理するが、敢えてそれを食べない。それ故に、料理人でいられる。]

 作家宮城谷正光氏に寄れば「自分で作ったものを、自分だけの物にしてはならない」という教訓の文であるとのこと。

 飢えている国や人があるのに、一方で、農作物の種を独占し、儲ける先進国がある。

 なので、食品ロスを無くせば、飢餓は解決するとの論調は、根本的な解決を先送りしているに過ぎないと感じる。

 「自分で作ったものを、自分だけの物にしてはならない」という教訓を改めて大事にしたい。

編集後記

 今年も文科省交渉に参加した。教員の「自発的な判断により行った時間」は「労働時間に含まれない」との文科省の答弁があったが、私たちの仕事のほとんどは「自発的な判断」ではなく「やらざるを得ないもの」だ。授業準備(一番時間をかけられない)、成績処理、児童生徒指導、保護者対応、行事の提案・準備(運動会、合唱コンクール、宿泊学習等々)、様々な調査・報告、部活動の指導、あげればきりがない。そもそも定時で片付く仕事量ではない。教職調整額を一〇%以上に引き上げるというが、それで問題が解決するとは到底思えない。賢い文科省のお役人たち、まずは現場を見てほしい。

 恐ろしい暑さがやっと落ち着いた。あの暑さの中、汗だくになりながら学校に来る子どもたち、それだけでえらいなあと思う。短く貴重な「秋」を穏やかに楽しみたい。心地よい秋が味わえますように。

   (n)

連載第34回 3・11とアート―《プランクトンから見た第五福竜丸》―

   山内 若菜

微生物・プランクトン

ふたつの生命の光か

滅亡の光 地上にうまれおちた灯

私は生命の光、希望のあかりをとりたい

夜明け玉は光る そして僅か少しずつ大きな光へ

希望への黎明から赤い朝焼へ

植物プランクトンが産み出す膨大な量の酸素

炎となりひかりとなり太陽となり

第五福竜丸となり光に灯に

わたしはふたつの太陽をかかげた

ここに生きるすべての命への讃歌を謳いたい

「プランクトンから見た第五福竜丸」青いドローイング

「ふたつの太陽」3m×15.2m

 改めまして展示のお知らせをさせて頂きます。

「ビキニ水爆被災70年 ふたつの太陽 山内若菜展 命を紡ぐちいさな生きものたち」

 場所 都立第五福竜丸展示館

 期間 2024年10月10日から2025年1月19日まで

 時間 9時半から16時まで 月曜休館

    (祝日は開館、10月15日、11月5日、1月14日は振替休館)入館無料

    (作者山内若菜は10月10.11.12.13.14日、19日、26日は10時から在館する予定です。

     11月4日、17日は11時から在館)

 また、私の常設展示をしている片瀬山ギャラリーエスポアールで同時期開催、10月2日から1月30日まで開催しております。火曜から木曜、その他曜日は予約制です。合わせてご覧頂けたら幸いです。

山内若菜情報はこちら

山内若菜ホームページ wakanayamauchi.com

若菜絵ブログ http://wakanaeblog.seesaa.net/ または「若菜絵ブログ」と入力

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