ニュース 2023年12月・2024年1月号 №544

学校の風景

 ~デジタル化は便利なはず…?~

 最近、買い物で財布を出すことがほとんどなくなったため、新しく小さなものに買い替えた。支払いはSuicaやpaypay、楽天payなどキャッシュレス決済で済ませてしまう。たまに現金しか使えない所もあり、財布を出すと言えばそれくらいである。チャージもその場で行なえて、ポイントも貯まる。使用履歴も残るのでお金の管理もしやすい。世の中も○○payが普及しつつあり、デジタル化がどんどん進んでいる。学校現場も出欠連絡や保護者への連絡、アンケートなどデジタル化を進めて行くべきだと思う。例えば、未だに保護者へプリント配布、回収。無くした場合、生徒へ再度配布、回収。これだけでも多くの手間がかかる。一方、プリント一枚アップすればいつでも、どこでも、全体へ渡すことができるのに…。ただ、デジタル化も教員がどこまで関わるかによって便利なはずのデジタル化も大きな負担に変わってくる。

 今年度から神奈川県立高校の出願方法がWEB出願へと変わる。昨年度からなんとなく話は聞いていたが、どのようなものになるのかイメージが浮かばなかった。WEB出願に伴う資料などを見たが、全体のイメージがわからない。おそらくほとんどの人が同じような状況だと思う。読んでも「??」というところが多く、進路担当が研修で聞いてきた内容と資料の説明が異なっている。「どちらが正しいのか?」「本当にできるの?」そんな中で準備をしていかなければならない。不安でしかない。

 さらに出願にあたり、個人情報をエクセルでアップしなければならないことが判明。校務システムから情報を抽出し、張り付ければいいと思っていた。だが、県の用意したエクセルと校務システムの連携がなく、県のエクセルに合わせてデータを個別に張り付けなければならなかった。アップロードも今年度中にできると思っていたが、できるのは来年の一月上旬から。出願まで短い時間の中でデータをアップし、アップした情報が生徒と一致しているか確認した上でお知らせのプリントを配布しなければならない。これで「ミスなく行なえ」というのは、非常に厳しい作業ではないか。成績ならば時間が確保される。進路ではこれを日々の日常の中で行わなければならない。便利なはずのデジタル化もどこまで教員が関わるかで忙しさも全然変わってくる。「デジタル化するけど最初から最後まで教員がやってね」では、今の忙しさにプラスしてさらに大変になる。これで働き方改革と言えるのだろうか。教員の多忙さを解決するためのデジタル化をぜひ、お願いしたい。

休憩時間を取得させるのは使用者の義務!

 ――状況改善のため、措置要求しました――

   執行委員長 名児耶 理

 この度、労働基準法に基づく休憩時間の確保がしにくい職場状況の改善を求めて、人事委員会に措置要求を行いました。措置要求制度と今回提出した要求の内容、理由、資料などについて報告します。

〈そもそも措置要求って何?〉

 まず、措置要求という制度について確認しておきます。

 「勤務条件に関する措置の要求」とは、職員が、地方公務員法第四六条の規定により、給与、勤務時間その他の勤務条件に関して当局が適当な措置を執るよう、人事委員会に要求できる制度です。

 この制度は私たち教育公務員に労働協約締結権を含む団体交渉権や争議権が認められないなど、労働基本権が制限されていることの代償としてあるものであり、とても重要な役割を持った制度です。

 措置要求は常勤・非常勤に関係なく一般の職員(企業職員及び技能職員を除く)が個人で行います。要求書そのものはとても簡素なもので、誰でも提出することができます。

 私は以前にも宿泊行事に伴う特勤手当の部分休業控除について措置要求を出したことがありますが、今回は休憩時間が取れていないことについて、その措置を要求しました。

〈休憩時間の三原則とは?〉

 休憩時間は労働基準法によって、「一斉付与」「自由利用」「途中付与」の原則が定められています。「一斉付与」については、市教委は分割で取れるようにと主張しています。「自由利用」とは業務から解放されていることを保障するものですので、例えば職員室で昼食をとっていても、電話対応や生徒対応が求められる場合は手待ち時間となり休憩とは言えません。「途中付与」は労働時間の途中でなくてはならないということです。

〈休憩時間が取れない!〉

 皆さんの職場の休憩時間は何時から何時までですか?毎年度当初に校長から勤務時間の割り振りが示されているはずです。学校現場では昼食時には昼食指導が入り、児童生徒が在校している間は何かと対応せざるを得ないため、放課後に割り振りされていることがほとんどです。

 労働基準法三四条にある通り、休憩時間を取得させることは使用者の義務です。しかし、学校現場では放課後でもあらゆる業務に追われ、休憩時間を意識して働くという環境が整っていない職場が多いのではないでしょうか。特に放課後に部活動等がある中学校現場では、割り振りされた時間に休憩を取ることは実質的にほぼ不可能です。生徒の活動以外にも会議や研修が当てられるような酷い現状で、その違法状態が当たり前のようになっています。

〈休憩時間に行なった時間外 勤務が記録できない!〉

 学校では働き方改革の声も虚しく、なかなか長時間労働が改善しません。勤務時間内に収まらない膨大な業務は、教庶務システムに時間外実績として入力していることと思います。この記録は、校長から出される適切な配慮の申請の根拠となり、万が一の時のための客観的資料ともなるものです。

 しかし、現在の教庶務システムには、休憩時間にやむを得ず行なった時間外勤務の実績を記録する手段がありません。一日四五分の休憩時間が取れていないとなれば、月二〇日に換算して一六時間もの時間外勤務がなかったことにされていることになります。職員の労働時間の管理は校長の責任で適切に把握される必要があります。

〈要求の趣旨〉

 以上、要求は次の二点に絞りました。

①課業中の休憩時間が取得しにくい状態を改善する措置をとってほしい。

②休憩時間内にやむを得ず行った時間外勤務の実績を記録できるように教庶務システムを改修する措置をとってほしい。

〈要求の理由〉

 要求の理由を裏付けるにあたり、根拠となる資料を次の通り用意しました。

1 勤務時間の割り振り

2 行事予定表

3 日課表

4 部活動予定表

5 休憩時間帯における時間外勤務実績一覧

 1は年度当初に校長より出されたもの、2、3は職員会議で出されたもの、4は顧問として作成したもの、5は各日に休憩時間に行なった業務を自分で記録したものです。

要求①の理由は、

1、労基法三四条に基づき、休憩時間を取得させることは使用者の義務である。

2、使用者である校長は、年度当初に休憩時間の割り振り案を示している。

3、しかし、行事予定表や日課表では、休憩時間に生徒の活動や会議が入っており、部活動も休憩時間にあたる放課後に予定されている。

4、休憩時間に業務を行わざるを得ない状況が日常化しており、実際に休憩時間が取得できたのは、課業中はごくわずかである。

5、校長は、年度当初に示した割り振り通り、休憩時間が取得できるよう具体的な措置をとるべきである。

としました。

要求②の理由は、

1、校長は、職員の労働時間管理のために適切にその実態を把握すべきである。

2、しかし、実際教庶務システムは休憩時間未取得の際、その点が入力できない状態である。

3、労働時間の適正な把握という観点から、早急に不備を是正すべきである。

としました。

〈当局との交渉経過〉

 措置要求書には、要求者が要求する措置について既に当局と交渉を行った場合に、その内容を記入する欄があります。

 これまで横校労は市教委との度重なる交渉において、休憩時間が取れない状況を改善してほしいこと、教庶務システムに休憩時間が未取得であることを入力できるよう改修してほしいことを何度も申し入れてきました。しかし、一向に状況は改善されませんでした。

 また、年度初めの職場交渉でも休憩時間について校長に申し入れました。が、こちらも割り振り通りに休憩が取得できるような措置は講じられませんでした。

 これらについても、申し入れを資料として提出しました。

6 政令市費化に伴う教庶務システムについての申し入れ(二〇一七年)

7 横浜学校労働者組合統一要求書(二〇一七年)

8 タイムカードについての申し入れ(二〇一八年)

9 二〇一九年横浜学校労働者組合統一要求書(二〇一九年)

10 「一年単位の変形労働時間制」導入に向けた条例制定に反対する申し入れ(二〇二〇年)

11 勤務時間に関する申し入れ(二〇二三年)

交渉の経過は、

1、校長、市教委に対して、所属する組合で申し入れ書を作成し、交渉を行った経緯がある。

2、「『政令市費化』に伴う教庶務システムについての申し入れ」(二〇一七年)の、休憩時間の時間外勤務について、市教委は「休憩時間は決められた時間に取得してほしい。取れない時は、分割あるいは時間をずらして取得してほしい。」と回答し、システム改修の方向性について示さなかった。

3、「横浜学校労働者組合統一要求書」(二〇一七年)の、教庶務システムに休憩時間未取得が入力できないことについて、市教委は「休憩時間は取得することになっている。取れない時は、分割あるいは時間をずらして取得してほしい。」と回答し、改善策を示さなかった。

4、「タイムカードについての申し入れ」(二〇一八年)の、休憩時間が取れていないことについて、市教委は、休憩時間は「管理職には取ってもらうように言っていく」と回答し、改善策を示さなかった。

5、「二〇一九年横浜学校労働者組合統一要求書」(二〇一九年)の、休憩時間を取得している職場の把握について、市教委は「休憩時間を取れていない職場が半数を超えていた。取れるように改革を進める。」と回答したが、実態は今なお改善されていない。また、教庶務システムについて、市教委は「正規の時間に取れない場合は、分割あるいは別の時間で取得するようお願いしている。」と回答し、改善策を示さなかった。

6、「『一年単位の変形労働時間制』導入に向けた条例制定に反対する申し入れ」(二〇二〇年)の、休憩時間の付与について、市教委は「休憩時間については適正な確保に努め、まとまった取得が困難な場合でも交替や分割等により確保するよう通知している。きちんと休憩時間を確保できるよう、適正な労務管理と働き方改革を進めていく。」と回答したが、システム改修や改善策を示さず、実態は今なお適正化されていない。

7、「勤務時間に関する申し入れ」(二〇二三年)の校長交渉では、休憩時間の確保について、「労基法に抵触している事態は認識している。現実にどういうやり方がベストか、授業時間との兼ね合いでなかなか変えにくい。適切な配慮で返したい。」と回答し、割り振り通り取得できるように措置を講じることがなかった。

としました。

〈措置要求書のゆくえ〉

 以上、全ての資料をまとめ、副本とともに提出しました。今後、措置要求書に対して、当局から意見書が送られてくる予定です。この意見書の内容によっては、こちらから反論書を提出することになります。場合によっては何度かやり取りを経て、審理、判定となります。判定までには数年かかることもあります。

〈当たり前の権利を当たり前に行使できるように〉

 教員の長時間労働の問題は、精神的理由による休職者の増加や教員採用試験応募者の減少を招き、学校現場は教員不足という大変危機的な状況にあります。時間外労働の是正は給特法を廃止し、労働基準法を適用するしかありませんが、今回措置要求した、休憩時間が取れないことが恒常化している問題は、これとは別次元にあります。

 休憩時間は連続する労働の疲労を軽減し、人間らしく働くための権利です。学校に勤務する労働者として、当たり前の権利を当たり前に行使できるように主張することが、現在の深刻な学校現場を変えるきっかけとなります。

 措置要求の経過は今後も報告していきたいと思います。

「横校労」購読料カンパのお願い

読者の皆さま

 機関紙「横校労」を読んで頂き、ありがとうございます。「横校労」は、皆さんからのカンパを元に発行しています。これからも勤務条件の向上、働きやすい職場を目指して、市教委交渉や校長交渉を行っていきます。カンパにご協力いただける方は、お近くの組合員に手渡しして頂くか、次の口座への振り込みをお願いいたします。皆さまのご協力、よろしくお願いいたします。

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2023賃金確定交渉 決裂!!

   東支部 中島 佳菜

 一〇月に人事委員会から出た「給与に関する報告及び勧告」に基づき、給与改定が示された。民間企業との給与の差を解消するため、「①給料表の引上げ改定を行う ②初任給を一三八〇〇円引き上げる ③期末・勤勉手当については四・四月分から四・五月分に引上げる」ことが示された。

 これに対し、横校労では「数万品目の飲食料品の値上げや光熱費、ガソリン代の値上げなどの歴史的な物価高騰、さらには円安等により、実質賃金は下がっている状況である。また、三・三%の改定は、春闘での民間の賃上げ率三・五八%には至っていない状況である」として、さらなるプラス改定を求めて、次のような要求書を提出した。

 これに対する回答が一一月一四日に行われた。「給料表改定の考え方については、基本的な考え方に基づいた通りです。今後も勤務条件については、交渉していく」とお決まりの回答で、交渉は決裂に終わった。

 交渉では、労務課より「横浜市の初任給引上げは市独自のもので、他都市の一二〇〇〇円にさらに上乗せしている(一三八〇〇円)」との話があった。しかし、初任給の引上げが来年度の教員志望者の増加にはつながっていないとのこと。目先の初任給アップより、「時間外勤務が多く残業代も出ない勤務条件の改善が急務である」ことを伝えた。

 人事院勧告では、給与改定だけでなく、「全ての職員が持てる力を発揮できる職場づくり」「心身ともに健康で働きやすい職場づくり」「柔軟な働き方が可能な職場づくり」などについても触れている。これらを踏まえ、名児耶委員長より「勤務実態調査では、H三〇年度に比べR四年度では改善が見られたというが、コロナによる行事縮小などの影響があったことが大きい。今年度はコロナ前の働き方に戻ってきているため、しっかりと調査、分析すべき」「中学校で休憩時間が取れていない実態をどう改善するのか」「適切な配慮を取らせない管理職がまだ多い実態をどう捉えているのか」「インフルエンザや溶連菌等による感染症が急増している現在、子の看護休暇が足りないという声も多い。医療費同様、中学生にまで拡充すべき。子どもが三人いる教員に子看一〇日では足りない。せめて子一人につき、五日間は必要である」等の意見を伝えた。

 横校労では引き続き、労働条件の改善を求めて交渉していく。

                2023年11月10日 

 横浜市教育委員会

 教育長 鯉渕 信也 様

              横浜学校労働者組合 

              執行委員長 名児耶理 

人事委員会勧告に基づく給与改定に関する要求書

 実質賃金の低下、円安と歴史的な物価高騰、数万品目超の飲食料品の値上げに加え、電力料金をはじめとする光熱費の高騰、ガソリン代の高止まりなどが、生活を圧迫している。また、「定額働かせ放題」で残業代の出ない「ブラックな職場」として教員は若者に敬遠され、教員志望者が年々減少し、深刻な社会問題となっている現状がある。

 人事委員会勧告を踏まえ給与改定が示されたが、物価高上昇の中で、実質賃金は下がっている状況である。また、年収で約3.3パーセントの改定にとどまっており、春闘での民間の賃上げ率の平均3.58パーセントには至っていない。

 教員の処遇改善、人材不足、志願者の減少に歯止めをかけるためにも、本市独自の賃金面での処遇を示すことこそ当局は検討すべきである。よって横浜学校労働者組合は以下を要求する。

 物価高騰、教員の処遇改善に対応するため、横浜市独自の給与改定を行い、さらなるプラス改定を行うこと。

   以上

「学習サポーター裁判を支える会」結成!

 ~組合活動嫌悪による千葉学習サポーター不採用損害賠償請求裁判~

   大船支部 朝倉 賢司

 「横校労」で毎回掲載している学習サポーター裁判の第五回口頭弁論が、一一月二八日松戸地裁で開かれた。

 定員三〇人の傍聴席は、この日も原告を支援する多くの人達で埋め尽くされた。被告県側からは、原告吉田さんのサポーター申込書の記載に対し、理由にならないクレームをつけたり、原告の長い教職歴を知らなかったなどの、反論にもならない「反論」文書を出してくるなど噴飯ものであった。裁判は序盤戦の段階であり、次回からは被告側が主張するごまかしの不採用理由に対し本格的な反論となる。裁判は、次回第六回口頭弁論の期日を二月一三日(火)として短時間で終了した。

 裁判終了後、場所を近隣の市民会館に移し、「学習サポーター裁判を支える会」(略称学サポ裁判の会))の結成集会がもたれた。傍聴者の殆どの人たちがこの結成集会に参集した。行政当局が組合活動家を学校現場から排除したことに対し憤りを感じた多くの学校労働者、市民、他産業の労働者がこれまでも傍聴席に駆けつけていた。

 会代表には小川さん(千葉学校合同委員長)、会則や世話人等も選出し、物心両面で原告を支えていくことを確認した。横校労も組織加入し組合員も早速加入した。

※「学習サポーター裁判」とは

 二〇二〇年新型コロナ蔓延防止対策として進められた施策の一環で、文科省は学校現場への応援措置として半年のみの臨時学習サポーターの全国配置を決め、千葉の小中学校では八八〇人分の採用予算が付いた。それを受け千葉県教委は七月下旬に臨時学習サポーターの募集を教育事務所ごとに掛け、原告の吉田さんは七月に地元の東葛飾(東葛)教育事務所に応募した。吉田さんは小学校で四〇年以上も教職に就いてきたベテラン教員で、退職後も補助教員などを続けていた。また千葉学校合同組合の委員長として長年東葛地域を中心に原則的な闘いを続けてきていた。学習サポーターの募集要項には教員免許不要、一八歳以上という条件しでしかないのにも拘わらず、応募者二六三人中不採用者は二人のみであった。これは、あからさまな労働組合活動家への差別排除であり、放置することはできないとして、裁判に持ち込んだものである。

※「支援する会」連絡先「千葉学校合同」メールアドレス

 gksp2020@ymail.ne.jp

日録

九月二二日 足裏のマッサージ機(たたきタイプ)と光線治療(可視総合光線療法)を、自宅で始める(両足の冷たさと痺れ対策)。できない日もあるが、三月までは効果を期待して続けようと思っている。しっかりと歩けるようになりたい。

一〇月二一日 組合の「退職を祝う会」があった。退職をされたお二人には申し訳なかったのだが、欠席。欠席でも祝意を表わす形があったらよかったなあと、つくづく思ってしまった。思い浮かんできたのは記念品代への協力。

一一月二日 「あーすぷらざ」での大船支部会に参加。私を励ます会を、針谷さんが企画してくださった。九月の支部会「茂呂さんの傘寿を祝う会」を欠席したため、久しぶりの支部会。茂呂さんも駆けつけてくださった。皆さんの優しさが身にしみる会だった。

一一月一一日 ラジオ第一(マイあさ!)から『今日は「立ち飲みの日」』と聞こえてきた。「立ち飲みかあ、いいなあ、また行きたいなあ」と呟いてしまった。そして「一九四四年一一月一一日一一時」(いいつき、いいひ、いいとき)に「松代大本営建設のための最初の発破があった」ことを思い出した。「象山地下壕」見学に、また行きたいなあ。

一一月二四日 この日は、渋谷区にあった母校(大学)が空襲で被災した日(一九四四年一一月二四~二六日の「マリアナからのB29による東京初空襲」)。母校の校舎は、元「海軍(記念)館」の建物だった。在学中に「校舎は空襲でふくらんでいる」と聞いていたことが、ずっと頭にあった。その空襲が、三月の「東京大空襲」なのか、五月の「山の手空襲」なのか気になっていた。「表参道が燃えた日~山の手大空襲の体験記~」を読んで、一一月二四日に被災したことを知った。この本を販売していたという「山陽道書店」に行ってみたくなった。

一一月二八日 吉田さんが原告になっている「千葉学習サポーター裁判」傍聴支援に、九月に続いて今回も行かなかった。次回は行けるとよいのだが!?

   (大船支部 菅間 清光)

読者の声

隔月刊「横校労」を読んでの感想等がございましたら編集部まで是非お寄せください。

 毎号楽しみにしています。世界の情勢、日本の混迷、多くの問題が山積する世の中で、今後中心になり生きていく子ども達へ、何を伝えていくべきかを自問自答している日々です。この国や学校は、トップダウンによる変革ではなく、一人ひとりが現状を少しずつ変えていく努力を継続することが大切であると思います。まさに横校労の活動のニュースは、現場に立ち変革を志す者として、様々な勇気やヒントを与えてくれる存在です。

   (中学校教員 海野達也)

 今の職場に来て、初めて横校労を知りました。

 学校現場は異動をすると、別の会社に就職したのかと思うくらい別世界です。おかしいなと思うことがあってもその学校の慣習なのかと思い、おかしいと言うことができませんでした。

「郷に入れば郷に従え」と言う言葉がありますが、従うだけでは労働環境は改善されないので、自分の中での違和感を大切にし声に出していきたいと思いました。

   (中学校教員)

 教員を辞めてもうすぐ一年になろうとしています。ニュースを読みながら学校現場を懐かしく思うとともに、コロナ禍が学校に与えた影響がいかに大きいものだったかを考えてしまいます。特にマスクを外せない、顔を見せられない子どもたちが増えたのはもちろん、コミュニケーションが難しくなる子どもたちが増え、学校でもこれまでにない課題が生まれてきそうです。労働環境改善についてはもちろん、子どもたちの変化や抱える問題についての発信も楽しみにしています。

   (元中学校教員30代)

働き方いろはの「め」

デリバリー型給食の脆弱性を問う!

 今回は、「デリバリー型給食」が食の安全を確保する上でいかに脆弱なものであるかが露呈したタバコ吸い殻混入事件を取り上げます。

食材の中からタバコ吸い殻を発見

 給食調理業者が調理する際に食材であるじゃが芋の中からタバコの吸い殻を発見しました。その後の市の対応を時系列で見ていきます。結果としては指示が徹底せず配膳された粉ふき芋を食べてしまった生徒も出ました。

経過(10月5日)

4時00分頃 給食調理製造業者が調理する際に食材であるじゃが芋の中からタバコの吸い殻を発見。

8時50分頃 製造業者から横浜市に報告。

9時30分  健康教育・食育課(以下健食課)において「粉ふき芋」の提供中止を決定。全校にメール送信、電話にて「粉ふき芋」を喫食しないよう連絡。

16時00分  保護者宛メールを順次送付。

16時25分頃 異物がタバコの吸い殻だと言うことを含めた概要を保護者宛メール。

 タバコの吸い殻の発見から、提供中止の決定までかなりの時間が経過しています。教育委員からその事を問われると市教委担当者は「製造業者は市教委と連絡がとれなかった。製造をとめるという判断が出来なかったことから、当該釜は証拠品を残し全量廃棄し、その他は調理を続けた」と応えています。

 異物混入の場合の対処マニュアルが存在しなかったこと、指示を仰ごうとしても市教委との連絡方法がなく、当該釜で引き続き調理を続け各学校に配送したことが明らかになりました。混入物が有毒な「タバコの吸い殻」である事が公にされたのは16時25分以降で給食時には知らされなかった事もあり粉ふき芋を食べた生徒が出たのです。

原因を特定できず。

企業名公表せず責任は曖昧のまま

その後の対応は。

・5日 保健所が食材納品業者へ立入検査。

・6日 納品業者、製造業者へ聞き取り 保健所及び健食課が製造業者へ立入検査

・10日 健食課が製造業者へ立ち入り、衛生指導 とされています。

 数日間の動きですが、市教委は10日に製造業者に二度目の立入をし衛生指導も行っています。下の保健所の報告文からは製造業者の喫煙者の管理、検品体制が甘い事が読み取れます。

1 喫煙者の管理について

 納品業者:作業員の喫煙者や銘柄を記録管理しているが、当該異物と同じ銘柄たばこの喫煙者はいない。

 製造業者:喫煙者は記録管理していないが、20名程度いると思う。

2 調査結果

 納品業者:当該異物混入に繋がる状況は確認されず、敷地内でたばこが混入する可能性は低い。

 製造業者:原因の特定には至らず、混入の可能性は低いと考えられたが、検品のためのマニュアルがなかったため作成を指導。

 教育委員からも

 木村委員「製造業者の「20人程度いると思う」という答えは原因追及のためのものでも何でもない。「~らしい」「~と思う」というのは無責任。タバコが調理場で発見されたのは事実なのだから業者名の公表は考えていないのか」

 四王天委員「産地偽装は警察対応をして、タバコ混入はなぜ警察対応しないのか」等出され、担当者は

 「保健所に入ってもらったが原因の特定が出来なかった。このような状況で事業者名の公表は風評被害を招く恐れがあり公表は控えさせて頂いている。」

 「ヒューマンエラーが起こった。被害届を出すことは控えた」と応えています。

 市教委のこのような言葉の使い方、被害届への態度は生徒の食の安全より、企業の「安全」を優先したようにもとれます。

これで中学校給食の安全は守れるのか

今後の対策としては

・出荷時の検品、納品食材の検品強化徹底、目視確認を徹底する。衛生教育の徹底

・健食課の緊急連絡体制の整備 等が担当課から出されました。

森委員「検品の強化、目視による点検、従業員の年2回の衛生教育の強化というが。これで何が改善されるのか、何を徹底するのかがわからない。」という教育委員の意見はもっともだと思います。

 本来このような事件が起きた場合には、業者自らが事実、謝罪、再発防止策等を発表するのが食品業者として当然の社会的責任です。それら一切を市教委は不問に付す前例を作ってしまったのです。食の安全を誠実に考えるならヒューマンエラーだからしょうがないは通じないでしょう。自校方式の調理員による顔が見える調理であれば温かい給食の提供、そして検品も、アレルギー対応も細やかにできるでしょう。何かあればすぐに相談もできます。

 横浜市は現在供給可能食数約33000食を26年に最も安上がりな「デリバリー型給食」によって約81000食に引き上げようとしています。しかし、今回その危険性や脆弱性、責任の所在の曖昧さが明らかになりました。また、単位時間50分の中学校でどのように給食の時間を確保するか、調理員等の食の専門家未配置での実施は労働強化に他なりません。OECD諸国の中で、GDPに占める教育機関への公的支出が37カ国中36位ワースト2の日本の教育行政の一端が示されたとも言えます。(その後市教委は市議の追及で方針転換。再調査へ)

   (中支部 平川正浩)

新刊案内

名取弘文 著

『わが名はシャクシャイン』

 ~アイヌ民族1000年の壮大な叙事詩~

 一九八〇年代初め。当時まだ男性では珍しかった家庭科専科になり、ユニークな授業で注目された名取弘文さんと、私は長い付き合いがあります。これまでに多くの著作を発表した彼に、三〇年来書けないでいる一冊があることを、私は知っていました。それは「アイヌ民族」です。

 一九九三年の国連の国際先住民族年をきっかけに、名取さんはアイヌの方々と出会い、アイヌへの理解を深めていきます。同じく関心を持つ画家の貝原浩さんと、アイヌの英雄シャクシャインの絵本を作ろうと話がまとまるのですが、その後、貝原さんは病で亡くなり、絵本の話は立ち消えに。しかしその後もシャクシャインを語る名取さんを目にし、彼の思いが消えずにあることは十分感じていました。そこで私は、「書いたらそれを俺が芝居にするよ」と持ちかけたのです。二〇二二年の夏でした。

 すると書き途中の原稿が次々我が家に届きます。生半可な知識では書けない内容。彼が傾けてきた思いの深さが分かります。そして、何と四ヶ月後には書き上げてしまったのです。題名は「わが名はシャクシャイン」。それは民族の壮大な叙事詩でした。

 正直「ホントに書いたんだ!」。でも、これをどう芝居にするか?とんと思いつきません。暮れから正月にかけ、私は悶々と考え込みます。そんな折、アイヌ民族文化財団が作成した小学生向けの副読本が手に入りました。それを読んでいたら「横浜の小学生が、副読本と名取さんの叙事詩を読みながらアイヌについて知っていく」という物語がふいに頭に浮かんだのでした。

 それからはやらねばならないことが次々に。中でも困ったのは、子どもが二人登場するのですが、この役者さんが見つからない。小柄で童顔の人を探すのですが、おりません。その時に「いっそ本物の子どもにしたら」とのアドバイスを貰います。が、そこらに転がってるもんじゃない。その悩みを組合員に話すと、即座に「いるじゃないですか!」。「どこに?」と聞くと「組合に」の返し。そう、灯台下暗し。組合員のお子さんで適齢の子どもが二人いたのでした!

 シャクシャイン法要祭にあたる九月二三日に、東京の小劇場で一日限りの公演を行いました。阿寒湖から駆けつけた名取さんの知己の山本栄子さんには、アイヌの歌やムックリ演奏を披露して頂きました。そして芝居は「子どもたちが良かった」の声の何と多かったこと。カーテンコールでは、満席の会場から拍手が鳴り止みませんでした。

 公演の記事が翌週の北海道新聞に大きく掲載されたこともあり、出版社への予約注文がどっと入ったと聞いています。本には、自然と共に生きるアイヌ民族の世界観。アザマロからシャクシャイン、更に現在へと一〇〇〇年を超えて続くヤマトの侵略と差別。それらが静かに、時に熱く、アイヌとして生きる誇りと共に綴られます。名取弘文という書き手の渾身の一冊であることは間違いありません。

 この作品が世にでることに幾ばくかの手助けができたこと。それは私の密かな自慢です。

   (東支部 山本 理)

 自然食通信社 2、200円

編集後記

※ あっという間に一年が過ぎる。コロナ禍が明け、従前の行事などが次々に復活した一年でもあった。何もかも単に元に戻すのではなく、コンパクトにできるものは工夫してやっていきたい。

※ 労務課との交渉は、ピカピカの横浜市庁舎で行う。フロアには、大小さまざまな会議室や応接・相談ブース、そして立派な「休憩室」が完備されている。ちらりと覗いた休憩ブースには、座り心地の良さそうな椅子や自動販売機などがあって、職員がリフレッシュできるスペースとなっていた。休憩時間に、部活動の指導をしたり、採点作業をしたりと休む間もない学校現場との格差を感じた。一七時を過ぎると、大勢の職員が駅へと向かう。残業する職員もいるのだろうが、こんな普通の働き方がしたいなと思う。

※ 二〇二四年が始まる。担当する子どもたちと過ごすのもあと三カ月。終わりが見えると少し肩の力が抜ける。リラックスして一日一日を大切に過ごしたい。

   (n)

3・11とアート ―《だれの子どもも殺さないで》―

「だれの子どもも殺さないで」ポスターをつくりました。自由にお使いください。

 非暴力、声なき存在の象徴のように、赤ちゃんのような幼児。命の発露。人道を脅かす存在、そこに対して声をあげたかった。戦争はどんな戦争も絶対悪であり、勝ち負けは幼児にとっては関係ない。全ての子どもだった大人を含め、とにかく停戦、殺すなを直接的に表現した。今、表現の中で最もたいせつな

ことのように思う。

片瀬山ギャラリー・エスポアールではこんな、「NOWAR」展、年内はポスター展をしています。新年から2月末までは「人・自然・社会関係・三位一体展」が開催しています。

住所:〒251-0033 藤沢市片瀬山3-34-4

在廊日は下記にお問合せください。

wakanayamauchi0402@gmail.com

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