これまで、私たちの勤務時間外の仕事(労働)について文科省は「教員の自発的行為である」から公費支給(給料の支払い)はなじまないとしてあらゆる「公費支給」を否定してきました。例外として時間外勤務として認めているは、校長が命じることのできる限定4項目だけです。
当初からこの状態なので疑問も感じずに今日まで働いてきた教員が多いかもしれませんが、私たちは他の公務員や一般の労働者が得ている超勤手当のない、極めて異常な状態で働かされ続けているのです。私たちを無給で働かせる法律が「給特法」であり、横校労が廃止を求めている法律です。
去る5月17日、全学労組連絡会は、時間外勤務手当が支払われるようにし教員の労働環境の整備に向けて申入れと交渉を行いました。
社民党の福島みずほ参議院議員を通じて全国7労組の代表が会し、文科省は小俣初等中等教育局財務課給与・予算統括係長、吉田初等中等教育局財務課教育公務員係専門職、馬渡高等教育学生・留学生課専門官が対応しました。
申入れ内容は33項目の多岐にわたりますが、時間の関係で別表の1と32に絞り行いました。
1.「公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」(以下給特法)は貴職もこの間の交渉で回答してきたとおり制定当時の労働実態との大きな変化に伴いもはや教員のみを特殊な労働関係であると規定することができない現状に至っていることに鑑み、これを廃止し、教員に対し労働基準法を全面的に運用すること。 「給特法」で制定されていない慢性的・恒常的に存在している時間外勤務に対しては、労基法第37条[時間外、休日及び深夜の割増賃金]による時間外賃金が支給されるものであることを明確にすること。 ア、教員の「自発的・創造的な活動」が勤務時間を越えて行われることを勤務時間管理者が放置・黙認している現状に対して文科省として如何なる方策をとるか。 イ、「給特法」で想定されていない時間外労働への時間外割増賃金の支給についての見解を明らかにされたい。 ウ、現行労働基準法に基づく4週間または1か月を単位とする変形時間労働制たる「勤務時間の割り振り変更」が機能していないのは、慢性的・恒常的に加重な業務が存在しているからであり、その見直しをすることなく1年を単位期間とする適正化は実現しないと考えるが如何。 エ 繁忙期・課業期間中の勤務時間を延長することで、過労死ラインで働かせられている教員の実働時間のさらなる長時間化を助長することになるのではないか。 オ、給特法の存在が使用者の勤務時間管理を疎かにし、コスト意識を希薄にさせている現状を認めること。 32. 学生支援機構による奨学金申請に関わる教員の業務負担の解決を図ること。 カ、学生支援機構の奨学金申請業務を教員が行う法的根拠を示すこと。 キ、教員の加重労働解消、「働き方改革」の観点から、奨学金業務に対する人的、財政的補助の必要性を検討しているのか。 |
ア、教員の「自発的・創造的な活動」が勤務時間を越えて行われること・・
アについては、1月に発表された「ガイドライン」で述べられていることと同様でした。つまり「超勤4項目以外の業務が長時間化している実態も踏まえ、・・・(勤務時間を)教師等が校内に在校している在校時間を対象とする事を基本とする」ということです。
これまでの文科省の立場とは異なる内容です。では、在校時間をどうのように把握していくのかに対して、「在校時間の調査を行っていく」ただし、「在校時間には休憩時間を除く」というものでした。
私は、過去半年間に休憩時間を取っていない自分の記録を示し、30年余の勤務で休憩が取れたことはないことも伝え、「調査項目に休憩時間の取得について必ず入れるように」と発言しました。
また、幾度も出てくる「自発的な時間を除く」とう言葉に違和感と受け入れがたさを感じました。学校現場で、職務と関連のない「自発的な時間」など存在するのでしょうか。現場感覚とのどうしようもないずれを、文科省の担当者から感じました。
また、給特法については、文科省は存続の立場は崩しませんでしたが、全学労組としては、たとえ給特法があっても労基法37条によって時間外賃金が支払われるべきだと考え伝えました。この件では埼玉県で裁判が始められています。引き続き追求していきたいと思います。
ウ、「勤務時間の割り振り変更」が機能していないのは、慢性的・恒常的に加重な業務が存在しているから・・
ウ、の「1年を単位とする変形時間労働制の導入」について文科省は「日々の時間短縮にはつながらないが、年間の総労働時間の短縮につながる可能性のある有効な制度である。段階的な導入に向けていきたい。」と回答。法的な整備が必要なためにすぐにという事ではなさそうですが注視していく必要があります。
32.学生支援機構による奨学金申請に関わる教員の業務負担・・
32について、教員が「奨学金申請」の業務を行う法的な根拠は、文科省サイドは「省令」としていますが、極めて希薄な根拠です。高校ではこの分掌になった教員は過酷な事務処理を負わされているとのことでした。
小中学校の生活保護世帯の事務処理等にも繋がるものです。法的な根拠が曖昧なまま教員がやらされている業務も、多忙化の大きな原因になっていることを改めて感じました。
若い官僚たちに、どれほど教員の労働実態が伝わっているのか・・
若い官僚たちに、どれほど教員の労働実態が伝わっているのか、言葉では表しにくい「違和感」や、「通じあわなさ」を感じながらの1時間の交渉でした。
横校労は「給特法」の廃止、労働基準法の適用、労基法37条に基づく割増賃金の支払いへ向け、皆さんに協力を呼びかけながら運動を広げていきます。
コメント