学校の風景
~「夜間学級」もしくは「夜間中学」の存在を知っていますか?~
私自身は大学の講義が記憶に残っている程度で、漠然としたイメージしか持ち合わせていませんでした。読者の多くも似たような状況ではないでしょうか。昨年、『宙わたる教室』がドラマ化されて以降は、イメージを持ってもらいやすいように「定時制高校の中学校版です」と紹介することが増えました。
本校の場合、入級相談条件は、学齢超過、義務教育未修了(十分に学ぶことができなかった)、横浜市在住在勤の三つです。そのため、一〇代から七〇代まで、五か国の文化的背景をもつ生徒たちが「学びたい」というそれぞれの想いで集まっています。これまで学校生活の経験がない生徒は「なんでも初めてだから楽しい」と目を輝かせ、学んでいます。ひらがなから学び始めた生徒たちも、仲間たちに支えられながら、日本語を徐々に習得してコミュニケーションが取れるようになっていきます。働きながら学ぶ生徒もいますし、学び直しを希望して入学する生徒もいます。一人ひとり違うことが当たり前の環境で、お互いを尊重しながら、温かな人間関係の中で、自分の目標に向けて学んでいます。
歴史をさかのぼると、夜間学級は一九四七年の新学制導入後、戦後の混乱や貧困から、学齢期の子どもたちが家計を支えるため、就労や家事手伝いで中学校に通えない状況が多発したという社会背景から生まれた学びの場でした。しかし、社会情勢の変化とともに、生徒層は変化をし続けています。二〇一六年には教育機会確保法が成立したことで、増え続ける不登校生徒や、学び直しを希望する形式卒業者たちを受け入れられるように法的基盤が確立しました。
「あってはならない、でも、なくてはならない」学校として、すべての人々のための学びのセーフティネットである夜間学級ですが、また同時に、社会のひずみを映し出す鏡でもあり、その背後にある社会課題にも目を向けなくてはならないと強く感じています。
2025年全国学校労働者組合連絡会(全学労組)文科省交渉報告
労基法適用で、学校現場の過酷な実態を本気で変えなければ!!
執行委員長 名児耶 理
八月一八日(月)、今年度の全学労組による文科省交渉が参議院議員会館にて行われました。全学労組側は三〇名超の参加があり、交渉の窓口となっていただいた福島みずほ参議院議員も二時間に及ぶ交渉の最後まで同席され、文科省からは計九名が対応しました。事前に申し入れた八項目のうち、重点項目として、“給特法”、“教員不足”、“休憩時間の未取得”、“授業時間の短縮とその運用”、“デジタル化関係”の各項目について意見交換がされました。
前半では特に給特法、休憩時間に関する主要なやり取りをもとに報告します。(申し入れ全文と事前回答は横校労ホームページに掲載)
(全学労組=全、文科省=文)
1【給特法】に関して
全「働き方改革が打ち出されて、時間外在校等時間が上限45時間、年間360時間。労働基準法では、オーバーした場合119条で、罰則や罰金の規定がある。45時間なんて給特法からしたらおかしいが、少なくとも文科省の打ち出した45時間オーバーした管理職は、責任を問われて当然だ。懲戒処分があってしかるべきじゃないか」
文「国の指針を踏まえて、各都道府県、各教育委員会の方で、時間外在校時間に関する目標時間を定めて、その実施状況をしっかり公表しなさいという取り組みを進めている。どうすれば達成できるようになるのかを考えていく必要がある」
全「答えになってない。処分するのかしないのか、どっちか」
文「この時点で1分でも超えたからと言って直ちにそれを処分するのかというと、それはそうだと簡単に答えられない」
全「時間外勤務は、自発的なものと、指揮監督下のものが渾然一体としてるから判断できないと言うが、じゃあなんで国立学校の教員と、私立の教員は、ちゃんと時間外勤務と認定されて、残業手当が出るのか。我々、公立学校の教員と国立学校の教員私立の教員と何が違うのか」
文「契約形態が違うということで、給特法の制定当時の国会でも議論されている・・・」
全「我々公立職員だって国立の方に行ったり、私学に行くものもいる。その途端に残業代が出る。残業は指揮命令下だから、校長の許可がなければできない。初めてそこで時間管理ができるんじゃないの。あなたたちだっておかしいと思わないか。同じことやってるのに。だから、そういう答弁してないで、おかしいと思ってください」
給特法は何をやっても罰せられない
労基法であれば、罰則付き上限規制と残業手当によって長時間労働が抑制される枠組みとなっています。しかし公立学校教員に対しては、給特法下で在校等時間という概念がつくられ、時間外の上限規制が設けられたものの、これを超過しても管理責任のある校長には何の罰則もありません。これでは上限があろうとなかろうと校長は必死になって教員の労働時間を守ろうとするわけがありません。同じ全学労組に加入している大阪敎育合同は、人事交流で公立から国立の小学校に異動した組合員の超過勤務や休憩時間未取得の問題に対して学校側と団体交渉を行い、未払い賃金の請求を勝ち取りました。労基法適用だとこうもあっさり事態が変わるのですから、いかに公立学校の教員が悲惨な労働状況下にあるかが明らかです。
2【休憩時間未取得】に関して
全「令和4年度勤務実態調査の10月11月の小・中学校教員の休憩時間取得は23分、これをどのように評価しているか」
文「十分に取れてないというところは重く受け止めないといけない」
全「校長に休憩した時間の取得状況の把握する義務があると言ったが、どうやって、校長は教員が休憩時間を取得できてるかどうか把握してるのか」
文「勤務時間管理システムとかでも導入されてるかと思う。当然何時から何時まで休憩をとったと、付与されてる時間で取れていなかったら、そこに修正みたいなのがかけられると思う。この時間で取り、取れなかったら、別の時間に残りをとりましょうねという把握をすべき」
全「そこが横浜はできてないので、今の話を市教委に言いたい」
全「中学校は放課後と同時に休憩時間が設定され、放課後と同時に部活動や生徒の指導や委員会や諸会議が入る。こういう状況を把握してるか」
文「個別具体にお話をお伺いしたりすることはある」
全「このような状況で休憩時間をどうやって取ったらいいか」
文「給食指導のときに輪番とかでやっていただくとか、地域スタッフの方を入れてとか、分割して給食の時間、最初と最後で輪番して給食で取りきれなかった部分を放課後でとるとか・・」
全「中学校の場合、放課後に休憩時間が設定されてるにも関わらず放課後に生徒がいる。給食と放課後と二つに分けたとして、給食の時間に職員が半分いない、放課後に職員が半分いないってことでしょ。それで学校が回ると思ってるのか」
全「今回の給特法改正の付帯決議にもあるように、時間外在校等時間を実際よりも過少に申告した場合は、処罰の対象にもなりうることを周知するとある。実際休憩時間が取れてないが、取れたことにして委員会に報告をしている校長、これは虚偽の報告ですよね」
文「ちゃんと在校等時間を適正に把握して、それを改ざんしたりだとかっていうことは、あってはならない」
全「わかりました、虚偽ということでいいですね。それも市教委に伝えます」
学校現場で休憩時間がどういうものになっているか全く把握できていない!
文科省の回答は、学校現場が休憩時間の割り振り不能状態になっていることを全く把握できていないものでした。実態調査でも二三分しか取れていないという労基法違反が明らかなのに、悠長な回答を繰り返す文科省に呆れます。一方で、休憩時間の取得状況の把握は校長の義務であり、勤務時間管理システムなどで把握すべき、休憩時間を取れたことにして報告することはあってはならないと、はっきり回答がありました。これについては、休憩時間に関する措置要求に大きく有利な言質を取ることができました。
文部科学省交渉(続)
中支部 猪狩 良和
続いて後半の項目について報告します
3【授業時間の短縮とその運用】
質問内容
①働き方改革が叫ばれて久しくなりますが、教員の「時間外在校等時間」の削減は遅々として進んでいません。この原因のひとつに、児童・生徒の在校時間の長さがあります。中学校では、部活も含めれば、生徒の在校時間が教員の正規の勤務時間を超えている場合も多く見られます。次期学習指導要領で「1コマの授業時間を5分短縮すること」が検討されていますが、これを奇貨として、授業時間の短縮を児童・生徒の在校時間の短縮に充てることが、「教員の働き方改革」に大きく資することになると考えますがどうでしょうか。
(②は省略)
4【デジタル化関係】〈教育内容〉
質問内容
①文科省が、ICT教育に対し懸念している点はありませんか。文科省は、次期指導要領の改訂で紙の教科書を廃止しデジタル教科書に転換していくと伝わっていますが、再考の必要があると考えます。いかがですか。
これに対して文科省の回答をまとめると以下のようなものであった。
授業時間・働き方改革
・次期学習指導要領で「授業を1コマ5分短縮」する案が検討されている。
・目的は在校時間や授業時間の調整を通じて、子供と教員双方の負担を軽減すること。
・ただし「必ず5分短縮」と決めるのではなく、授業時数を柔軟に動かせる仕組みを整え、子供の資質・能力を育成する活動・教員の研修や研究活動に充てられるようにする。
・学校や教育委員会の裁量を尊重しつつも、教育の質確保の観点で一定の要件は設ける可能性がある。
ICT教育
・1人1台端末は「ただ使う」だけでなく、主体的・対話的・深い学びに活用することが重要。
・全国学力調査でもICTを効果的に使う学校は成績が良い傾向がある。
デジタル教科書
・紙を廃止する方向ではなく、「紙・デジタル・ハイブリッド」を選択的に活用できる形を検討中。
これに対して、「1コマを5分短縮できれば教員の在校時間も短縮できる。ただ、その5分を別のことに使う時間にしろというのは何も変わらないのではないか?」という意見が挙がった。ICT教員に関しては、「海外での学力低下の事例がある」、「学習効果は本当にあるのか?」という意見が出た。
たった五分とはいえ六校時まであれば三〇分の時間が生み出せる。現状、休憩時間を取得できていないことや勤務時間の大幅な超過を踏まえると、ぜひ実践していただきたい。ただ、強制的に他の活動に使うようになれば現在と変わりがない。国はもっと現場の現状をよく見て方針を決めるべきだと強く感じた。
9/5千葉学習サポーター裁判
第一二回口頭弁論(証人尋問)報告
九月五日の午後、学習サポーター裁判第一二回口頭弁論が千葉地裁松戸支部で行われました。「横校労」では、この裁判について毎回のように報告していただき感謝しております。今回は、原告の吉田が報告します。
この日は、二〇二〇年八月二六日にあった臨時学習サポーター(以下「学サポ」)の採用面接の面接官だったT主席指導主事(面接官A:当時)とY指導室長(面接官B:当時)の証人尋問と原告(吉田)の証人審問が行われました。
台風一五号の接近中でしたが、横浜をはじめ愛知・山梨・埼玉・東京などからも傍聴者が駆けつけ、傍聴席数を超える三五名ほどの支援傍聴者の参加があったので、交替での傍聴になりました。
始めの証人は、面接官A(履歴等の確認担当)だったT氏(現在再任用校長)でしたが、「面接のことはほとんど覚えていない」(要旨)との証言でした。「面接評定票」を複数書いたことも、「親族」の記述を間違えて書いたことも覚えていないというのです。原告の「面接評定票」が複数ある(通常は1枚のみ)ことを弁護士から指摘されても「現物があるのだから、私が書いたのだろうが覚えていない」としか言いません。最後に原告の弁護士が、T証人に「念のためにお伺いしますが、本件面接後に頭を打った事故にあったとか病気で記憶喪失されたことはありますか」と聞きましたが、「そのようなことはありません」と答えました。
次の証人は、当時指導室長であり、面接官A(教育内容の質問担当)だったY氏(やはり再任用校長)でした。こちらも、「当時二百数十人の希望者がいて、他の仕事もあり、忙しかったので、原告の面接について覚えていない」(要旨)と言うのが主な証言でした。
その時の学サポの採用では応募者二六三名中二名しか「不採用」がなかったし、学サポ採用について「情報公開」を求めたのは原告一人でした。「不採用」通知直後に千葉学校労働者合同組合が話し合いの申し入れを行ったことは覚えていました。また、他の時にも情報公開などの経験はなかったそうで、「面接時の記録」という「記録文書」を書いた経験も初めてだったそうですが、「面接のことは覚えていない」と証言しました。
ところが、その後で「面接評定票」にも「面接時の記録」にも書いていなかった原告の言動として「大きい子は嫌だな、女の子はちょっとな、高学年の女子はいろいろあるからな」などと原告が言っていたとのでっち上げ証言をぬけぬけと行いました。
また、「面接時の記録」に原告が「妻がY小、子がK小にいる」と書いたことには、T氏と相談などはせず聞いたことを書いたと言いつつ、それが原告以外の面接でのやりとりであり、Y氏はその面接には参加していないのに間違いを訂正しませんでした。
これに対して原告は、原告側弁護士との尋問で、経歴や学サポ応募の経過、面接での様子などを的確に証言しました。被告千葉県の弁護士とも落ち着いてスムーズに受け答えしました。
次回口頭弁論は、一二月一九日午後二時からと決まり、そこで結審となります。
ご支援引き続きよろしくお願い致します。
(千葉学校合同:吉田 晃)
働き方いろはの「せ」
休憩時間を取らせなかった校長に労基法違反で賠償命令!
右は高松地裁判決文の表紙です。黒塗りされているのは原告名で、中学校教員であるご本人唯一人。一方その下には被告側の名が続きます。人事委員長や教育長と共に香川県人事委員会指定の弁護士、代理人、香川県教育委員会指定の弁護士、代理人計14人が名を連ねています。この裁判はご本人が弁護士や代理人をたてずに闘っている本人訴訟なのです。前号で記したアドレスへ激励のコメントをぜひ。
校長には休憩時間を取らせる義務がある
さて、今回はもう一つの争点について考えます。労働基準法34条は「使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少なくとも四十五分、八時間を超える場合には少なくとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない」としています。本判決でも「地方公務員法及び給特法は、労基法34条の適用を除外していない・・、したがって各学校校長は、1日の勤務時間が8時間を超える場合には1時間の休憩時間を付与し、その内容を明示する職務上の義務があった」とし、更に「休憩時間に該当するためには、当該時間に労働から離れることが保障され、使用者の指揮命令下から離脱していることを要する」と断じています。
そのうえで「本件合宿」について、「別紙3の『職員の動き』列には、休憩時間に関する記載はない。食事時間の記載はあるものの、いずれも生徒と共に食事をとっているのであるから、適宜、配膳・片付け等に関して指導することが求められていたと考えらえる。入浴時間の記載も認められるが、いずれも『交代で入浴しながら就寝指導』等と記載されており、生徒指導と並行して入浴していたものと考えらえる。したがって、本件合宿において、教育職員が労働から解放される時間が確保されたとはいえず、休憩時間の付与及び明示があったとは言えない。○○中学校長は、前記の職務上の義務に違反したというほかない」とし、校長の労基法34条違反を認定しています。更に、合宿当日だけでなく「1年団会議(学年会)が実施された勤務日においても休憩時間が付与されないまま長時間の労働に従事し、肉体的・精神的苦痛を被っている。本件合宿では、16時間を超過する長時間労働を命じられたのであるから、原告が被った肉体的・精神的苦痛が、軽微なものであったとは評価しがたい」とし、賠償を命じています。
判決を職場でどう生かしていくかが今後の課題
一方、本判決にも課題があります。一つめは、校外学習に関わる労働時間についての判決であり、通常勤務については埼玉超勤判決の「教職員の業務は、その自主的で自律的な判断に基づくものと校長の指揮命令に基づくものが日常的に混然一体として行われているために、これを峻別することは通常困難であり・・」と旧来の対場を継承していることです。二つめは、本裁判上で「時間帯丙」と示される就寝指導後から翌朝6時15分の時間帯を「本件センターに宿泊することを指示されていたものの、・・飲食や移動等も自由に行われていたと考えられる。緊急事態の発生に備えた対応マニュアル等も整備されていなかったことを踏まえると、・・基本的には自由に行動することが許容されていたといえる」とし「労働時間に該当しないとするのが相当である」としていることです。
本裁判は、原告、被告ともに控訴し去る8月22日に第一回控訴審が開かれましたが即日結審。判決は11月5日が予定されています。課題はあり控訴審中ですが、この判決は現在の私たちの労働条件改善に結びつけられるきわめて重要な内容を含んでいます。この判決の意義を踏まえ校長交渉等を通じて、職場の労働条件を改善していくことが必要です。
共に横校労で闘いませんか。
(中支部 平川 正浩)
食料自給について…
東支部 岡 健朗
機会ある度に大まかな形で触れてきたが、先輩たちは退職後、庭で畑もできる七〇坪の土地に住み、私たちの世代は、共働きで、小さな庭と駐車場はある四〇坪の土地に住み、後輩たちは駐車場付きだが、二五坪の土地で、ローンにも追われている。最近は三階建ての家のケースもある。
新聞の折り込みチラシの中には、今日も近隣のスーパーが安さを競っていて、日本が競争社会であることを知らせてくる。中には消費者還元としてポイントも掲載しているが、これも結局は消費を促すことに他ならない。
働いている間は消費しなくて済み、収入も得られるが、確実に個人の時間は奪われてきた。
退職後、数年間は働いて所得はあったが、後期高齢者の今、年金だけの収入となり、支出で貯蓄をとり崩す生活になって、改めて、日本は消費完全社会になっていると感じる。
例えば、生きる上で欠かせない食事。朝・昼・夕の三食のうち、一食でも自給できているかと振り替えると、一食ですら自給出来ていない。お金がなければ食べていけず、お金のために働かざるを得なかったのだ。
家計の消費支出に占める食料費の割合を示す指標にエンゲル係数があるが、近年、食品価額の上昇や円安により、日本のエンゲル係数は一九八一年以来四三年ぶりの高水準(二〇二四年:二八・三%)を記録しており、家計にゆとりがない状況を反映している。
↓エンゲル係数のように、労働者への資本主義自体の浸透ぶりを表す指標として、例えば三食に占める食料自給率の発想が必要なのではと思う。
国の食料自給率は四割前後と言われるが、労働者の食料自給は〇%で、全てお金がなければ得られない現実。
遡れば、農村の中卒を「金の卵」と集団就職させ、父ちゃん母ちゃん農業から、父ちゃんの出稼ぎへと農業の疲弊を伴いながら、発展してきた工業。勤労も消費も美徳と煽られた日本の資本主義は企業に内部保留させながら、労働者には食料自給率〇%を徹底したことになる。
時間の用い方は、個々にゆだねるとして、三食のうち一食でも食料自給のために費やせる時間が欲しいと考える自分は、今までの労働はやはり働き過ぎで、半分は自分の生活に使いたかったなと思う。
退職してから、自給のための時間が取れるようにはなり、せめて三食のうち一食でも自給(国の自給率には及ばないが三三パーセント)したいと思い、市民菜園を借り、麦などを育てたりしているが、退職してからでは体力の問題も出てくるので遅すぎる。
一方、現役の職場実態は、働き方改革が言われても、給特法は一〇%に引き上げされる形で温存され、働かせ放題の実態が解消されてはいないので、食料自給のための時間確保は難しい状況。
なのに、金銭教育やスマホ問題などあらたな課題が増えるばかりで、新規採用者の中には、早期退職や休職に追い込まれる人もいて、人手不足に拍車をかけ、仕事は多様化し、残業実態が解消されないまま。
退職後、学校の給食の野菜クズを花壇に埋める活動を続けているが、たまに夕方に出かけると七時過ぎても職員室には明かりが点いている。
教職員のエンゲル係数は低い方と想像されるが、生きていく上で欠くことができない三食の食料自給の指標があれば、労働者の働き過ぎの実態や資本主義の弊害がより身近に感じられて、働き過ぎが新しい角度から指摘できることになるのではと思う。
読者の声
夏休みを過ぎてから他校の同僚たちからよく連絡が来るようになった。みな、「○○の教科の知り合いはいませんか?や臨任、非常勤で働ける人を知りませんか?」という連絡だ。働きやすい職場とはどんな職場なのか、ニュースを読みながら考えてしまう。
(中学校教員)
教員の働く環境について、当たり前のように学校現場では思われているけれども、社会一般では当たり前ではないことがたくさんあると日々感じています。正当な残業代が出ない、土日祝日の部活動指導、定時後の打ち合わせ、何が「仕事」なのかが曖昧なため、思いつくもの全てを仕事としていることなど。横校労を読むたびに、学校現場が変わってくれるのを待つばかりではなく、仕事を精査する、少しでも早く退勤するなど、自分たちの働く環境を良くするために考え、行動していく必要があると感じています。
(中学校教員)
編集後記
前期終了。まだ半分もあるという思い、あと半年、息切れしないようにやっていきたい。
八月末、文科省交渉へ。お役人に現場の声は届いているだろうか。休憩時間に休んでいる人などいない。保護者に電話、丸付け、資料作り、授業準備など、コーヒー片手に皆、仕事をしている。せいぜいスマホを見るくらい。さらに、性犯罪不祥事防止のための動画を研修という名のもと見たり、教室に隠しカメラがないか見回ったりも。「こんなことしても意味ないよね。やった感出してるだけ」と同僚と話す。
秋は行事が目白押し。日々の仕事に加え、運動会、宿泊学習、土曜参観、社会科見学、音楽会、研究授業も。行事予定表を見るだけでぞっとする。マルチタスクが求められる仕事だけれども、疲弊しきって休職に追い込まれる教員が後を絶たないのも分かる。健康第一で乗り切りたい。
(n)
連載第40回 3・11とアート ―《訴え》―
山内 若菜
わたしには弟が一人います。
今年の9月17日に東京地裁で行われた「3・11子供甲状腺がん裁判」15回目の口頭弁論、原告8・ひとみさんの意見陳述の言葉が頭の中で響き続けています。
がんになったのが幼き弟であったら。わたしであったらと、わたし自身と想像し、そのまなざしを描きました。見られ、見つめて欲しい。タイトルはわたしであなたの訴えという意味もあります。一緒に訴えてゆく思いを込めて。

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