本給や時間外・休日勤務手当に上乗せして支払われるべきなのに
今回は特殊勤務手当とは何なのかを考えてみます。
国家公務員の特殊業務手当(以下特勤手当)を定める「一般職の職員の給与に関する法律」によると、特勤手当の趣旨は「著しく危険、不快、不健康又は困難な勤務その他の著しく特殊な勤務で、・・・その特殊性を俸給で考慮することが適当でないと認められるもの」への手当とされています。
さらに一般公務員に支払われている特勤手当は、休日労働の場合であれば休日給(平日の給与の35%増し)にプラスされて支払われます。
つまり、特勤手当とは本給や時間外・休日勤務手当でも補うことのできない加重な労働負荷に対する手当なのです。
「特殊な」教員への特勤手当の支給
更に「人事院規則9-30」では、具体的な特勤手当の対象業務が定められおり、「爆発物取り扱い等作業手当」、「死刑執行手当」「死体処理手当」「異常圧力作業手当」など、極めて特殊な業務が対象とされているのです。
このような特勤手当の本来の性質から見れば、日常的な業務である部活動指導などに対して特勤手当を支給することはその趣旨からは大きく逸脱しています。
仮に「特殊な勤務」と位置付けるにしても、本給や時間外勤務手当、休日勤務手当等を支給したうえで、その上乗せとして特勤手当が支給されるべきなのです。
ですから、この「特殊な」教員への特勤手当の支給は、時間外勤務手当や休日勤務手当が一切支給されない「給特法」の問題点を覆い隠すために微々たる額を支給されているとも言えます。
私たちは異常な勤務形態である宿泊行事などでは時間外勤務手当や休日勤務手当を受け取った上でこの特勤手当を受け取るべきなのです。
そのためには、一刻も早く「給特法」を廃止し、時間外勤務手当、休日勤務手当の支給を含めた労基法の教員への全面適用が必要なのです。
市費移管交渉で横校労が勝ち得た権利
また、現在、権利として皆さんが行使している年休等の内容に関しては組合の粘り強い交渉の結果、確保されてきました。
市費移管の際にも私たち横浜学校労働者組合(以下横校労)が以下の交渉をしていなければ、年休の付与単位など市当局の大変行使しづらいものになっていたはずです。
確保されている権利はしっかりと行使し、働きやすい職場となるよう声をあげ、組合として交渉を続け、次につなげていくことが何より大切です。以下に市費移管の際の交渉内容をあげます。
市当局は市費移管後の勤務条件について当初下のように示していました。
勤務条件の主な差異(市費移管通信第一号2015.5.12発行より抜粋)
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| 市 費 | 県 費 |
住居手当 | 18000円(40歳未満のみ支給) | 最高28000円 | |
特殊勤務手当 (教員)
| 部活動指導のみ支給 | 部活動指導、修学旅行等引率業務、非常災害時緊急業務、入試業務等に支給 | |
年次
休暇
| 付与日数 | 年度20日 | 暦年20日 |
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付与単位
| 1日、半日、時間単位 (時間単位の取得は5日分まで) | 1日、時間単位 (時間単位の取得に制限なし) |
横校労は交渉を重ね、「年休の時間単位の取得」を復活、継続させました。表にあるように時間休の上限は5日分としていたのです。
そして、今回の「特勤手当」についても、各種手当を廃止し部活動のみに一本化する当局案に対して以下の論点で交渉をしました。
①旅行的行事における11時間45分をはるかに超える業務実態の抜本的改善抜きに引率業務の手当廃止は容認できない
②生徒指導全体からみれば一部に過ぎないが深夜に及ぶ緊急に生起する生徒指導に対する手当を廃止する理由は何なのか。具体的な説明が無い限り廃止は容認できない。
③阪神淡路大震災や東日本大震災などの非常災害時において、一般公務員がその職務に就いた場合、残業手当が支給されるのに対して僅かながらでも支給されていた手当を廃止するということは、一切の手当なしで災害時の支援、対応を強要するものになり容認できない。
そして本当にわずかな額ですが下にある特勤手当を獲得したのです。
業 務 内 容 | 従事した時間 | 支給額 |
対外運動競技において幼児、児童又は生徒を引率して行う指導業務 | 8時間以上 4時間以上8時間未満 2時間以上4時間未満 1時間以上2時間未満 | 5000円 2500円 1500円 1000円 |
学校管理下において部活動又は学校行事として行われる保健・安全的行事における幼児、児童又は生徒に対する指導業務 | 8時間以上 4時間以上8時間未満 2時間以上4時間未満 1時間以上2時間未満 | 5000円 2500円 1500円 1000円 |
学校管理下において行う非常災害時等の緊急業務で次にあげるもの (ア)非常災害時における幼児、児童若しくは生徒の保護又は緊急の防災若しくは復旧の業務 (イ)幼児、児童又は生徒の負傷、疾病に伴う救急の業務 (ウ)幼児、児童又は生徒に対する緊急の補導業務 | (ア) 6時間以上 2時間以上6時間未満 (イ)(ウ) 6時間以上 2時間以上6時間未満 | 7500円 1100円 7000円 900円 |
修学旅行、林間・臨海学校等において幼児、児童又は生徒を引率して行う指導業務 | 7時間45分以上 泊を伴う 7時間45分以上 泊を伴わない | 4000円 1100円 |
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