【統一要求書回答報告】要求に一つも応じないのだから半年も待たせるな!

統一要求書

横校労は昨年8月25日に表記要求書を提出、その回答が3月26日に関内第一ビル会議室で行われた。要求の一部と当局の回答、私見を以下に紹介する。

歩留まり率

〔要求①〕2018年度、教員採用試験の合格者が、多数、採用を辞退し4月の教員配置に大きな支障があった。数年の教員採用試験の倍率の変化と合格者の歩留まり率、中途退職者数の変化を明らかにされたい。

労務課:「歩留まり率」は7割。中途退職者の数は公表していない。採用試験の倍率低下など危機感をもっている。

2019年度採用試験、小学校では募集約485名、最終合格者839名。募集を350名超す合格者を出している。「取り過ぎだろ」と突っ込みを入れたくなる数字だ。

「歩留まり率7割」であれば、839名の7割、つまり587名が実際に採用になる。が、587名だと募集数より102名を上回る。

「募集数=採用数」ならば、歩留まり率57%になるが、全ての受験区分(小・中・高、特支、養教)を平準化すると「歩留まり率7割」ということか…、1186人の最終合格者のうち、4月1日に辞令を交付されたのは何人だったのか?

休憩時間

〔要求②〕 勤務時間の割り振り通りに休憩時間を取得している職場が、どの程度あると把握しているのか明らかにされたい。もし、把握していないのであれば直ちに調査し校種、性別、年齢、区、学校ごとにクロス集計を行い、その分析から休憩時間取得のための方策を明示されたい。

労務課:平成25年度調査では、多くの職場で休憩時間がとれていない結果がでている。

横校労:教庶務システムでは、設定された休憩時間に超勤を入力できない。まずは、これが入力できなければ、現状を把握できず当局としての対策が打てない。

労務課:休憩が取れないのは、業務のオーバーフローが原因と考えている。その対策をしていく。

横校労:休憩時間の記録をシステムのメモに記入している。当局として管理職に「休憩時間に行った超勤を記録せよ」という指導はしているか?

労務課:休憩時間は取るべきもの。その指導はしていない。

残念な回答。システムを導入しても現状を把握する意志がない。新型コロナ感染者数を調べようとしない政府と同じ。また、休憩時間の取得に、業務のオーバーフローの有無は関係なく、事の本質を誤っている。

仮に業務が削減されれば、休憩が取れるのか?読者諸賢の職場で、休憩時間に業務が割り振れていることがあるだろう。私が勤める横浜総合高校では、休憩時間に授業が設定されている。

育短勤務

〔要求⑨⑩⑫〕 育短勤務の申請条件「子が6歳に達するまで」を「9歳まで」に改めよ。

育短勤務者に対する後補充の非常勤職員が分掌を担えるようにすること。 育短勤務者に対する評価基準は、独自の評価基準を設けること。

労務課:必要な検討はしていく。

〔要求⑪〕 育児短時間勤務者、育児部分休業者の車通勤について、敷地内駐車を認めること。

労務課:学校の敷地は最大限、児童・生徒のために利用されるもの。市民の厳しい目もある。

横校労:かつて通勤裁判に関わったが、当時とは世間や教員の育児に対する関心が大きく違う。横浜市では今後も育児をする教員は増加するので、この層の取り込みが人事・労務管理の最重要課題ではないか

定数改善

⑭ 特別支援学校での同性身辺介助を進めるために、介護員の確保、または職員の男女比の是正をすること。

⑮ 個別支援学級の教職員定数を見直し、生徒数7名に対し教員が1名配置とし、障害の種別だけでなく障害の程度に応じた人数配置をすること。

⑯ 政令市費化により教職員定数は横浜市独自に決定できる。現在の40人学級は正常な教育を進めていく限度を大きく超えている。小中全校の35人学級を進めるべき。

労務課:定数の改変は難しい

横校労:採用希望者減少に危機感をもっているならば、定数改善が必須だ。カジノや英検に使う金があるならば定数改善をするべき。

最後に・・・

要求①の採用者数、気になったので人事課に問い合わせてみた。

横校労:この4月から採用した教員の数を教えてほしい。

人事課:公表していない。

横校労:公表しない理由は?

人事課:内部の問題なので、公表はしない。

調べれば分かる数値をわざわざ…、不親切な対応だ。「面倒」と思いつつ検索したら、大した時間もかからずヒット。文科省の調査に昨年度の横浜市の採用者数が掲載されていた。

2018年度実施の横浜市採用試験、小学校の募集数475、最終合格者642、採用者数438。要求①の事態は、おそらく採用担当は歩留まりを75%程度と読んだが、実際は68%に。475と打った募集数を満たせない失態を招いた。

しかし、多くの合格者から棄権される横浜の学校、人事課のみの失態とは言えまい。理由は深刻かつ広範だが、端的に言えば私たちの職場を、学生諸君は「ブラック」とご存知なのだろう。

	表 横浜市教員採用試験(小学校)実施状況
受検区分実施年募集数応募者数受検者数最終合格者数採用者数
小学校2019年約48517841554839不明
2018年約47520061723642438

文部科学省「令和元年度公立学校教員採用選考試験の実施状況」

2019年・2018年度実施 横浜市公立学校教員採用候補者選考試験の最終結果より作成

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