【放射能汚染土問題】<寄稿>置き去りにされた学校・保育園の放射能汚染土問題

放射能汚染土問題

横須賀市に住む子育て中の保護者です。子どもが小学校に入学した2011年の10月に、子どもの学校の校庭に放射能汚染土(以下 汚染土)が埋設されました。

東電福島第一原発事故後、学校の放射能問題は様々なことがありましたが、とりわけ汚染土については、多くの自治体で、行政や学校が保護者へ十分に説明をせずに、学校敷地内に埋設をしました。

私は、横須賀市でこの問題の活動中、横浜市の保護者と知り合い一緒に活動をしています。

横浜市(以下市とする)は、学校4校、保育園300園に永久埋設された汚染土について、除染基準値以下だから安全だとしていますが、空間線量だけでは不十分であり、放射能濃度測定(ベクレル測定)をする必要があります。

2011年市が公表した道路側溝では、1時間当たり40200ベクレル。2014年市議による測定では、学校が保管していた汚染土から約23700ベクレルが検出(この汚染土は移動済)されています。

これらの数値により、空間線量測定だけで安全だという市の主張は、既に覆されています。

横須賀市では、除染基準値以上が検出された汚染土については、ずっと「汚染土」として扱っています。しかし横浜市は、汚染土を何度も空間線量だけ測定して、基準値以下に振り分けています。

このような方針でなされた学校と保育園の安全対策は、悪質だとしかいいようがありません。

たった10センチの覆土で埋設された汚染土は、ブランコ横や花壇中等に何の表示もなく埋設されている例があります。さらには、市が説明してきた「ビニール袋での埋設」ではなく、園庭へそのまま埋めた園があります。

白血病が2人が出た港南区市立野庭保育園がそうです。当会の署名提出、白血病問題の報道後、市には、全国の市民から抗議や意見があり、一時は10分に1回電話があったそうです。

焦る市は、 汚染土が埋設された園は151園(それまでの300園の約半分)だと公表。その経緯説明も不明瞭です。白血病の保護者の父親は、子どもが通う園に汚染土が埋設されたことについて、園から何の説明もなく驚いたそうです。

多くの保護者から現在も、同様の声や、問い合わせに対して、市、学校、園が真摯に対応しない、声を出しにくい、孤立している等の深刻な状況が報告されてきます。

汚染土と白血病の直接的な因果関係は、分かりません。しかし、学校、保育園に埋設され続ける汚染土の将来の安全性に誰も責任など取れません。子ども達だけでなく、教職員など労働者の健康も危ぶまれています。

隣の横須賀市では、学校に埋設されていた汚染土が全て掘り起こされて移動されています。子どもたちの命や健康の問題が、行政により対応が違うことに、憤りを感じます。

「同じ保育園から白血病の子が2人出た、その保育園には放射能汚染土が埋設されていた」というニュースは今でもネットで拡散され続けています。

しかし、その多くは、「福島から持ってきた汚染土を保育園の園庭に埋めた」という理解です。原発事故で関東も土壌が汚染されたことについて、今もあまり周知されていません。私たちが取り組む問題の本質も、同様です。

原発事故の影響で、横浜市が汚染されたことを前提とされる、学校教育や保育園運営がされてこなかったことに尽きます。

1月25日、神奈川教区核問題小委員会主催「横浜の保育園庭、放射能汚染土の行方は」で、お話をさせていただきました。質疑で、参加された方から「市や学校の先生は、人間なのですか!」という率直な声がありました。

保護者の中にはこうした声が溢れています。しかし、私たちは、教職員や保育従事者と、保護者、市民が分断されずに、この問題と向き合うことが、課題の解決に繋がると考えます。

なぜなら、労働者こそが現場をよく知り、変える力を持っているからです。

横浜市は、低線量被ばくの危険性を安易に見積もるのではなく、即刻、学校、保育園から汚染土を移動、北部汚泥資源化センターへ一活保管すべきです。

私たちは、その目的のために、保護者や市民の声を束ね、世論を作っていくために行動します。原発事故の実害を明らかにし続けていくことが、今を生きる私たちの使命でもあるからです。

(寄稿 神奈川子どもを守りたい 中井美和子)

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