【旅行記】食をテーマにスリランカを巡る旅をした

文化欄

スリランカの食事は、毎日カレーアンドライス。野菜や肉、一種類ごとにそれに適した香辛料で数種類のカレーを作り、ご飯に混ぜながら食べる。海沿いではカニやエビやイカのカレー。内陸に入ると野菜。

沢山のご家庭を訪問しその土地、土地ならではのカレーを作りかたも含めてご馳走になった。ホテルや地元のレストランを含め、どの食事にも化学調味料は一切使われていないうえ、割とシンプルな組み合わせの香辛料で作られているのだがどれもみな美味しかった。

記憶に残る味、場面をいくつかここに紹介したい。

カレーを皿の上で米と混ぜて食べる美味しさ

三日目、田んぼの畝をジープで走り、ココナツの葉っぱを編んだ屋根とココナツの幹で作ったテントの中で米農家のお父さんたちが火を起こして作ってくれたカボチャのカレー。ココナツオイルにマスタードシード、ニンニク、玉ねぎ、グリーンチリ、塩を入れ、ココナツの実に水を入れて絞ったミルクの2番搾りを入れて、切ったカボチャを茹で、最後にココナツミルクの一番搾りを入れて出来上がり。

きゅうりのサラダは、玉ねぎとココナツとグリーンチリを塩と胡椒とライムで和える。すでに作ってあったチキンのカレー、唐揚げの魚などと赤米との組み合わせはとても美味しかった。数種類のサラッとしたカレーを皿の上で米と混ぜて食べる美味しさを実感した。

田んぼの米は、列らしきものは見当たらなく、パラパラと手巻きしてトラクターで刈り取った感じであった。米は年2回採れる。

イギリスの植民地の頃のもの

六日目、紅茶の産地を縫って走る列車に乗った。大変な人気で指定席が取れず、乗車予定の大きな駅の2つ前まで戻って自由席に座った。

暑いので駅長室や切符販売などの事務室が開けっ放しになっていて覗くと、使っている機械のあまりの古さに驚いてしまった。尋ねたら100年以上前、イギリスの植民地の頃のものをそのまま使っているそうだ。

列車はのんびりと紅茶の産地を走る、時折、海老の唐揚げやピーナッツ、フルーツを籠に入れたおじさんたちが「えびえびえび〜〜」や「ナッツナッツナッツ〜〜〜」と言いながら通路を通る。次第に緑豊かな景色になり、標高1500メートルに達したあたりから、茶の山が延々と続いた。

何時間も。谷底には茶を摘むタミルの人々が住むバラックのような家も見える。

家庭で丁寧に作る味

九日目、モスリムのご家庭で牛肉のビリヤニをご馳走になった。香り高いバスマティライスをサフランで炊いてあり、米自体の香り高さにサフランの香りが加わり、これが米?と思うほどの美味しさ、牛肉も沢山の香辛料で炊いてあり今まで食べたことのない美味しさであった。

ツアー後にコロンボやシンガポールでビリヤニを食べたが、あの美味しさではなかった。家庭で丁寧に作る味ということだと思う。

スリランカでは、パーティ料理、ご馳走としてビリヤニを食べるのだと現地ガイドのスムドウさん。羽振りがいい人に、「毎日ビリヤニを食べてるんじゃない?」と言ってからかうと笑っていた。

未来に希望を持って生活しているように見えた

イギリスから独立してからも、自爆テロを含む激しい内戦が続いたスリランカ、2004年にはスマトラ沖地震で引き起こされた大きな津波によって多くの人が亡くなる被害も出た。2009年の内戦終結を、ガイドのスムドゥさんが、タミル人、シンハラ人ということではなくスリランカ人が勝ったのだと僕は思うと言っていたのが印象的であった。

貧富の差の激しさや宗教、人種の違いなどいろいろなことがある上、ほとんどの人が金銭的にはそれほど豊かではないようだが、誰もが親切であり、笑顔で気さくに、未来に希望を持って生活しているように見えた。

日本の人々が、発展の名の下に失ってしまったかもしれないものがここにはあると、明るい日差しと家々の周りで揺れるココヤシを見ながら思った。

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