今回、韓国と日本のみんなとで描く「明けの朝日 12m絵巻」を企画し、済州島へ日韓ユ‐ス参加団として行きました。
ワークショップでは、12m×2mの和紙に私が描いた朝日を下地に、韓国と日本のみんなが入り交じって今回の思い出を描くことを企画しました。
加害者側である日本人が提案して、おしつけがましくないだろうかという不安がありましたが、それぞれが共有体験や思い出を描き、済州堂庁前で同庁を包むように絵巻を全員で持ち、絵と一緒に心もつながって社会を包み、想いを訴えることが出来ました。
人と人がつながる瞬間を永遠にした素晴らしいワークショップになったと思います。
実はワークショップは、絵を描く経過が大切とされ、描いた絵は行き場を失う事が多いなか、野外の合同展示として作品でアピールでき、双方で持ち合い、それぞれが大切にする約束をして活用する事になり、みんなが遣韓使のようになれたというか、巻物を持ち帰ってみんなに知らせる役割をお土産に持ち帰る事が出来たように思います。
それぞれの思いを描く(1日目)
いよいよ始まりです。韓国の若者19名、日本の若者17名が集まり、同じ時同じ場所で、一緒の和紙にそれぞれの思いや体験を共有しました。
韓国のみんなと日本のみんなでまじって、全体のテーマは「希望の太陽&夜明け」で自分の一番印象に残っているものを描く。朝日の下地に対して今回の希望や心にある思い出を描き、交流、学習と行動の一瞬を永遠にするこころみでした。
描きはじめるまでは躊躇する方が多いもののいざ筆をおけばみんな集中して楽しそうに描いていました。
描き終えたあと作品の前で一人ひとりが作品とこの四日間を振り返り、絵を見ながら自分の絵を説明した内容を詳しくご紹介します。
アルトゥル飛行場を描いた青年は「4.3事件の悲しい歴史をきいた後にアルトゥル飛行場を訪れると、アルトゥル飛行場が過去の遺跡ではなく、今現在にも続く問題であると考えるようになった」と語りました。
4.3事件のイメージである椿の花と北斗七星を描いた韓国の女性は「4.3事件が記憶に残ったので描いた。平和には道はない。北斗七星は迷う中で進むべき方角を示してくれる。私自身が北斗七星となりたい」と語りました。
またその椿の横に、向き合うように椿を描いた日本の女性は「過去の歴史に向き合っていきたいとの思いで描いた」と言いました。過去を直視することで日韓の本当の意味での和解が生まれることを示していようだという意見もありました。
テーマに沿って夜明けの空を描いた男性は、「初日にノ・ミンギュさんの話を聞いた時に歴史の話かと思ったが、現在につながっていることが分かった。描いた後で夜明けの空が台風のように見えると思った。台風は中心に近づけば近づくほど風がキツくなるがら中心は風が吹いていない。私たちも真実に近づこうとすると強い風に吹かれるかもしれないが、そこを抜けて中心にたどり着きたい」と語りました。
それぞれが自分の感じたこと、考えたことを、絵をきっかけとして深いものになっていたような、素直に出し合い思いをともに出来たような夜でした。
最後に全体の反省会で韓国の青年が、「今日のような絵を描く動画を録り世界にアピールしてみたらどうか。絵描きがいるのだから。絵、よかった。みんなで絵を描くアクションをしたい。」と一案で言ってくれました。
それぞれが真剣に絵を描き、日付が変わるまで自分の絵と他の人が描いた絵について寄り添っていた空間で、これからもっと絵が描きたいと思ってくれる人がいたこと、参加してくれたみんなの熱い気持ちが伝わってきたこと、国を超えて絵を描くことが好きな生きものどうしが一緒に絵を描く事ができた体験に、感動を覚えました。
差別しあうより、共通の思いからそれぞれの個性が活かしつつ大きな絵を共同制作していく、そしてお互いが進化し社会を変えてゆく体現がある。そんな壮大な絵画世界観が私の頭の中の地球儀を宇宙へと誘う瞬間でした。
次号では、ワークショップ二日目の様子をお伝えします。
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